やしきたかじんさんに見る、“東京嫌い”を痛快に思う関西人。
やしきたかじんさんといえば、言わずと知れた関西芸能界のドン的存在で、テレビの高視聴率番組を複数かかえる“浪速の視聴率男”の全番組降板にテレビ局は混乱しているようです。
関西以外の地域に住む方々にどれほど知名度があるかはわかりませんが、私たち関西人にとっては、昨年の島田紳助さんの突然の引退に匹敵するほどの衝撃・・・といえば、たかじんさんが関西でどれほどの格のタレントさんであるかがおわかりいただけるかと思います。
ここ2日ほど、関西発のテレビやラジオではこの話題でもちきりですが、東京発のワイドショーなどではほとんど取り上げられていなかったようですね。
どこの地方にもご当地タレントさんというのはいるでしょうが、たかじんさんほど極端な例は珍しいのではないでしょうか。
その理由は、たかじんさんの極端な“東京嫌い”によるものだというのは、関西では周知のところですね。
かつては、引退した上岡龍太郎さんも同じ理由で東京行きを嫌っていましたし、若き日の笑福亭鶴瓶さんも、東京の芸能界は性に合わないといって頑なに関西を動かなかった時期がありましたが、いずれものちに東京進出を果たし、それぞれに確固たる地位を築かれました。
たかじんさんも20年ほど前に一度東京進出したこともあったのですが、その際、東京キー局の番組が利権やしがらみのために制約が多いことや、すぐ掌を返す体質や極端に横柄な態度が気に入らず、自分のやり方を否定するプロデューサーやディレクターを殴ったりしたそうで、半年ほどで関西に帰ってきました。
まあ、そもそも彼の東京に対する偏った先入観から、「何かあったらいつでも喧嘩してやる」といった攻撃的な気構えが招いた結果だったように思えますが、それ以後、たかじんさんの“東京嫌い”はさらに筋金入りとなり、今では関西発の彼の番組が東京で放送されることすら拒否する始末で・・・。
実際、彼の現在の人気番組『たかじんのそこまで言って委員会』は日本テレビからゴールデンタイムでの全国ネット化を熱望されたそうで、制作元の大阪読売テレビもこれを望んでいたそうですが、肝心のたかじんさんが「関東には絶対流させない」「関東で放送するくらいならこの番組を辞めさせてもらう」と頑なに拒否し、圧力をかけ、結果、日本テレビ側にネットを断念させたそうです。
東京と大阪ではタレントさんのギャランティーの額が一桁違うなんて話も聞きますし、関西以外の方にしてみれば、何故そこまで頑ななのか理解に苦しむかもしれませんが、関西人はこのたかじんさんのこだわりに呆れることはあっても冷笑する人はほとんどなく、むしろ、そんな彼の言動を痛快に感じる空気さえあります。
それはちょうど、阪神ファンが阪神の勝利よりも巨人の敗戦に快感を覚えるのと同じで・・・。
この空気感は、関西人にしかわからないでしょうね。
関西人(この場合、主に大阪人を指すと思いますが)の東京に対する敵対心は、いつ頃から始まったのでしょう。
古くは、徳川家と豊臣家の確執がそのまま江戸対大坂の敵対心を生み、それが400年後の現在にも残っていると分析する声もありますし、実際、当時の大坂の人たちにしてみれば、豊臣家の滅亡によって関西の経済は一気に冷え込んだでしょうから、新政権の徳川幕府をスンナリ受け入れられない空気はあったでしょう。
さらに京都の人たちにとっては、都人としてのプライドもあったでしょうしね。
しかし、平成の現代では東京が日本の中心であることは動かし難い事実で、大阪人が東京を嫌うのはコンプレックス以外の何ものでもないようにも思えます(実際、阪神ファンはアンチ巨人ですが、その逆はあまり聞きませんもんね)。
江戸時代、大坂には藩主がおらず、代官のみが居る幕府の直轄地でした。
一説には、江戸時代中期の大坂の人口は、町人14万人に対して侍900人ほどしかいなかったといわれ、その比率から考えれば、街を侍が歩いている光景など殆どなかったに等しいといっても過言ではないでしょう。
一方江戸は、参勤交代で常に地方から来た侍たちでごった返していました。
つまり、大坂は庶民のまち、江戸は侍(エリート)のまちだったわけです。
