カテゴリ:映画・小説・漫画( 17 )

 

映画『関ヶ原』鑑賞記

映画『関ヶ原』を今日、ようやく観てきました。

歴史ファンとしては観ておかないといけない作品で、およばずながら、素人なりの寸評を述べさせてください。

ここからはネタバレになりますので、これから観る予定でまだ観てない方は、読むか読まないかは自己責任でお願いします。


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観る前からある程度予想はしていましたが、やっぱりな・・・というのが率直な感想です。
ていうか、想像以上(以下?)だったかも。

やっぱ、無理があるんですよ、司馬遼太郎さんの長編作品映画化するのは。

原作小説の魅力をそのまま描こうとすれば、とても2時間3時間では収まらない。

大河ドラマ作品になってもよさそうなくらいの濃い内容の話ですからね。

それを2時間40分ほどに無理やり詰め込んだわけですから、ほとんどダイジェスト版のようなものでした。

「関ヶ原の戦い」という超有名な史実が題材ですから、ある程度観る側に予備知識があることを前提にして作られたものだとしても、あまりにも説明不足で、観る側の歴史知識のスキルを信用しすぎ、作りが雑すぎてわけがわからない。

一緒に観に行った妻なんて、途中から寝てましたからね。


わずか6時間でその後の日本の歴史が変わった関ヶ原の戦いですが、小説『関ヶ原』の面白さは、その「わずか6時間」に至るまでの経緯にあります。

つまり、戦術、戦略ではなく、それ以前の政略で雌雄を決したのが、関ヶ原の戦いと言っていいでしょう。

だから、そこを丁寧に描かないと、この物語の魅力は引き出せない。

合戦シーンは、その結論に過ぎないですからね。

合戦に至るまでに、徳川家康がどれだけ老獪豊臣恩顧の大名たちを抱き込んでいったか。

「へいくゎい者」と言われた不器用石田三成が、その柔軟性のない性格でどれだけ無用の反感を買ってきたか。

これがさっぱり伝わってこない。

三成らしさが出ていたのは、「上様」という言葉尻をつかまえて本多正信を叱責したシーンぐらいだったでしょうか?

家康の老獪さに至っては、その最も重要なシーンであるはずの小山評定がまるまる割愛されていました。

びっくりです。

小山評定のない『関ヶ原』なんて、『関ヶ原』じゃない!


登場人物の人物像がちゃんと作り込まれていたのも、三成と家康、そして島左近ぐらいだったでしょうか?

あとの人物たちは、その上っ面だけで作られた小者感たっぷりのキャラで、可愛そうなほどでした。

福島正則加藤清正なんて、あれじゃただのバカ殿ですよ。

短い時間でキャラ設定しようとすれば、ああいうわかりやすい人物像になっちゃうんですね。

あと、直江兼続も、何のために出したのかよくわからない。

兼続を出すんだったら、直江状上杉討伐も描かないと意味がないし、そもそも、三成と兼続の密約こそ、本当にあったかどうかわからない説なわけで、こここそ、別に割愛してもよかったシーンだったんじゃないでしょうか?

明らかに松山ケンイチさんの友情出演ありきのシーンで、唐突感ありありでした。


合戦に入ってからも、毛利秀元、吉川広家、安国寺恵瓊らの存在がまったく無視されていましたし、三成と懇意だったはずの島津隊がなぜ動かなかったかも、もうちょっと丁寧に描いてほしかった。

あれじゃあ、ほんとに原作をちゃんと読んでる人じゃないと理解できないですよね。

そこをちゃんと描かないと、西軍がなぜ負けたのかが伝わらないし、なにより小早川秀秋なぜ裏切ったのかがぜんぜんわからない。

秀秋自身は三成につきたかったけど、家臣に押し切られた?

原作小説とは違う解釈ですが、それはいいとしても、じゃあなんでそうなったの?

さっぱりわかりませんでした。


それから、初芽

原作では藤堂高虎から三成の元に送り込まれた間者でしたが、映画では、伊賀の忍びという設定でした。

まあ、それはいいでしょう。

もともと架空の人物ですから、原作小説とキャラ設定を変えるのもありだとは思います。

ただ、解せないのは、初芽だけじゃなく、原作には登場しない忍者たちがやたらと暗躍していたこと。

なんで?

これって忍者映画なの?

外国での忍者ブームにのっかって海外進出を狙ってる?

司馬さんの原作には、忍びは出てきません。

まあ、いくさは情報収集戦でもあったでしょうから、水面下での諜報部隊の働きはあったかもしれませんが、小山評定とかの重要なシーンを削ってでもクローズアップする必要があったでしょうか?

