太平記を歩く。 その1 「笠置山・前編」 京都府相楽郡笠置町

京都府、奈良県、三重県の3県が交わる県境ちかくにあるJR笠置駅を訪れました。

ここは1日の利用客はがわずか200人余りしかいない小さな山奥の単線の駅で、電車は1時間に1本しか発車しません。


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そんなひっそりとした山奥で、約700年前にわが国の歴史が大きく動きました。

それが、これ!


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元弘元年(1331年)9月に起きた「元弘の乱」における笠置山の戦いのジオラマモニュメント。

笠置駅前のいちばん目立つ場所にあります。

「元弘の乱」とは、鎌倉幕府を倒すべく挙兵した後醍醐天皇(第96代天皇・南朝初代天皇)と、鎌倉幕府北条氏の戦いのことで、ここ笠置山は、その決戦の場となりました。

『太平記』の3巻に出てくる最初のクライマックスです。


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なぜここを訪れたか・・・。

これからしばらく『太平記』に関連する史跡を、関西を中心にめぐってみたいと思い立ちました。

となると、まず最初に紹介すべきは、最初に歴史が大きく動いた、ここ笠置山の地からスタートすべきかと思い、神戸から車で約2時間かけてこの地を訪れました。


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『太平記』は、わが国中世の大乱を描いた戦記文学です。

乱世を描いて、なぜ『太平記』というのか不可解な作品で、その内容は『戦乱記』というに相応しいものです。

作者は宮方(後醍醐天皇方)に近い人物といわれますが、詳細はわかっていません。


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『太平記』の書き出しは、平安時代以来の院政を廃し、天皇親政の世を実現した後醍醐天皇の元亨元年ごろに始まり、北条氏鎌倉幕府の滅亡「建武の新政」の成立、朝廷の分裂南北朝の並立、その南北朝のいずれかに属した公家や武家の興亡、やがて足利尊氏室町幕府を開き、その後、幕府内の抗争「観応の擾乱」、そして二代将軍・足利義詮が死亡する後村上天皇の正平23年(1368年)に至る、46年間が描かれています。

現在伝えられている『太平記』は全40巻あり、日本の歴史文学の中では最長の作品とされています。

もちろん、600年以上前に書かれたものですから、あくまで伝承の域を出ない虚実取り混ぜた話もたくさんありますが、日本の中世を知るにおいて、外せない作品といえます。


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駅前の笠置町産業振興会館の外壁には、「笠置元弘の乱絵巻」と書かれた長い看板が設置されていました。


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絵の下の文末には、<笠置寺所蔵の「笠置寺縁起絵巻」より>とあり、どうやら笠置山上にある笠置寺が所蔵する絵巻を観光客用の看板に仕立てたもののようですね。

通常、絵巻物は右から左へ展開するものですが、駅から笠置山に向かう導線の左側に設置されていることから、左から右へ読んでいく構成になっています。

意図はわかるのですが、縦書きの文章を左から読むのは、けっこう難しい・・・。


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笠置町産業振興会館の館内には、後醍醐天皇楠木正成が初めて対面した場面のジオラマが展示されています。


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『太平記』の3巻によると、笠置山の笠置寺に行在所を設けた後醍醐天皇は、自身の周りに名のある武将が全くいないことに不安に感じていたところ、夢で「木に南」と書く者が自分を助けるとのお告げがあり、その後、河内国の金剛山に楠木正成という者がいると聞き及び、急遽、正成を笠置山に呼び寄せたといいます。

吉川英治『私本太平記』では、後醍醐天皇の呼びかけになかなか応じない正成の心の葛藤が描かれていましたね。

わたしにとっての『太平記』の知識は、ほとんど『吉川太平記』がメインです。

なので、楠木正成のイメージは、やはり武田鉄矢さん。

こんなイケメンではありません(笑)。


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さて、そんなこんなで、しばらく『太平記を歩く』シリーズにお付き合いください。

たぶん、かなり長いシリーズになります。

次稿は笠置山を登ります。





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太平記を歩く。


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by sakanoueno-kumo | 2017-01-18 22:19 | 太平記を歩く | Trackback | Comments(0)  

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