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ロンドンオリンピック総括

16日間に渡って繰り広げられたロンドンオリンピックが閉幕して5日が過ぎましたが、いまだ日本中がその余韻に浸っているようで、連日のようにマスコミでは凱旋したメダリストたちの動向を報じています。
この度、日本が獲得したメダルの数は、金7、銀14、銅17の計38個
この成績は、これまで最多だった2004年のアテネ大会の37個を超えて史上最多だそうですね。
開幕以来、当ブログでもほぼ毎日オリンピックネタを起稿してきましたが、気がつけばこの16日間で日本人選手がメダルを獲得できなかった日は1日もなかったわけで、当然といえば当然の結果ですね。
某TV番組風にいえば、まさに“あっぱれ”な大会でした。

その中でもとりわけ“あっぱれ”だったのが、開幕早々からメダルラッシュで日本勢に勢いをつけてくれたといっていい競泳陣の活躍ですね。
今大会で競泳陣が獲得したメダルの数11個は、これまたアテネ大会の8個を超えて戦後最多となったそうです(史上最多は1932年のロサンゼルス大会の12個)。
残念ながら「金」はありませんでしたが(アテネ大会では金3)、個人競技ではこれまでずっと競泳界を引っ張ってきた北島康介選手抜きでの9個で、最後には男女ともメドレーリレーでのメダル獲得で締めくくり、見事というほかない結果でした。
メダリストはこれからの若い選手が多く、日本の競泳界の未来は明るいですね。

大会序盤の日本勢を盛り上げてくれたのが競泳陣ならば、大会終盤に有終の美を飾ってくれたのはレスリングでした。
とりわけ女子にいたっては、4階級中3階級制覇という圧倒的な強さを見せてくれましたし、男子も最終日に米満達弘選手が「金」を獲得して今大会すべての日本人選手の“締めメダル”となりました。
今大会、史上最多の38個のメダルを獲得しながら「金」は7個と少なめだったのですが、そのうち4個がレスリングですから、レスリング陣さまさまですね。
とくに伊調馨選手と吉田沙保里選手の3大会連続制覇の偉業達成は見事でした。
もはや日本は「女子レスリング王国」といっても過言ではないでしょうね。

一方で、その「金」の少なさの原因には、日本の「お家芸」だったはずの柔道の不振が挙げられます。
とくに男子柔道は1964年の東京大会で柔道が五輪種目に採用されて以来、史上初の「金ゼロ」となり、男女あわせても「金」獲得は松本薫選手ただひとりという結果に終わりました。
2004年のアテネ大会時の日本の「金」獲得総数は16個で、そのうち8個が谷亮子選手や野村忠宏選手をはじめとする柔道陣だったことを思えば、この度の日本勢の「金」7個という結果は、柔道の結果がそのまま反映された数字といえるでしょう。
柔道の場合、メダル獲得は最低限、「金」でなければ喜ぶべからず、といった空気の中で戦わないといけませんから、少々気の毒な気がしないでもないですが、先人たちもそんな中で結果を残してきたわけですから、そこは柔道家として仕方がない宿命ですね。
日本柔道が勝てなくなったのは、それだけ柔道という競技が世界的に普及した表れだから仕方がない、とする声もありますが、でもそれは日本から言うべきではないでしょう。
世界のレベルが上ったのか日本のレベルが下がったのか、いずれにせよ、柔道が日本発祥の競技である以上、日本は世界のトップであり続ける使命があると思います。
今回の結果をふまえ、柔道界は猛省して再建に臨んでほしいですね。

メダル常連組で不振に終わった競技といえば、シンクロナイズドスイミングもそうですね。
シンクロが正式採用された1984年のロサンゼルス大会以降、日本がメダルを獲得できなかったのは初めてだそうです。
私はシンクロには詳しくないので、メダルを逃した原因はよくわからないのですが、聞くところによると、かつて日本チームのコーチとして日本シンクロ界の基礎を築いた優秀な指導者が何らかのもめごとで退任し、その後その方が監督に就任した中国の躍進によって、日本がメダル圏外に押し出される結果となったといいます。
素人考えではありますが、シンクロのような競技は選手の能力よりも指導者の能力によって大きく左右するものなんじゃないですかね。
そんな優秀な指導者を手放したことが痛かったんじゃないでしょうか。
間違っていたらスミマセン。