あの忍者たちのシーンが、作品を歴史映画じゃなくファンタジー映画にしてしまっていたように思えてなりません。


で、最後に、最も重要なところ。

敗走して落ち延びた三成が、なぜ自害しなかったかについてですが、原作小説では、最後まで望みを捨てずに生きる道を選び、再起を図るため・・・というものだったのに対し、映画では、死ぬ前に見届けたい大切な人に会うため・・・でした。

つまり、初芽に会うために自害しなかった・・・と。

いやいや、そこは変えちゃダメでしょう。

これって恋愛映画だったの?

三成はその処刑の直前、警護の者から干柿を差出されたところ、干柿は痰の毒だから食べないと言って断り、間もなく首を刎ねられる人が毒を断つのはおかしいと笑われますが、三成は、大義を思うものは首をはねられる瞬間まで命を大事にするものだ、それは何とかして本望を達したいと思うからである、と言い放ったというエピソードがあります。

この逸話が実話かどうかは別にしても、ここが三成最大の見せ場であり、関ヶ原の戦いの着地点ともいえます。

それを、好きな女に会うためなんて、そんな安っぽい理由にしちゃったら、三成が浮かばれません。

ここは、絶対変えたらダメなところでしょう!


岡田准一さん、役所広司さん、平岳大さん、有村架純さんと、豪華キャストで描かれた大作でしたが、残念ながら名作とはいい難い作品でした。

まあ、予想してましたけどね。

やはり、司馬さんの長編作品の映画化は無理があったということでしょう。

実に残念でした。



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by sakanoueno-kumo | 2017-10-01 05:06 | 映画・小説・漫画 | Trackback | Comments(0)  

映画『アナと雪の女王』鑑賞記

先日、話題の映画『アナと雪の女王』(吹き替え版)を、寸暇を惜しんで観てきました。
そもそもディズニー・アニメが好きなわけでもないんですが、これだけ話題沸騰の作品となれば、やはり話のネタに観ておくべきなんじゃないかと思い、といっても中年のオヤジひとりで観に行く勇気はなかったところ、たまたま妻と中1の娘が観に行こうとしていたので、便乗したというわけでして・・・(娘には「え〜!お父さんも行くの〜!」と、思いっきり嫌な顔をされましたが)。
さすがに映画館でも、わたしと同年代以上のオジサンは少なかったですね。

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で、観終えた感想ですが、といっても他のディズニー・アニメに詳しいわけでもないので、過去の作品と比較してどうこうというウンチクを垂れられるわけでもありません。
加えて、ミュージカルというものにもあまり馴染みがないので、これまたどう評していいのか難しいのですが、ひとことで言えば、「ふ〜ん。」といった感想です。
ストレートに言えば、期待していたほどではなかったかな・・・と。

たしかに、映像は綺麗だしCGアニメの技術も見応えがあり、音楽も歌も素晴らしく、たいへん良い作品といえるのでしょうが、『千と千尋の神隠し』『タイタニック』をも抜いて日本歴代興収のトップに躍り出ようとしていると聞くと、そこまでスゴイ作品だろうか?・・・と思うんですね。
ストーリーは、昔からあるお姫様ものの延長線上の話で、いたってシンプルなものでしたし、ストーリーに奥深さが感じられませんでした(ミュージカルとは、そもそもそういうものだと言われるかもしれませんが)。
わかりやすいといえばそうなんでしょうが、あれを観て泣いたという人の声が、わたしにはよくわからなかったですね。
あれなら、ジブリアニメの方が100倍感動できますし、ジブリと比較する自体が間違っていると言うならば、同じディズニー・アニメでも、『トイ・ストーリー』の方がはるかに物語に引き込まれました。
引き込まれたところといえば、歌だけでしょうか。
全体としては、展開が早くテンポが良かったので、だらける感はなく、2時間が短くは感じられましたけどね(時間が短く感じるというのは、名作といえるのかもしれません)。
まあ、そもそも観る前から勝手に期待しすぎてて、少しハードルを上げすぎていたのかもしれません。



ところで、注目すべきは、やはり二人の主役の声優さん、エルサ役で主題歌『Let it Go』が大ヒット中の松たか子さんも素晴らしかったですが、アナ役の神田沙也加さんは見事でしたね。
わたしたち世代のオジサンたちにしてみれば、彼女はどうしても松田聖子さんの娘さんという目で見てしまい、聖子さんの結婚、妊娠、出産の過程を見てきたファンとしては、「なんと立派になったものだ」と、勝手に親戚のオジサン感覚で見てしまいます(笑)。
いや〜、たいしたもんですよ。
松たか子さんの歌唱力は、映画を観る前から『Let it Go』を何度も耳にして知っていましたが、神田沙也加さんの歌唱力も、松さんに決して引けをとらないものでしたし、あるいは、お母さんと比べても負けてないかもしれません。
少なくとも、ファンの目から見てもお世辞にも上手いとは言えないお母さんの演技力に比べれば、沙也加さんのアフレコは素晴らしかったですね。
お母さんには絶対できないですよ、声優は(笑)。

