龍馬伝 第5話「黒船と剣」
200年以上戦から遠ざかりぬるま湯につかってきた武士たちは、甲冑、刀槍を買うために江戸中の古道具屋に駆け込み、それらの値段が3倍にも上がったという。焔硝も同じで、諸藩とも江戸屋敷では幕府の祖法によって必要以上の鉄砲の玉薬の貯蔵は禁じられていたため、各藩の争奪戦になり値段は瞬く間にはね上がり、ほとんどの店が品切れになったそうである。それでも諸藩の武士たちはまだマシだった。本来江戸を守るべき立場である幕府直参の旗本八万旗はまったく機能しなかった。江戸に駐在する旗本たちは公家のような生活をしており、戦に向かう気構えすらなかった。おまけにどの旗本も家計は厳しく、古道具屋で甲冑や刀槍を買い揃える金さえなかったという。
龍馬ら土佐藩は、幕命にて藩邸のある品川近辺の警備についた。軽格身分の郷士であり遊学中の書生でもある龍馬は当然雑兵でしかなかった。それでも、この騒動が龍馬に与えた影響は大きかっただろう。ドラマ中にあったように間近で黒船を見たかどうかはわからないが、のちに自らの軍艦を手に入れ、幕末の荒波にのり出す龍馬の原点はここから始まったといっていいかもしれない。
そしてこのときから「夷狄攘つべし」という、いわゆる「攘夷論」が始まった。後年開国論者になる龍馬もこの時期はまだ若く、すっかり攘夷派になっていたようである。ドラマ中にも出てきた、このとき龍馬が乙女姉に宛てて送った手紙がいまでも残っている。
「異国船処々に来り候へば、軍も近き内と在じ奉り候。其節は異国の首を打取り、帰国仕る可く候。」
と、勇ましいものである。ドラマでは、この文章は龍馬の本心ではないような設定だったが、おそらくはそうではなく、19歳の時点での龍馬の本心だっただろう。この当時、武士にして攘夷論を持たない者があるとすれば、それは男ではないとさえいえる。無理に後年の龍馬像にラップさせなくても良かったのではないだろうか。それでも、こののち砲術の必要性を感じたのか、佐久間象山の塾へ入門していることからも、剣術というものに疑問を感じたのは本当かもしれない。
乙女姉の言葉。
「世の中を知るいうことは、みんなと同じような人間になることではないがぞね龍馬。おまんらしい生き方を探しなさい。それを見つけてこそ、自分が何を成し遂げるために生まれてきたがか見つかるがじゃ。」
なるほど深いですね。世の中を知れば知るほど、既成概念にとらわれて皆と同じような人間になっていくもの。皆と同じでいることで、不安が解消される。そうやって既成概念というものができていき、そこに人々は集い、徒党を組む。それが凡人の姿。このような乙女姉の言葉があったかどうかはわからないが、こののち、みんなと同じような人間にはならなかった龍馬の陰には、みんなと同じような考え方を持たなかった乙女姉に育てられたことが大きく影響していることだろう。
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by sakanoueno-kumo | 2010-02-03 00:19 | 龍馬伝 | Trackback(2) | Comments(4)
さぁ、本格的に仕事始めとなりました。素晴らしいお天気です。 あらためまして皆さま、今年も宜しくお願いいたします。 ところで、目クソはなんで目頭から出るがじゃろ? う〜ん、たしかに疑問だ。クソは普通、尻から出るもんなのに、目尻からは出てこない。う〜む……。 昨日から始まりましたね。NHK大河ドラマ「龍馬伝」。 坂本龍馬は個人的に大好きな日本史の偉人でもあり、福山雅治さんがいったいどんな龍馬を演じるのか、という興味とあいまって、放送前から非常に楽しみにしていた作品です。これだけ放送を待ちわびた大河も、...... more
同じ野球好きの同志としてTBさせていただきました。
TBできました~(*^。^*)
ペリーは たった10日間しか日本にいなかったんですねー。その時、そこにいた龍馬!その偶然がすごい。
歴史ってそういうところが面白いと思います。
私も、龍馬の人格形成に 乙女お姉さんの影響はかなり大だったと思います。(^^)
コメント&TBありがとうございます。先日はなんでTB出きなかったのでしょうね。
そうですね。たった10日間、しかもたった4艦の船がやってきただけで、日本は大きく変わっていきました。今で言えば宇宙船が現れてエイリアンの侵略の危機にさらされたような、そんな感覚だったのかもしれません。19歳だった龍馬をはじめ、その当時の血気盛んな若者達のうけた衝撃は大変なものだったでしょう。