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軍師官兵衛 第20話「囚われの軍師」 ~黒田職隆の大英断~

 2週遅れのレビューです。当方いま、めちゃめちゃ忙しい身でして、GW以降ずっと不眠不休の日々を送っております。ブログの方も気にはなっていたものの、先週はとてもそんな時間はとれず、いまもその状況は抜け切れていないのですが、これ以上滞ると、その後もやる気が萎えてしまうと思い、なんとか無理やり時間をつくってログインしました(こう仕事に追い詰められる生活になると、なんとなくASKAの気持ちがわからなくもない気になります・・・笑)。てなわけで、少し手短になりますが、ご容赦ください。

 黒田官兵衛荒木村重によって有岡城幽閉されるという最悪の事態をうけて、主を失った黒田家中は逆に一致結束したと伝えられます。その事実は、『黒田家文書』にある家臣の起請文によって確認されるそうで、それによれば、官兵衛の安否が不確かないま、家臣は一致団結して「御本丸」に忠節を尽くすと記されているそうです。本来、本丸とは城郭の天守のことをいいますが、ここに記されている「御本丸」とは、官兵衛の妻・のことだそうです。ここで興味深いのは、忠節を誓う対象が官兵衛の父・黒田職隆ではなく、御方様の光だったこと。この事実に、のちの江戸時代とは違う戦国武将の妻の存在感が見てとれます。もちろん、実質的な長は職隆だったでしょうが、光が家臣団の精神的支柱だったわけです。黒田家中は御方様を支える体制で結束したんですね。

 もうひとつ、窮地に陥った黒田家を救った大きな要因は、職隆の速やかな決断でした。官兵衛が有岡城から戻らない状況のなかで、職隆は変わらず織田信長に従うことを表明します。その理由は、織田家に人質に出している松寿丸の身を案じてのことに他ならないですが、もし、村重が黒田家を味方に引き入れるために官兵衛を人質に捕らえたとすれば、早々の織田家支持の表明は、まだ生きているかもしれない官兵衛の命を奪うことにもなりかねません。

 「いざというときが来たら、官兵衛を捨て、松寿を生かす」

 柴田職隆、迫真の演技でしたね。実際の職隆も、苦渋の決断だったに違いありません。結果、この職隆の判断によって、黒田家は織田軍の攻撃を受けずに済んだとすれば、大英断だったといえるでしょう。しかし、それで松寿丸の命を守れたかというと、信長はそう甘くはなかったんですね。

 威勢よく叛旗を翻した村重でしたが、早々に側近の中川清秀高山右近らに裏切られてしまいます。とくに中川清秀は、村重に謀反を促した人物といわれ、石山本願寺に兵糧を横流しして村重謀反のキッカケを作った張本人とも言われる人物ですが、村重を煽るだけ煽っておきながら、自身は戦うことなく信長に降伏しています。裏切り、寝返りが当たり前の時代とはいえ、なんとも節操のない話ですよね。右近の場合は、もともと謀反には反対の立場で、村重を翻意させようと何度も説得にあたったといいますから、必然の寝返りだったといえるかもしれません。一説には、信長から畿内のキリシタンを皆殺しにすると脅されたため、とも言われますが、いかがなものでしょう。

 いずれにせよ、側近にはしごを外された村重は、孤立無援の籠城戦に入ります。期待の毛利軍の援軍も得られず、圧倒的不利な状況に陥った村重でしたが、ここから村重は粘りを見せます。なかなか有岡城を落とせない信長は、この粘りの裏に官兵衛がいるのではないか・・・と、疑うんですね。そこで下した命令が、職隆の思いを断ち切るものだったわけです。その続きは次稿にて。


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by sakanoueno-kumo | 2014-05-27 22:03 | 軍師官兵衛 | Trackback(1) | Comments(2)  

Tracked from 平太郎独白録 親愛なるア.. at 2014-06-09 11:48
タイトル : 大河ドラマ「軍師官兵衛」での涙の名演技に思わず胸に迫るも..
今年の大河ドラマ「軍師官兵衛」ですが、全国的にどうかはわかりませんが、北部九州地方ではダントツ1位の視聴率を誇っております。(最近はそうでもないようですが、一時期は本当に2位以下に大きく差をつけてのぶっちぎりの1位でした。)地元だから・・・なのかもしれませんが、だとすれば、福岡人も変わったなあ・・・と。地元を盛り上げよう・・・とか言ったって、まあ、1~2回はお付き合いで見るかもしれませんが、私が知るかぎり、とにかく粘りがないのが福岡人なんで・・・(笑)。でも、黒田官兵衛孝高(如水)が摂津有岡城に幽閉さ...... more
Commented by heitaroh at 2014-05-27 22:19
待ってました(笑)。ご多忙のご様子、手短に要件を。
信長の長政死刑命令が出された経緯というのは実際、あんな感じだったのですか?私は官兵衛幽囚からすぐに出されたのかと思ってました。
ご多忙でしょうが、宜しくお願いします。
実は私も貴兄ほどではないものの、結構多忙でして、当然、GWもありませんでした。
Commented by sakanoueno-kumo at 2014-05-27 22:37
< heitarohさん。

いや、実はわたしもそう思っていたのですが、このたび大河ドラマの予習で読んだ本にそう書いてあったのと、ネットでも幾つかその説を見かけ、わたしもその方が説得力があるように思えました。
有岡城から帰ってこないというだけでは、殺されたんじゃないかとは思っても、村重に味方したんじゃないかという不信感を抱くだろうか?・・・と。
彼女が男の家に行ったまま帰って来なかったら、大概の場合不信感を抱くでしょうけどね(笑)。

わたしも、5月は5日の祝日1日だけしか休んでいません。
忙しくさせてもらえるのはありがたいことですが、忙しすぎるのも困ったものです。

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