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天地人 第36話「史上最大の密約」

 直江兼続と石田三成を主役とするこの物語で、関ヶ原の戦いにおいて二人の共謀があったか否かは避けて通れない話である。秀吉の死後、上杉家が会津にて挙兵。徳川家康を東国に引きつけている間に大阪にて石田三成も挙兵。そして関ヶ原合戦へと繋がっていく。この戦略を兼続と三成が事前に謀り、言い合わせていたというのが二人の共同謀議説である。これに対して、共謀はありえないとする「密約否定論」が現在では通説になっているようである。上杉家は当時、新領国「会津」に国替えをして間もない時期であり、資金面から考えても大戦を挑むなんてあり得ないというのが理由のようだ。「密約否定論」を唱える人の中には、「直江状」の存在すら否定する向きもある。

 「密約肯定論」の理由は、兼続の挙兵と三成の挙兵が偶然というにはあまりにも出来過ぎのタイミングであること、三成が兼続に宛てた手紙に「密約」を匂わす文章があること、伏見での上杉屋敷と石田屋敷はごく近隣に位置し、「密約」を交わす機会は十分にあった・・・とするものである。

 密約があったのかなかったのか、どちらも明確な証拠となるものは存在しない。ならば学者ではない素人歴史ファンとしては、「密約肯定論」を通して関ヶ原の戦いを見る方が俄然面白いわけである。多くの小説などでもこの説をとっており、この「天地人」においても当然「密約肯定論」をもとに話が進んでいくようである。

 対立関係にあった武断派たちから襲撃を受けた三成だが、こともあろうに襲撃の黒幕と目される家康の屋敷に逃れる。このエピソードもまた、史実かどうかは疑わしいものだそうだが、素人歴史ファンとしてはこの説も信じたいところ。
 「我らのの政(まつりごと)は天下万民のためのものであるべき。己だけが良きめをみんとするは、公平にあらず。」
 三成に佐和山城蟄居を促し、政(まつりごと)のすべてを手にしようとする家康に対し言った三成の言葉。まったくもって正論である。しかし私利私欲のない純粋過ぎるほどの正論は、権力者にとっては目障りなもの。純粋な正論が必ずしも正義とは限らない。三成の言う「政(まつりごと)」は、家康の持つ政治力に敵わなかった。

 間もなく発足する平成の新政権において、三成の言う天下万民のための政(まつりごと)は行われるのだろうか。とりあえずは期待したいところなのだが、家康が幹事長なだけに微妙なところである。



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by sakanoueno-kumo | 2009-09-08 00:19 | 天地人 | Trackback | Comments(0)  

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