あと、オリンピックの花形である陸上競技でも、ハンマー投げの室伏広治選手の「銅」1個だけでしたね。
かつて4大会連続でメダルを獲得した女子マラソンは惨敗に終わり、北京大会に続いて2大会連続メダルを期待された男子400メートルリレーも、残念ながら5位に終わりました。
陸上トラック競技の場合、非ネグロイドが入賞することがいかに難しいことであるかは理解していますが、それでも近年、伊東浩司選手や朝原宣治選手、為末大選手などの活躍で、確実に世界との差が縮まりつつある観があっただけに、今回の結果は一歩後退といった観が否めません。
4年後の巻き返しを期待したいですね。

そんな中で史上最多のメダル獲得数に至った背景には、“史上初”“◯◯年ぶり”といった嬉しい誤算のメダルが数多くあったことが挙げられます。
“史上初”のメダル獲得でいえば、女子サッカー「なでしこジャパン」をはじめ卓球女子団体フェンシング男子フルーレ団体バドミントン女子ダブルスアーチェリー女子団体など、団体競技での活躍が目立ちましたね(個人競技では女子重量挙げの三宅宏実選手が史上初でしたね)。
“◯◯年ぶり”を挙げると、先述したレスリング男子の米満達弘選手が24年ぶりの「金」を獲得したことをはじめ、男子ボクシングの村田諒太選手が48年ぶりの「金」、女子バレーボール28年ぶりの「銅」、体操個人総合の内村航平選手も28年ぶりの「金」でした(あと、史上最多を記録した競泳陣の中でも、種目別に見れば“史上初”や“◯◯年ぶり”が多くありました)。
この結果は実に喜ばしいことだと思いますが、これを今回のみのフロックに終わらせず、次回以降も継続できるよう力を維持していくことが大切だと思います。
次は、◯大会連続を期待したいですね。

さて、連連と振り返ってきましたが、最後に私の独断と偏見でロンドンオリンピック日本人選手のMVPを男女ともに挙げたいと思います。
まず男子は、何といっても体操個人総合で「金」を獲得した内村航平選手ですね。
その理由は、今大会の「金」7個のうち、唯一格闘技以外の競技で獲得したのが内村選手だったことと、大会前の下馬評で、「金メダルに一番近い男」と評されながら、見事その期待に答えたことです。
これって簡単なようで、なかなか出来ることではありません。
続いて女子では、金メダリストの4選手の中から選びたいところですが、ここではあえて卓球女子団体の3人娘、その中でもとくに福原愛選手を挙げたいと思います。
理由は、同競技で男女通じて初のメダルを獲得したことはもちろん、福原選手の場合、幼いときから世間の注目と期待をずっと浴び続け、見事その期待どおりメダリストとなったことです。
「天才◯◯少女」などと持て囃される幼い子どもは珍しくありませんが、その期待どおりに成長した例は稀といっていいのではないでしょうか。
その意味で、彼女が日本の卓球のレベルを底上げしたといっても過言ではないでしょう。
そんな理由で、私はあえて福原選手にMVPを贈りたいと思います。

報道によると、五輪開催期間中のオンライン視聴率ランキングでは福原愛選手がダントツの1位で、推定視聴者数は237万5千人だったそうです。
内村航平選手も3位にランクインで推定視聴者数169万8千人だとか。
内村選手にしても福原選手にしても、注目度も期待度も絶大な中で結果を出した・・・。
これは私の個人的な意見ですが、注目された中で結果を出してこそ、真の実力者だと思っています。
その意味で、両選手はまさに真の実力者でした。
両選手ともに23歳、まだまだ今後も期待したいですね。

