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連続200本安打が途切れたイチロー選手にみる、好打者と衰えの考察。

先頃、MLBシアトル・マリナーズのイチロー選手が続けていた、シーズン200本安打の連続記録が、10年連続で途切れましたね。
今季の安打数は184本にとどまり、打率も2割7分2厘で、オリックス時代の1994年から続けてきた連続3割も、17年でストップしてしまいました。
気がつけばイチロー選手も37歳
過去、どんな一流選手でも“衰え”を見せ始める年齢に差し掛かっているんですね。
こういった継続記録というものは、いつかは途切れるときが訪れるのは当然のことなんですが、イチロー選手の場合、“衰え”なんて言葉はまだまだ先のような、ひょっとしたら永遠に“衰え”なんて訪れないような、そんな錯覚すら抱かせるほどだったんですが・・・やはり、彼も人の子だったということでしょうか。
ただ、今年1年だけを見て衰えたと評するのは早計のような気もしますけどね。

実際に昔と比べて、アスリートのトレーニング方法医療などは格段に進歩しているでしょうし、ストイックなイチロー選手のことですから、身体のケアも人一倍入念に行なっていることでしょう。
彼なら、今までの年齢の常識を覆してくれそうな期待はあります。
ただ、いくら入念にケアを行なっても、どうしても“衰え”を避けられないのは、私は“目”だと思います。
いわゆる“動体視力”というやつですね。
一般に、人間の動体視力は40歳手前から低下が始まり、50歳を超えると急激に下がるといわれています。
老眼も同じような時期ですもんね。
現在44歳の私ですが、まだ老眼鏡のお世話になるまでには至っていないものの、近くから遠くへ、遠くから近くへ視点を変えたときに、ピントが合うまでに要する時間が急激に長くなったことを実感しています。
18.44メートル離れた場所にいる投手の投じたボールが、0.5秒ほどで捕手のミットに収まるわけですから、これにピントを合わせられなくなったら致命傷ですよね。
よく、ベテラン打者が速球を打てなくなるのは、スイングスピードの衰えや反射神経の衰えの場合もあるでしょうが、一番の理由は目の衰えなんでしょう。

イチロー選手の場合、一番打者としては邪道といっていいほど、四球の少ない打者ですよね。
これは選球眼が悪いわけではなく、それだけ彼のストライクゾーンが広いということで、つまりは、ボール球もヒットにしているということです。
「ストライクだけを打てばよいのであれば、4割を打つ自信がある。」と、以前テレビのインタビューで語っていましたが、おそらく彼ならばそうでしょうね。
ストライクだけを打っていれば、毎年、首位打者は簡単だったんじゃないでしょうか。
ただ、それではおそらく、200本安打は不可能だったでしょうね。
バッティングは、ボール球を見逃しストライクだけを打つのが基本で、それができる打者が好打者と評価されるわけですが、イチロー選手はそれを否定し、安打“率”ではなく、安打“数”にこだわったわけです。
考えてみれば、投手は勝利数奪三振数、長距離打者なら本塁打数と、“数”で評価されるタイトルがあるのに対し、イチロー選手のようなタイプの打者は、彼の出現までは“率”で評価されていました。
その概念を変えたのが、イチロー選手の安打“数”へのこだわりですね。
本当の首位打者というのは、“率”ではなく“数”で、そっちのほうがはるかに難しいんだよ・・・と。

たしかに、打率で選ばれる首位打者は規定打席数に達してさえいれば権利がありますから、タイトル争いをしている場合、打率が下がらないようにあえて打席に立たないといった策も出来るわけです。
過去の実例でいえば、1981年に首位打者となった阪神タイガースの藤田平選手は、巨人の篠塚和典選手との首位打者争いの中で、残り打席を計算しながら試合を欠場して、僅かに1厘差で首位打者を獲得したということがありましたし、このとき負けた篠塚選手も、のちに広島カープの正田耕三選手と首位打者争いをしたときに同じことをしています。
そういった例を見ると、打率の価値って微妙ですよね。
その点、イチロー選手のこだわる安打“数”の場合は、まやかしは一切ありませんからね。
打順による打席数の差はありますが、ヒットを打たなければ増えないのが安打数であり(当たり前のことですが)、これこそが真の好打者の証である・・・と、イチロー選手は言いたいんじゃないでしょうか。

