平清盛 第47話「宿命の敗北」 その2 〜富士川の戦い〜

 石橋山の戦いで大敗した源頼朝だったが、その後安房国に逃れ、そこで千葉常胤上総広常ら在地の有力豪族を従えてまたたく間に関東を制圧。そして父祖ゆかりの相模鎌倉に入った。その動きを知った平家方では、平清盛の孫(平重盛の嫡子)・平維盛を総大将とする討伐軍が編成され、治承3年(1180年)9月21日に福原を発った。しかし、京の六波羅に到着した後、縁起の良い日を選んで出発しようという侍大将の伊藤忠清と維盛の間で意見がぶつかり、そうこうしているうちに1周間ほどの時間が過ぎた。これが命取りとなった。

 平家方が時間を空費している間に、頼朝の元には続々と諸国の兵が集まり、数万騎の大軍に膨れ上がった。さらに甲斐国では甲斐源氏の武田信義が、信濃では頼朝の従兄弟にあたる木曾義仲が挙兵。維盛率いる討伐軍がようやく京を出立したのは9月29日だったが、軍勢が駿河に到着する頃には、すでに平家方の先発隊や在地の平家勢力は武田信義以下の甲斐源氏に滅ぼされており、頼朝軍の優勢が出来上がりつつあった。鎌倉時代の正史『吾妻鏡』によると、このとき頼朝の軍勢は20万騎にも及んでいたという。石橋山の戦いで敗走した際、わずか6名となっていた頼朝主従が、たかだか2ヶ月足らずの間でのこの膨れ上がりようには驚きである。これは、頼朝に対する忠誠心カリスマ性と言うよりも、それだけ平家政権に対する不満が諸国に蔓延していたからにほかならない。つまりは、頼朝も担ぎ上げられた神輿にすぎなかったのである。そのことは、後に頼朝も痛感することになる。

 『平家物語』によると、一方の平家軍は7万騎ほどだったとあるが、そのほとんどが進軍しながら招集した兵(駆武者)が中心であったため戦意に乏しく、さらに折からの西国の大飢饉で兵糧の調達に苦しみ、士気は低かったという。そんななか先発隊のい敗北を聞いて恐れおののき、続々と源氏方に寝返ってしまったという。実際に戦える兵力は、平家方3千騎に対して源氏方は4万騎ほどだったとか。勝負は戦う前から決していたといえよう。この状況をみて侍大将の伊藤忠清は撤退を進言したが、総大将の維盛は頑としてこれを聞き入れなかったという。このあたり、ドラマにあったとおりである。

 10月24日夜、武田信義の部隊が平家の後背を衝くため富士川の浅瀬に馬を乗り入れたところ、その軍勢の動きに驚いた水鳥の大群が一斉に羽ばたいた。この音を敵の奇襲だと錯覚した平家軍は、大混乱に陥ったという。『吾妻鏡』によると「その羽音はひとえに軍勢の如く」とあり、『平家物語』『源平盛衰記』によると、兵たちは弓矢、甲冑、諸道具を忘れて逃げまどい、他人の馬にまたがる者、杭につないだままの馬に乗ってぐるぐる回る者、集められていた遊女たちは哀れにも馬に踏み潰されたという。この話がどこまで事実かはわからないが、水鳥の羽音のことは当時の貴族の日記にも記されているそうで、何らかの混乱はあったと考えてよさそうである。

 結局はこの混乱を立て直すことができず、さすがの維盛も忠清の進言を入れて撤退を決意。平家軍は総崩れとなって逃走した。退却中、全軍散り散りになり、維盛が京へ逃げ戻ったときにはわずか10騎になっていたとか。詳細を知った清盛は激怒し、激しく叱責したうえ維盛の入京を許さなかったという。さらに清盛は忠清に死罪命じたが、ドラマのとおり、平盛国の執り成しで許されたという。

 以上が平家の連戦連敗のきっかけとなった「富士川の戦い」の経緯だが、水鳥云々の話は別にしても、討伐軍にの総大将に戦知らずの維盛を立てたり、兵力の招集方法がずさんだったりと、平家軍は負けるべくして負けた感がなくもない。石橋山の戦いで大勝した油断があったのか、あるいは太平の世の慢心からきた惰弱ぶりだったのか、いずれにせよ、この敗戦による平家の威信の低下は著しかった。この敗戦から、「おごる平家は久しからず」の物語がはじまる。


ブログ村ランキングに参加しています。
よろしければ、応援クリック頂けると励みになります。
     ↓↓↓
にほんブログ村 テレビブログ 大河ドラマ・時代劇へ
にほんブログ村
[PR]

by sakanoueno-kumo | 2012-12-06 00:44 | 平清盛 | Trackback(1) | Comments(0)  

トラックバックURL : http://signboard.exblog.jp/tb/19317118
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Tracked from ショコラの日記帳 at 2012-12-06 22:54
タイトル : 【平清盛】第47回視聴率と感想「宿命の敗北」
第47回の視聴率は、前回の10.3%より少し上がって、10.8%でした♪1180年、源頼朝が打倒平家を掲げて挙兵。清盛は、すぐに孫の維盛(井之脇海)を総大将、忠清(藤本隆宏)を軍師に任命...... more

<< 平清盛 第48話「幻の都」 平清盛 第47話「宿命の敗北」... >>