「東京は理屈のまち、大阪は情のまち」などとよく言われますが、こうして両町の歴史的成立過程をみても、頷けるような気がします。
大坂のような庶民のまちでは理屈はあまり通用せず、コネと金がモノを言う。
エリートが集まる江戸のような町では、自然と体面や世間体が重視される。
そうして形成されてきた両者の価値観が、21世紀になったとはいえ、そう簡単に理解し合えるとは思えませんね。
ただ、こっち(大阪)があっち(東京)を敵視しているほど、あっちはこっちを意識していないというところに、既に勝負はついている気はしないでもないですけどね。
ちなみに、やしきたかじんという人を知らない関東方面にお住まいの方に簡単に紹介すると、本業は歌手でありながら、若い頃からその話術は一流の芸人さんたちも一目置くレベルで、今では“関西最後の大物司会者”といわれるほどの人物です。
私の高校時代(30年近く前)にはラジオの深夜放送『MBSヤングタウン』でメインパーソナリティを務め、あの明石家さんまさんがそのサブパーソナリティだった頃もあったほどで(当時さんまさんはすでにブラックデビルなどで人気を博していた頃です)、当時のさんまさんのギャグの中には、たかじんさんのネタを盗んだものもたくさんあったほどです。
笑福亭鶴瓶さんとはお互いに食えない時代からの親友で、東京に進出して間もない頃の鶴瓶さんはたかじんさんを自身の“最後の砦”だと言っていました(自身が芸能界でいよいよ沈みかけたときには、たかじんと一緒に仕事をしたいという意味)。
その他、桂三枝さん、上岡龍太郎さん、島田紳助さんと、超一流の芸人さんたちが揃って一目置く存在で、単なる地方タレントのレベルではないということがわかっていただけるでしょうか。
まあ、素人の私が必死になって説明することではないんですねどね(笑)。
つまり、東京に“行けない”のではなく“行かない”んだということが言いたいわけで・・・。
ちなみに、そんなやしきたかじんさんの歌手としての最大のヒット曲が『東京』というタイトルの楽曲だというのが、なんとも滑稽な話ですね(笑)。
ご快復を心よりお祈りいたします。
ま、早期発見だそうですから、大丈夫でしょう!
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by sakanoueno-kumo | 2012-02-03 17:45 | 芸能 | Trackback | Comments(39)
本当に特殊な方ですね。
ラストの「ご冥福を…じゃなかった~」のくだりはたかじんさん相手だからこそ言えるセリフだなぁ、と思いました(^^ゞ
関東では分かりにくい、「キツク突っ込まれるほど愛情が深い」
「キツク突っ込むのは『これくらいあいつは鼻で笑っていなすよ』な信頼感」
という。
らしいな、と思いました。
まあ、たかじんさんと知り合いでもなんでもない私が、馴れ馴れしい言い方をするのも失礼かもしれませんが(苦笑)。
たしかに、関西でのキツいツッコミというのは、一種の愛情表現です。
入院中の友人を見舞いに訪れて、「また生きとったんか〜!」なんて言葉をかけるのは当たり前、むしろ、神妙な面持ちで励ましの言葉なんてかけたりしたら、かえって病気が悪化するかもしれません(笑)。
この感覚は、関東の方にはわからないでしょうね。
ところで話は変わりますが、貴ブログで拙文を紹介していただいてありがとうございます。
読ませていただいていましたが、さすがに私がそこにコメントを残すのは手前味噌な気がして、控えておりました。
この場を借りてお礼申し上げます。
貴ブログも当ブログ右下の「外部リンク」の欄に掲示させて頂きましたので、今後ともよろしくお願いします。
って、ちょっと堅いコメントになっちゃいましたが(笑)。
私のblogにコメ下さった折にご挨拶したきりですみません。
なんと、こちらに私のリンクまで…場違いじゃないかとヒヤヒヤしつつ、光栄です(^^ゞ
どうぞこれからも、よろしくお願い致しますm(_ _)m
「東京は理屈のまち、大阪は情のまち」なんて、よく言われることはないし、侍=エリートというのは、田舎や江戸ではありえたでしょうが、大坂は庶民のまち、江戸は侍(エリート)のまち」という区別の仕方も違います。大坂商人は特に船場を中心に非常に教養溢れる方々でした。江戸の庶民は、無学の方が多かったですが、大坂の場合は町人は、下っ端はともかく、和歌やら茶道やら一通りの教養は身につけていたのです。