しかし、彼ほどの打者になると、相手投手もなかなかストライクゾーンでは勝負してくれません。
日本にいた最後の頃なんて、ほとんどマトモに勝負してもらえてなかったですもんね(敬遠もやたらと多かったと記憶しています)。
そんな中で安打数を伸ばそうと思ったら、ボール球をヒットにするしかない・・・という考えに至ったのでしょう。
ただ、ボール球をヒットにするというのは、普通の打者が見逃す球に手を出して尚且つそれをヒットにするわけですから、当然ながら簡単ではないわけで、それを可能にしていたのは、彼の巧みなバットコントロールと、おそらく人並み外れた“動体視力”だったのでしょう。
その“動体視力”が衰えを見せ始めているとすれば・・・。

今年の成績が衰えによるものかは、実際には彼自身しかわかりませんし、ただ単に不調だっただけで、来年また軽々と200本安打をやってのけるかもしれません。
そうあって欲しいと期待したいところですが、イチロー選手といえども、いつかは加齢による衰えに逆らえないときが必ず訪れます。
かつてイチロー選手は、「50歳まで現役でいたい。」と、テレビのインタビューで多少ジョークまじりに語っていましたが、彼は決して絵空事とは考えていないでしょう。
一方で、「腹が出たら辞める。」とも語っており、つまり彼がいう50歳での現役というのは、満足いくパフォーマンスが出来ての50歳現役であって、ヘロヘロになりながら見苦しく現役にこだわり続けている選手とは違うようです(誰とはいいませんが)。
これからは、イチロー選手の年齢と戦いに注目していきたいですね。

ちなみに、ピート・ローズ選手の持つ通算4256安打の世界記録まで、あと550本
今までのイチロー選手ならば、3年弱でクリアできる数字ですね。
ちなみにちなみに、38歳でのシーズン最多安打は、そのローズが1979年に記録した208本だそうです。
来年38歳のイチロー選手、狙えない数字じゃないですね。
ちなみにちなみにちなみに、来年その記録をイチローが破ったとしたら、必然的に通算11回目の200本安打となり、これまたローズの記録を上回ってメジャー新記録となります。
今回、連続記録が途絶えたというだけで、まだまだ楽しみはたくさんあるんです。
来年もまた、イチロー選手から目が離せませんね。


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by sakanoueno-kumo | 2011-10-05 18:48 | プロ野球 | Trackback | Comments(13)  

Commented by heitaroh at 2011-10-14 16:18
昔の選手と違って、今は選手寿命も延びましたからねぇ。
イチローもまだまだ、すんなり終わるとは思ってませんが、これからは年齢との戦いであるのもまた事実でしょう。

ただ、一緒にするのは異論もあるでしょうが、ソフトバンクの多村選手も今年は調子が悪いみたいで、どうやら、加齢による衰えで以前ほど打球が飛ばなくなったので、逆に力んでいる・・・ということを解説者が言ってました。
その意味では、イチローよりも、むしろ深刻なのは松井の方なのかもしれませんね。
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-10-14 19:51
< heitarohさん。
本当に昔と比べて選手寿命が延びたのかは疑問ですけどね。
最近の選手は、ボロボロになるまで現役を続けることの美学、といった風潮が主流となっていて、昔じゃとっくに引退している状況で無理して現役を続けているといった観は否めません。
王選手は、ホームランが打てなくなったといって引退しましたが、その年も30本打ってましたからねぇ(笑)。

ソフトバンクの試合をあまり見てないのでよくわかりませんが、多村選手はまだ年齢云々をいうには若いと思いますけどね。
今年は“飛ばないボール”になって苦しんでいた打者が多かったようですから、彼もその種の不調だったんじゃないでしょうか。

松井選手はたしかに深刻かもしれませんね。
清原選手もそうだったように、巨体の選手というのは、どうしても歳いくと膝に来ますね。
膝は一度痛めてしまうと、一生治らないといいますから。
でも、彼にももうひと頑張りして欲しいという気持ちはあります。
Commented by 安打乞食 at 2012-02-05 01:49 x
イチロー選手と他の選手との大きな違いは、チームの勝利のためのバッティングをするかしないかだと思います。
投手が勝利数によって評価させるのは至極当然ですし、ホームランも、打点も勝利に直結しますが、安打数というのは、必ずしも勝利に直結するわけではありません。
あなたも仰るとおり、安打が欲しいあまり、四球を嫌って、無理にボール球に手をだして、ゲッツーになって、せっかくのチャンスを逃すことさえあるのです。
やはり、近代野球は、OPSの優れた選手こそ評価されるべきではないでしょうか?
打点と、長打率、出塁率に劣るイチロー選手にとっては、厳しいものになるでしょうが.......
Commented by チョコチップ at 2012-02-05 05:43 x
あなたの考えはイチローに偏りすぎです。

イチローは良い選手だけど、MLBには彼より凄い人は何人もいます。

良い選手ですが、恐れられるような選手ではないし、4割打てるなんて
とんでもない!

