八重の桜 第2話「やむにやまれぬ心」 ~黒船来航~

 嘉永6年(1853年)、アメリカ合衆国のマシュー・ペリー提督率いる艦隊が江戸湾浦賀沖に来航し、200年以上鎖国政策を続けてきた政権・江戸幕府に開国を迫りました。一般に「黒船来航」と呼ばれるこの事件から、「幕末」といわれる時代が始まります。

 「黒船来航」といえば日本にとって突然の出来事だったように思いがちですが、実はその1年前に幕府は、長崎のオランダ商館長・ヤン・ドンケル・クルティウスから黒船来航の詳細な情報を得ていました。時の老中首座・阿部正弘はその情報に接してすぐさま対応策を幕府内に働きかけますが、協議の結果、「オランダ人は信用ならない」という根拠のない理由で一蹴されてしまいます。そして1年後に黒船艦隊が浦賀沖に現れ、幕府内は大慌てになるんですね。「想定外」といって原発事故が発生してから右往左往する現代の政府と似たものを感じます。

 突如出現した黒船艦隊を見た下田の人々の驚きは大変なものだったでしょうね。これが現代であれば「黒船来航なう!」とか言ってツイッターなどで瞬時に伝わるでしょうが、ときは160年前の江戸時代。当然ながら伝達手段は口コミか手紙しかありません。にも関わらず黒船来航のニュースは、わずか2週間足らずで北は八戸から南は薩摩までほぼ日本中に知れ渡ったそうですから、この出来事がいかにビッグニュースだったかがわかります。当時の日本人にとっては、進んだ科学力を持った異星人が現れたような恐怖だったのでしょう。その驚きは、予てより西洋文化にあかるかった佐久間象山吉田寅次郎(吉田松陰)とて同じでした。

 黒船という西洋の先進文明を目の当たりにした寅次郎は、その知識を得るため同郷の金子重之輔とともに黒船に乗り込んで密航を試み失敗。その罪によって投獄され、阿部正弘のはたらきかけによって死罪こそ免れたものの、郷里の長州へ檻送され野山獄に幽囚されてしまいます。そして寅次郎の師であった佐久間象山も連座して投獄、さらににその後は文久2年(1862年)まで、松代での蟄居を命じられます。ドラマ内で勝麟太郎(勝海舟)が言っていたとおり、これから日本にとって最も役に立つであろう二人を、幕府は罪人にしてしまいました。こののち二人が歴史の表舞台で活躍することはついにありませんでしたが、二人の意思を継承した門下たちが、幕末の時代を大いに暴れ回ります。おそらく本ドラマで吉田松陰と佐久間象山の出番はこの先あまりないでしょうが、この二人の知識人が幕末の歴史に残した影響は大きく、この時代の物語を描くにあたって欠かせない人物といえます。

 さて、ドラマの本筋に戻って山本八重。砲術師範の家に生まれた八重は、女子ながらに砲術を学びたいと言います。そんな八重を父・山本権八は鳥撃ちに同行させ、八重の目の前で野鳥を殺生します。
 「弾に急所さ射抜かれたら必ず死ぬ。鳥も獣も人間もだ。鉄砲は武器だ。殺生する道具だ。戦になれば人さ撃ち殺す。角場の的撃ちは面白く見えっかもしんねえ。だけんじょ的さ撃ちぬくちゅうことは、すなわち人間の心の臓さ撃ちぬくちゅうことだ。恐れることを知らず、形だけ真似ていては、いつか己の身が鉄砲に滅ぼされる。だから砲術をやる者は学問と技を磨かねばなんねえ。何より立派な武士でなければなんねえ。おなごのお前には到底背負いきれねえ。二度と鉄砲の真似事はするな。」
 あえて残酷な殺生を見せることによって、命の重み、武器を手にする怖さを諭す。これ以上説得力のある教育はないんじゃないでしょうか。

 それにしても、八重の幼少期を演じた子役の鈴木梨央ちゃんは上手かったですね。『天地人』の加藤清史郎くん、『江~姫たちの戦国~』の芦田愛菜ちゃんに続いて、またまたスターになるのでしょうか。今話で出番が終わりなのが残念です。


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by sakanoueno-kumo | 2013-01-14 02:12 | 八重の桜 | Trackback(1) | Comments(0)  

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