私の好きな野球ソフトボールが除外されたこともあって、開幕前には私の中で今ひとつテンションが上がらなかったロンドンオリンピックでしたが、終わってみればどっぷりオリンピック漬けとなった半月間でした。
オリンピックの魅力は、競技そのものではなく、4年に一度の舞台にかける選手たちの姿にありますから、その競技自体に興味があるなしはあまり関係ないんですね。
メダルを獲得した選手もメダルに届かなかった選手も、本当にお疲れさまでした。
そして感動をありがとう。
まだまだ余韻に浸りながらも、ひとまず当ブログでのロンドンオリンピックの稿を終えることにします。


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by sakanoueno-kumo | 2012-08-17 01:33 | 他スポーツ | Trackback | Comments(4)  

Commented by しばやん at 2012-08-19 12:48 x
オリンピックの話題で、これだけ書けるのはすごいですね。
どこかの新聞の総括よりもはるかに読みやすくわかりやすいです。

私も卓球女子の活躍に感激しました。福原愛ちゃんのMVPに納得します。
愛ちゃんがいなければ、卓球があれだけ注目されることはなかったでしょう。幼い時からよく取材され、負けるとよく泣いたので「泣き虫愛ちゃん」と長い間呼ばれていました。
世界のトップレベルとはまだまだ差があると思っていて、メダルを取れる実力があるとは思っていかっただけに、愛ちゃんらががんばって準決勝のシンガポール戦に勝った時は本当に感動しました。

Commented by とうもろこし at 2012-08-20 21:04 x
お久しぶりです(^^ゞ

>オリンピックの魅力は、競技そのものではなく、4年に一度の舞台にかける選手たちの姿にありますから、

本当ですね…しみじみ。
また逆に、普段、興味のない競技や国に関心をもつきっかけになります。

今回の五輪は、日本人に関わらず、いわゆる‘王者’が苦戦した印象でした。

>注目された中で結果を出してこそ、真の実力者


吉田選手、伊調選手、そして内村選手は、実力と意識が段違いでしたね。
内村選手なんて、ここ最近ない不調の中、金メダルを勝ち取りましたものね。

また、愛ちゃんの今の姿には感動です。
選手として、女性として、あの注目の中で、よくぞここまで素敵に成長したなぁ…と…。
Commented by sakanoueno-kumo at 2012-08-21 17:22
< しばやんさん。

RESS遅くなってスミマセンm(_ _)m。
また、過分なお言葉ありがとうございます。

まさしく、愛ちゃんがいなければ卓球があれだけ注目されることはありませんでした。
単に卓球の強さだけでいえば、あるいは石川佳純選手のほうが上だったかもしれませんが、その石川選手もかつては愛ちゃんに憧れていた少女だったわけで、愛ちゃんなくして今の卓球界は語れないと言っても大過はないでしょうね。
幼い頃からずっと注目され、やがてその注目は期待に変わり、その期待の中で結果を出した。
スゴイですよね。

40歳代以上のオジサン、オバサンの世代からすれば、成長した娘の姿を見るようで、余計に応援したくなる存在でもあったんじゃないでしょうかね。
Commented by sakanoueno-kumo at 2012-08-21 17:49
< とうもろこしさん。

コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、これをきっかけにその競技に深くのめり込んだり、子供なんかは、これをきっかけにその競技を始めたりする場合がありますよね。
昨日、東京でメダリストのパレードが行われましたが、沿道には50万人も集まったそうですね。
オリンピックの影響力ははかりしれません。
願わくば、これを一時的なものにしてほしくないですよね。

>王者が苦戦した印象

なるほど・・・。
私もすべての競技を観たわけではないので、具体的に貴女のおっしゃられる王者が誰を指しているのかわからないのですが、例えば北島康介選手や団体戦のときの内村航平選手もこれに当てはまるでしょうか?
男子サッカーのスペインもそうですね。

実力者が実力通りの結果を残すというのは簡単なことではありません。
逆にそう注目されてない人が実力以上の力を発揮する場合もよくあります。
でも、真の実力者は、注目・期待された中で結果を残す人・・・おっしゃるように、吉田選手や伊調選手、そして内村選手はまさに真の実力者ですね。
ウサイン・ボルト選手などはその最たる者かと・・・。

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