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大坂の陣400年記念ゆかりの地めぐり その40 ~伝・徳川家康の墓(南宗寺)~

シリーズ最終稿です。
徳川家康の墓所といえば、日光東照宮に立派な廟所がありますが、実は大阪府堺市にある南宗寺にも、家康の墓と伝えられる古い墓石があります。

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家康が死去したのは、大坂夏の陣から1年足らずが過ぎた元和2年(1616年)4月17日と言われていますが、ここ堺のまちには、家康は大坂夏の陣討死していたという伝承があります。
それによれば、夏の陣最終決戦の茶臼山の戦い真田信繁(幸村)の猛攻を受けた家康は、駕籠に乗って逃亡しますが、その途中、後藤又兵衛基次に駕籠の上から槍で突かれます。
その後、辛くも堺まで落ち延びますが、駕籠を開けてみると家康は絶命していた・・と。
しかし、混乱を避けるために家康の死はふせられ、家康とそっくりだった古川城主の小笠原秀政影武者として立て、家康の遺骸はここ南宗寺に埋葬された・・・と。
その墓が、これ。↓↓↓

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これが家康の墓?・・・と言いたくなるような、小さな墓石です。
碑文も何も刻まれていません。

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でも、それは極秘で建てられた墓だから、という理由は成り立たなくもないです。

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そんな荒唐無稽な話、にわかに信じられるはずがないと言いたくなりますが、この伝承には、いくつかの根拠があるんですね。
まずは、これ。↓↓↓

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「坐雲亭」という茶室の建物ですが、このなかに、元和9年(1623年)7月に第二代将軍・徳川秀忠が、同年8月に第三代将軍・徳川家光が参拝したことを記した板額が掛かっているそうです。

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なぜ、将軍が相次いでこの地を訪問したのか・・・。
通説では、大阪夏の陣の翌年に駿府城において死去した家康の遺体は、はじめ久能山に葬られ、一周忌を経た元和3年(1617年)春に日光東照宮に改葬されたと言われますが、本当は、ここ南宗寺から日光に改葬された・・・と、堺では伝わるそうです。
だから、秀忠、家光が相次いて来訪した・・・と。
そう言われれば、もっともらしい気もします。

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上の写真は南宗寺禅堂の屋根ですが、よく見ると・・・

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三葉葵の御紋ですね。
これが、徳川家の紋であることは説明するまでもないでしょう。
ここ南宗寺は三好氏の菩提寺なんですが・・・。

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その三好一族の墓です。
菩提寺のはずなのに、なぜか隅っこのほうに追いやられています。
で、境内のど真ん中にあるのが、これ。↓↓↓

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「徳川家康の墓」と刻まれています。

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この綺麗な墓石は近年建てられたものですが、第二次大戦時の空襲で焼ける前には、この場所に東照宮があったそうです。
墓堂の基礎部分は、東照宮時代のものだそうです。

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とまあ、そんな具合に、伝承にはそれなりの根拠があって、まったくもって荒唐無稽な話でもないんですね。
ただ、ツッコミどころはあります。
家康を槍で突いたとされる後藤又兵衛基次は、茶臼山決戦の前日の道明寺の戦いで討死していますし、堺のまちも、紀州攻めの途中に豊臣方の大野治胤らによって焼き払われており、この南宗寺も例外ではなかったと思われます。
面白い話ではありますが、やはり、伝承の域を超えるものではないでしょうね。

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でも、火のないところに煙は立たぬで、徳川方の誰かがこの地に葬られたのかもしれません。
で、ここからは、わたしの勝手な想像ですけど、討死してこの地に葬られたのは、家康の影武者の方だったんじゃないかと・・・。
だから、徳川家はその後、手厚く弔ったのではないかと・・・。
そう考えれば、二人の将軍が相次いで参ったことも、三葉葵の御紋も東照宮も、すべて説明がつくんじゃないかと・・・。
いかがでしょうか?

さて、9月から40回にわたってめぐってきた大坂の陣ゆかりの地シリーズ、その前の大坂城シリーズも入れれば約半年間お付き合いいただいた大坂の陣400年記念シリーズですが、本稿をもって終わりにしたいと思います。
なんとか大坂の陣400年記念の間に終われてよかった(笑)。
当ブログを見て興味を持たれた方は、ぜひ史跡をめぐってみてください。
自分の足で現地を歩いて、そのあと、小説やドラマを見返すと、面白さ倍増ですよ。



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by sakanoueno-kumo | 2015-12-29 15:54 | 大坂の陣ゆかりの地 | Trackback | Comments(0)  

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