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大相撲八百長問題に思う、伝統継承怠慢の愚。

相撲協会がまた騒ぎになっているようだ。
昨年の野球賭博問題が落ち着いてきたと思ったら、今度は八百長相撲問題
なんでも、発端は野球賭博事件の取調べ時に警視庁が押収した携帯電話から、八百長を打ち合わせしたとみられるメールが数十件ほど見つかったらしい。
この件について菅直人首相は、「八百長があったとすれば、大変重大な国民に対する背信行為だ。」と述べ、枝野幸男官房長官によれば、「八百長がまん延している法人なら、公益認定を得るのは難しいと言わざるを得ない」という。

そんな一連の報道を聞いて私個人の意見をいえば、「何をいまさら!」という感じだ。
そんなことは相撲ファンならほとんどがわかっていること。
7勝7敗の力士と、8勝6敗の力士が千秋楽で顔合わせした場合、8割以上前者が勝利するというのは誰もが知るところで、それが角番の大関の場合はほぼ10割に近い勝率。
むしろ、そうでない結果になった場合のほうが、「おや?この力士は八百長しないんだ!」と驚いてしまうほどだ。
そんなことは暗黙の了解の中で、ファンは相撲観戦を楽しんでいる。
「背信行為」とは、菅さん、むしろ国民の期待を裏切り続けているあなた達、民主党政権の方じゃないんですか?

私はむしろ、そのような打ち合わせがメールでやりとりされていたという点に驚きを覚える。
発覚した携帯電話の持ち主は、十両千代白鵬と元前頭春日錦竹縄親方だそうだが、この軽率さは、浅はかとしか言いようがないだろう。
今回の八百長発覚で放駒理事長「大変憤りを感じ、心苦しく思っている」とコメントを述べたそうだが、本心を代弁すると、「今まで証拠がないのでとぼけていられたのに、こんな証拠を晒されては弁解のしようがないじゃないか!」と言いたいところだろう。
文書や記録を残さないようにするのが密室談合であって、ましてやメールなんて、開いた口がふさがらない。

相撲界には「申し合い」という言葉がある。
稽古相手を指名する「申し合い稽古」がそうで、同等の実力を持つ力士たちが勝ち抜き形式で対戦する稽古のことをそういうのだが、これはガチンコ勝負ではなく、ある程度の取り組みの流れやかける技を“申し合わせた”上で、組み合う稽古だそうだ。
他の部屋に出向いて行う「出稽古」でも、同じように「申し合い」が行われる場合もある。
当然そこには文書などあるはずもないし、メールで申し合わせることもない。
一流の力士になれば、それを互いの目と目の呼吸だけでやってしまうらしい。
ここまでくれば、「申し合い」も一流の“技”といってもいいだろう。

相撲界には「注射=八百長」「中盆=八百長の仲介者」などの八百長に関する隠語も多く存在する。
「注射」にお金が動く場合、この「中盆」が仲介に入ってことを進めたそうだ。
つまり、八百長行為にも、継承されてきた伝統の形式があるということ。
今回の行為も、メールなんかじゃなく伝統の形式に基づいて行なっていれば、こんな問題にはならなかったというわけだ。

不祥事が後を絶たない角界。
いずれも、伝統を正しく継承することを怠ってきたため、悪いところだけが残ってしまった結果だと思える。
今回の件も、正しい八百長行為(?)を怠った結果・・・というと、語弊があるだろうか。
いずれにせよ、伝統が崩壊して膿ばかりが露呈する大相撲は、もはや「国技」とはいえないようである。
やはり一度解散して、新たに立て直す必要がありそうだ。


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by sakanoueno-kumo | 2011-02-04 19:36 | 他スポーツ | Trackback(1) | Comments(9)  

Tracked from 平太郎独白録 親愛なるア.. at 2011-02-05 15:07
タイトル : 大相撲の八百長問題でたまにはまともなことを言う某都知事
親愛なるアッティクスへ 八百長事件疑惑が発覚して、存亡の危機にあるといわれる大相撲ですが、でも、そんなもん、土建屋の談合と一緒でみーんな知ってたことなんじゃないですか? この点を、石原慎太郎東京都知事は会見で、「あんなものは昔からあったことだ。当たり前のことだ」と言ったそうですが、「誰とは言わないが、力士が取組中に相手に『押せ、押せ』」と言うのだが、力のない横綱とか大関は相手を押し切れない。それを記者はゲラゲラ笑って見てた。そこで金が動いたかどうか知らないが、そういう経験があったものだから、今...... more
Commented by heitaroh at 2011-02-05 15:15
何とも手厳しいですね(笑)。

今日、飯屋で新聞を見てたら、石原都知事は若い頃、コラムに相撲は八百長だと書いて、相撲協会に訴えられたとき、文壇の重鎮から、「惻隠の情」(?)みたいなことをいわれたと書いてありました。
つまり、元々、そういう物なんだから、無粋なことを言わず、そこらへんを理解して見なさいよ・・・と。

確かに、千秋楽で横綱同士の全勝対決などといえば、盛り上がりますから、興業としては「有り」なんでしょうし、ファンも喜ぶから良いのでしょうが、だったら、純粋な民間の興業団体でやれよと。