「豊臣家の滅亡によって関西の経済は一気に冷え込んだでしょう」というのも、一時的には冷え込んだでしょうけども、町の規模は江戸時代に入ってからの方が、ずっと大きいし、経済も大きくなってます。
「大阪人が東京を嫌うのはコンプレックス以外の何ものでもない」というのも、コンプレックスを感じてるような人も目撃した経験はありますが、「以外の何ものでもない」というのは、間違い以外の何者でもありません。
コメントありがとうございます。
私は貴方のように文献を読みまくってはいませんので、かなり私見、偏見を述べさせてもらっています。
ですから文中では、「思う」「気がする」といった表現にとどめ、決して断言はしていないつもりです。
それでも、ご指摘のようなお叱りがあって当然かも知れません。
ただ、まったく的外れなことを言ってるとも思っていないのですが・・・。
たしかに、表現として適切ではなかった部分はあったかもしれません。
「江戸は役人のまち」とでも言えばよかったでしょうか。
でも私は、侍=エリートとは言いましたが、庶民=無学などとは一言も言ってませんよ。
もう一度確かめてください。
>「以外の何ものでもない」というのは、間違い以外の何者でもない。
たしかにおっしゃるとおりです。
この場合、「大阪人が東京を嫌うのはコンプレックスの場合が多い」と言うべきだったでしょうか。
ただ、前後の文脈からその論旨は察してほしいものです。
せっかくコメントいただいてこんな言い方は失礼かもしれませんが、言葉尻だけをつかまえて批判するというのは、「揚げ足取り」以外の何ものでもないと思うのですが・・・。
畿内人に何かコンプレックスでもおありですか?
東京の下町に住んでるけど
9割スノビストなわけないって。
普通におばちゃんとかいっぱいいるし。
ガラ悪い人もいっぱいいるし
優しい人もいっぱいいるよ。
よそ者にフレンドリーだと思う。
とりあえず関西よりは。
ちなみに海外住んでた時
出身地は「日本」でさ、
東京大阪関係なく日本人として
仲良かったけどね。
うちの家系は東京と関西の混血ね。
東京って、ものすごく関西出身者多いよ。
でも港区とか世田谷区が好きね。
だからスノビストだと思うんじゃない?
もっと下町来たらいいのにさ。
>東京大阪関係なく日本人として仲良かったけどね
そうでしょうね。
東京VS大阪なんて言ってるのは、所詮は井の中の蛙でしょうね。
>9割スノビストなわけないって
そりゃそうでしょう。
上の方はずいぶん東京人に対して偏見を持っているようです。
っていうか、“スノビスト”なんて横文字使うこと自体がスノビストなんじゃないの?・・・って。
関西人なら、大概“ええかっこしい”と言います(笑)。
ネットでも地域名表示の無い場で、大阪にちょっとでも批判的なこと書くと問答無用でトンキソ(東京人)認定されますし。
>阪神ファンが阪神の勝利よりも巨人の敗戦に快感を覚えるのと同じで・・・。
これは怖いですね・・関東の人は道頓堀ダイブしてる人とか微笑ましく好意的に思ってるのに、
大阪の人は渋谷でワールドカップ勝利を喜んでる人達をとても叩いてました。
それでいて大阪の人は度々「道頓堀ダイブしてるのは兵庫県民と和歌山県民だけ!生粋の大阪人はあんなことしない!」と言ったりでよく解かりません。
まあネット限定のプロレスごっこだと思いたいですが。
駄文に同意していただきありがとうございます。
ただ、ご意見うかがいまして、根本的に違うのは、私はそんな大阪人に好意をもっていますが、貴殿(男性の方ですよね?)はそんな大阪人を快くは思っていないようで・・・。
まあ、おっしゃられることはわからなくはないですが。
大阪人は、良く言えば大阪人としてのアイデンティティが強固だということだと思います。
ふつう、地方の人は東京に行けば方言を隠すそうですが、関西人は、東京に行けばいっそう関西弁が大げさになると聞きます。
自己主張が強いんですね。
>道頓堀ダイブしてるのは兵庫県民と和歌山県民だけ!