やれるなら今こそやってもらいたい。

4割打てたら誰でも彼を認めるよ。

Commented by sakanoueno-kumo at 2012-02-06 00:30
< 安打乞食さん

OPSはひとつの評価基準の目安であって、それが全てではありません。
事実、イチロー選手よりOPS評価が高い松井秀喜選手が行き場を失っていることからもわかることだと思います。
OPS評価が高くないと一流選手といえないのであれば、一流選手はクリーンナップを打つ打者だけになってしまいますね。
4番打者を9人集めたら強くなりますか?
そんな単純なものでないことは、NPBの某在京金持ち球団が示したとおりです。

それから、OPS評価には盗塁が含まれません。
イチロー選手はたしかに長打率は低いかもしれませんが、盗塁が多いということは、結果的に二塁打、三塁打を打ったのと同じ事になります。
そう考えれば、OPS評価はあくまで目安であって、完璧な評価基準ではありません。

つづく
Commented by sakanoueno-kumo at 2012-02-06 00:33
< 安打乞食さん

つづき
無理にボール球に手を出してゲッツーになってチャンスを潰しているとのことですが、イチロー選手が極めて併殺打が少ないのはご存じないのですか?(昨年は増えてしまったようですけど)
あれだけゴロのヒットを打つ彼が、併殺打が極めて少ないというのは、それだけケースバイケースで打ち分けているということですよ。
よく、内安打が多いことを邪道だという人がいますが、少しでも野球を知っているひとなら、それが愚論だということは今さら説明するまでもないですよね。

まあ、好き嫌いはあって然りだと思いますが、イチローが嫌いだからといって、彼の評価まで下げるのはどうかと思いますけどね。
日本で一番の打者が海の向こうで頑張っているのに、もうちょっと素直に応援できないものでしょうか。
ましてや、“安打乞食”なんて低俗なネーミングをつける人に彼を批判する資格はないと思いますよ。
Commented by sakanoueno-kumo at 2012-02-06 00:41
< チョコチップさん

>MLBには彼より凄い人は何人もいます。
そうですね。
だからといってイチロー選手の評価が下がるものではないでしょう。

>恐れられるような選手ではない
誰がそう言ってたんですか?
それは貴方がそう思ってるだけなんじゃないですか?

>4割打てるなんてとんでもない。
なぜそう断定できるのですか ?
イチロー本人がそう言っていたものを、なんで素人の貴方がそう言い切れるんですか?

イチローを批判する人は、彼のあのビッグマウスが気に入らない人が多いようですが、好き嫌いと客観的な批評とは分けて考えるべきだと思いますよ。
Commented by 安打乞食改め安打王子 at 2012-02-07 01:51 x
何かとても感情的なコメントがありましたが、私は始めに書いたとおり、チームの勝利の為のバッティングをするかしないかを、打率の価値は微妙で安打数の方が絶対的な価値があるという貴方に対して一考察を論じたまでです。
OPSが完璧な指標だとも、これが低いと一流選手でないとも、内野安打が邪道だとも、一言も書いていない事は冷静に読み返していただければ、分かると思います。
ただ私が気になったのはあなたの言う通り邪道なほど、
四球が少ないのをあなたはストライクゾーンが広いから、ボール球をヒットにして200本安打を狙ったという件です。
イチロー選手の「ストライクだけを打てばよいのなら、4割打つ自信がある」という言葉を受けてのものだと思いますが、
私はストライクだけを打てばいいんだよと言いたい。
見送れば四球がとれる場面で打っていいのは、
100%ヒットが打てる自信があるか、4割打てる打者だけだと思うからです。
少なくともイチロー選手は4割打った実績は無く、
今期も出塁率.310 打率.272打点5 本塁打5の選手だからです。ちなみにこの成績はBWARP(守備を加味した打撃貢献度の指標)では全選手1240人中実に1176位です。