私は相撲協会の今日の諸問題の根源は公益法人であること・・・、正確には公益法人の上にあぐらを掻いていることだと思っていますので、どうしても、すべてはそこに行き着くようです・・・。
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-02-05 18:30
< heitarohさん。
プロレスのように、興業として盛り上げるための“八百長”というよりも、相撲界の場合はどちらかというと、共存共栄していくための“八百長”が主だと思います。
世界にひとつしかないプロ相撲団体ですから、皆、家族のようなもので・・・(笑)。
その閉鎖的な考え方が、相撲界の一番“悪”の部分なんでしょうね。
貴兄のおっしゃるように、公益法人という国に守られた環境の上にあぐらを掻いてきた体質によるものだと私も思います。

ただ、そういう根本の話はとりあえず置いといて、今回私が言いたかったのは、八百長やるんならわからないようにやれよ!・・・と。
いかにもガチンコ勝負に見えるように八百長をするのがプロだろう・・・と。

相撲界にプロはいなくなったようですね。
Commented by しばやん at 2011-02-06 09:00 x
「共存共栄のための"八百長"」を「わからないようにやる」というのは、うまい言い方ですね。

そのような「惻隠の情」的な制度は、相撲界に限らずビジネスでも、大きな会社だけが生き残るのではなく小さな会社もやっていけるような仕組みがありました。
例えば建築業界には「談合」という商慣習がありましたが、これが否定されて犯罪となってから、強い会社だけが生き残る社会になっていったようなところがあります。

競争社会が必ず生み出す「弱者」をどう救済するかについて、以前は業界全体で考えて、大企業は業界のリーダーとして、落ちこぼれが最小限となるように工夫してきててきあがった商習慣がいろいろあったのですが、政府はそのような商習慣をことごとく否定して多数の敗者を生んで、一方「弱者救済」を充分にできるだけのお金がなく、結局弱者が切り捨てられるだけになってしまいました。
社会全体としてはどちらが良いかは微妙で、昔の方が良い制度であったと考える人も少なくありません。

Commented by しばやん at 2011-02-06 09:01 x
(上のコメントに続く)

「実力主義」「経済自由主義」というのは必ず敗者を生みますが、敗者の生活を同じ世界にいる人間がどう守ってやるかということを考えて出来上がってきた智恵をいきなり100%否定してしまっては、おかしくなるような気がします。
相撲界において、敗者となっても生活が出来る仕組みがなければ、これから誰も相撲界の門を敲こうとしなくなり、そうなれば相撲界に若い世代が少なくなり、いずれ崩壊していくように思います。今回の摘発がそのような方向に行かないか、ちょっと心配です。



Commented by sakanoueno-kumo at 2011-02-07 02:38
< しばやんさん。
こんな言い方をすればお叱りを受けるかもしれませんが、日本という国はある意味、「談合文化」で築きあげてきた国だと言えるのではないかと、最近では思います。
いわゆる「談合汚職」は悪だとは思いますが、「良い談合」というか、「みんなで仲良く豊かになりましょ!」的な、いってみれば島国的発想の談合は「有り」だったんじゃないかと。
だからといって共産主義はまっぴら御免ですが、弱肉強食の「市場現地主義」は、農耕民族の日本人には合っていないように思います。
そんな日本の国技である相撲界ですから、考えてみれば、最も日本的体質の団体と言えるかもしれませんね。

ということは、相撲協会が本来の日本のあるべき姿・・・?
それもちょっとどうかな・・・?(苦笑)
難しいですね。
Commented by mohariza6 at 2011-02-07 12:52
「悪」(「膿」)をも、受けいられる土壌が、「大相撲」の日本的儀式にあった筈で、それを否定することは、「日本の伝統(儀式)」を否定することとなり、根本的な「日本」を否定することになる、と思います。
(塩をまく、と云う儀式、注連縄等は、日本の古代からの神的な名残なのですが・・・。)

そのような度胸は、協会なり、廻りの取り巻き(マスコミ、文科省等…)があるのか?
そこが問題と思います。
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-02-07 14:14
< mohariza6さん。
おっしゃることはわかるのですが、今回この“八百長問題”が、これほどの事態に発展したのは、近年の相次いだ不祥事の延長線上にあったからだと思います。
“八百長”も含めての大相撲だとは私も思いますが、大麻や野球賭博、ましてやリンチ殺人が大相撲の伝統だとは思いません。
塩をまいて、済まされる話ではないでしょう。
その意味では、今回の事態も身から出たサビだと思います。

そもそも相撲は、古来からの大衆娯楽ではありましたが、“国技”として扱われ始めたのは、そんなに昔ではありません。
庶民の娯楽が、国技という格調高い扱いになったことに、そもそも無理があったのかもしれません。
Commented by mohariza6 at 2011-02-07 18:45
sakanoueno-kumoさんへ
<庶民の娯楽が、国技という格調高い扱いになったことに、そもそも無理があった>・・・
それは云えているかも知れませんね。
「歌舞伎」のような扱いが、良いのか・・・?
しかし、伝統に胡坐をかくと、どこかの風太郎のような増長をしでかすし・・・。
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-02-07 23:36
< mohariza6さん。
たしかに・・・(笑)。
喧嘩沙汰の人間国宝候補と、野球賭博の大関。
同じ穴の狢ですね。

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