それは初耳です。
そんなことはないと思いますけどね。
東京出身ですが大阪のことをこちらは嫌いともなんとも思っていませんよ。
よく大阪の人が「東京人は冷たい」と言いますがそれは東京の中でも一部の地域、人の話で下町は情が深く暖かいですよ
別にいがみ合っていませんよ。
本文中でも言っているように、単なる妬みです。
そんなことより、やしきたかじんが亡くなられましたね。
この記事を起稿してから2年弱、こんなことになるとは、このときは思っていませんでした。
今日、たかじんさんのご逝去について起稿しましたので、よければ。
↓↓↓
http://signboard.exblog.jp/21548875/
しかしそれをコンプレックスの一言で片付けるのは??という感じ。日本に対して好き勝手する東京人に対して果たして
「コンプレックス」をむけるでしょうか?そこには純粋な嫌悪感しかないように思えます。
東京にコンプレックスなんて持ってませんし、敵対心もありません
現在の日本の首都としか思ってないのが純粋な大阪人の感想です
庶民の町とエリートの町とありましたが、それも間違いです
正しくは商人の町と侍の町です
大阪人でもない兵庫県民が勝手に大阪を知ったかのように語られても全く的外れで正しくないので、他の地方の方が誤解するんですよね
ちなみに大阪が嫌いと思ってる地方は東京ではなく兵庫に多いと思います
あくまで私統計ですが
そうですか。
とくに議論するつもりはありません。
わたしはわたしの考えを述べたまでです。
そして、純粋な大阪人の感想とおっしゃる貴方の意見も、単なる貴方の私見にすぎないでしょう。
気に喰わないのであれば、読み流してください。
自尊心と劣等感は表裏一体です。強い劣等感があるからこそ、過剰な自尊心に繋がることが多いです。例えば学歴に異様に固執する人は、逆に自分の学歴にコンプレックスを抱いていたりしますよね。ですから、「私は大阪人ですけどそんなことありませんけど」的な発言を真っ先にしてしまうひとは、そういう意味で周囲に誤解を与えやすいので、気をつけたほうがいいのかなと思います。ブログ主さんの記事の趣旨とは違いますが、ふと思ったのでコメントさせていただきました。以上です。
RES遅くなってすみません。
おっしゃるとおりだと思います。
そもそも、わたしが大阪人に対してコンプレックスがあると言ったのは、ある種親しみを込めて言ったつもりなんですが、それも生粋の大阪人の方にはお気に召さなかったようです。
ってか、神戸人のわたしが大阪人を語ったのが気に入らなかったのかもしれません。
あくまで、客観的、相対的に見て感じた意見であり、大阪人が、東京人が、すべてこの論に当てはまるとは言っていません。
この稿を書いたのは3年以上も前のことなんですが、いまだに反響があって驚いています。
残念です。
そうなんですか?
ぜんぜん知りませんでした。
だから反応が多いんですね。
まあ、こういう場で不特定多数の人に向かって発言しているわけですから、どこでどのように利用されても文句は言えないのかもしれませんが、わたしが関西人に対しての愛情表現のつもりで言った言葉が、逆に大阪煽りに利用されているというのは残念なことです。
あまり酷いようだと、この記事を削除する必要があるのかもしれません。
それが地名表示(北海道)であろうと(兵庫県)だろうと問答無用で東京人or関東人認定する(大阪府)がいるため
「いや兵庫の人もこう言ってるよ」という意味でこのブログのURLが張られてたことが昔あったようです。
今はもうないですけどね。ここのコメント欄にもブログ主さんをなぜか関東人認定してる人がいますし・・
僕もたかじんの東京嫌いは大好きでしたw
ブログ主さんの言いたいことすごくわかります。
同意していただきありがとうございます。
正直、この稿のコメント欄の堂々めぐりのやり取りには、辟易しています。
もう6年も前の稿ですからね。
そろそろ消そうかとも思っています。
貴重な中立的立場の客観的な、しかもたかじんさんへの愛に溢れた正論ですので消さずに取っておいてください。
知り合いの東京の人もたかじん好が結構居て意外でした。東京で放送されてない番組もDVDで観てたそうですw
少なくともこの人が福岡で顔が出てきたらチャンネルを変えようと思いました。
そうですか。
いいんじゃないですか?
観たくなければ観なくても。
もともと好き嫌いがはっきり分かれるタレントさんでしたから、関西では不動の人気がありましたが、それでもアンチもいました。
あなたが顔も見たくないほど嫌いでも、それを否定するところではありません。