Commented by 安打乞食改め安打王子 at 2012-02-07 01:53 x
つづき
ヒットを欲しがると書いてお叱りをうけましたが、これも2011年のラスト35試合で四球をわずかに4しか選ばず、また同じラスト35試合で21三振(全試合で69)を喫した原因が明らかなボール球に手をだしたやに見えるものが多数あり、200安打に拘るあまりにヒットを欲しがり過ぎた事も一因だと思えたからなのです。
つまり私がいいたかったのは、チームの勝利の為には
200本安打などよりもっと大切なものがあると思っただけで、あなたが打率よりも安打数。
シーズン11度目の200安打に勝利よりも価値があるのだという人がいても、否定するものではありません
Commented by sakanoueno-kumo at 2012-02-07 15:38
< 安打王子さん
まず私が感情的になったのは、貴方が“乞食”という低俗な名前を使ってコメントされたためです。
“乞食”とは言うまでもなく“物乞い”のことであり、テレビやラジオでは放送禁止用語にもなっている差別用語です。
貴方が用いた“安打乞食”という名前は、コメントの論旨上、イチロー選手を揶揄するものだと思われ、極めて失礼な愚弄行為だと思います。
申し訳ありませんが、ここは某◯chのような、便所の落書き的な書き捨て掲示板ではありません。
右上の「おことわり」の欄でも申し上げていますとおり、不適切と思われるコメントは即刻削除させていただくもので、本来であれば“安打乞食”という名前だけで削除するところでしたが、コメントの内容はお答えすべきものだと判断し、削除しませんでした。
しかし、名前で大変気分を害していたため、感情的なコメントになってしまいました。
名前を改めていただきましたので、この件はここまでにします。
つづく
Commented by sakanoueno-kumo at 2012-02-07 15:39
< 安打王子さん
つづき
で、本題についてですが、野球は団体競技であり、チームの勝利こそ最優先されるべきで、その結果ついてくるのが記録であって、まず記録ありきでプレーするのは本末転倒である、というご意見には、私も概ね否定するものではありません。
しかし一方で、勝敗を大きく左右しない程度に個人プレーに走るのは、プロの世界ではありだと私は考えます。
本塁打王を狙える選手は狙うべきだと思いますし、奪三振記録を狙うもまた良し、安打数にこだわるイチロー選手が四球を嫌うのも、私は良いと思います。
個人記録を狙うのもファンサービスのひとつだと思いますし、要は、ケースバイケースで使い分けているか・・・ではないでしょうか。
イチロー選手の打席を全て観ているわけではないのでわかりませんが、彼とて、1点を争う緊迫したゲームでは、個人記録よりもまず塁に出ることを考えるのではないでしょうか。
つづく
Commented by sakanoueno-kumo at 2012-02-07 15:44
< 安打王子さん
つづき
たしかに、貴方がおっしゃる2011年のラスト35試合の数字を聞けば、記録樹立のために焦った観は否めませんが、あえて彼を擁護すれば、ラスト35試合の時点でマリナーズは地区最下位がほぼ決定的で、同チームファンの注目といえばイチロー選手の記録ぐらいでした。
チームが優勝争いをしているような状況であれば、彼のバッティング内容もまた違ったものになっていたように思います。
あと、BWARPについてですが、ここまで悪い数字となったのは2011年が初めてで、通算では決して悪い評価ではなかったはずです。
いろんな意味で2011年はイチロー選手にとって最低の結果となった年ですが、この1年だけをみて俄にイチローバッシングの声が大きくなったように思えてなりません。
もし、このような成績が2年3年と続いたら、彼も考え方を改めなければならないときがくるでしょう。
というか、貴方がおっしゃるようにイチロー選手のバッティングがチームに悪影響を及ぼしているのなら、とっくにスタメンを外されているのではないですか?
過去の実績を重んじてもらえるほどメジャーは甘くないと思います。
つづき
Commented by sakanoueno-kumo at 2012-02-07 15:55
< 安打王子さん
つづき
ともかく、賛否両論はあろうかと思いますが、彼によって年間安打数という、これまであまり評価されなかった部分にスポットが当たるようになったのは事実です。
そこは評価されて然るべきであり、少なくとも、本文中でも述べたように、打率が下がらないよう調整欠場して獲得した過去の首位打者よりも、はるかに価値があると私は思いますが・・・。

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