ともあれ、話題沸騰の作品を、なんとか旬のあいだに観られてよかったです。
なんだかんだと言いながら、映画を観たあと、気がつけば「♪ありの〜ままの〜♪」と口ずさんでしまっているわたしです。
松たか子さんの歌声が耳にこびりついて離れません。

「♪すこ〜しも寒くないわ♪」

これが、ミュージカルの妙味なのかもしれませんね。



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by sakanoueno-kumo | 2014-06-05 21:37 | 映画・小説・漫画 | Trackback(1) | Comments(6)  

『ルパン三世 血の刻印~永遠のMermaid~』に見る、八百比丘尼の伝説とSTAP細胞。

昨夜、正月に録画したままになっていたアニメ『ルパン三世 血の刻印~永遠のMermaid~』を、今更ながらようやく観まして、で、結構おもしろかったので、ちょこっとだけ思ったことを綴ってみます(って、いま調べてみたら、この作品は2011年のものだそうですね。とすれば、なおのこと「今更」ですが・・・笑)。
『ルパン三世』のスペシャルアニメといえば、虚実とり混ぜた伝説に絡めて、温故知新的なテーマを込めたストーリーが多いですよね。
この作品も例外に及ばずで、題材となっていたのが「八百比丘尼」の伝説でした。

八百比丘尼とは、人魚の肉を食べて800年も生き続けたという女性で、主に北陸地方に伝わる伝説です。
その伝承によれば、若狭の漁村に住む16歳の美しい少女が、ある日、漁師の父親が訳あって持ち帰った人魚の肉を、それとは知らずに食べてしまい、それ以来、少女は歳をとらなくなったといいます。
やがて彼女の肉親や周りの村人たちは皆、老い、死んでいきますが、彼女はずっと16歳のままの美貌を保ち続けたといい、そんな我が身を憂いた彼女は尼となり、自らのを求めて諸国を行脚します。
それから800年という長い年月が過ぎ、久しぶりに若狭に帰ってきた八百比丘尼は、自らの呪われた肉体を封印すべく、洞窟に入り、そして二度と人前に姿を表さなかったそうです。
人寿800年と伝わりますが、実際には800歳で死んだかどうかもわからない・・・あるいは、今なお、洞窟内で生きているかもしれない・・・というのが、八百比丘尼の伝説です。

この話は室町時代に広まったといわれ、当時の文献にも、いくつか記されているそうです。
もちろん、八百比丘尼が実在したとはとても思えませんが、この種の不老不死伝説は世界各国に存在しており、「不死」はともかく、人間にとって「不老」永遠の憧れともいえます。
古くは『竹取物語』にも、不老不死の秘薬が登場しますしね。

『ルパン三世』では、八百比丘尼の血を引く現代の不老不死の女性が登場し、封印された八百比丘尼の財宝に迫るというストーリーで、その財宝というのは、八百比丘尼の不老不死の肉体のことで、その肉体は、突然変異の超活性化細胞によるものとされていました。
その超活性化細胞を手に入れて利用しようという悪玉が、ルパン一味と敵対することとなります。
アンチエイジングは金になりますからね。

ここまで観てふと思い出したのが、今年なにかと話題のSTAP細胞でした。
STAP細胞の有無の問題はここでは置いておいて、たしか研究者の小保方晴子さんの最初の発表会見のときに、「夢の若返りが実現できるかも」と言ってましたよね。
まさに、究極のアンチエイジング、つまり、STAP細胞にしてもiPS細胞にしても、再生医療研究の究極の到達点は八百比丘尼ということですよね。
人間、1000年前も今も、不老不死に対する思いは変わらないということがわかります。
でも、それが本当に幸せなことなのか?・・・ということを、八百比丘尼の伝説は教えてくれているんですね。

たしかに、万能細胞の研究が進んで、臓器の再生で病から救われたり、不幸にも手足を失った人が、再生治療によって元の手足を取り戻すことが出来たら、どんなに素晴らしいだろうとは思います。
失った永久歯を再生できたら、入れ歯なんていらなくなりますしね。
でも、その行き着く先が八百比丘尼だとすれば、どこまでが幸せでどこからが不幸なのか、わたしにはわかりかねます。
生きとし生けるものすべてが、時間の経過とともに老化し、やがて死にゆく・・・。
それが自然の摂理だとすれば、アンチエイジングというのは、実は神をも恐れぬ行為なのかもしれませんね。

八百比丘尼の伝説はハッピーエンドではありません。
不老不死を求めることは愚かなこと・・・この伝説には、そんな戒めが込められています。
温故知新です。


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by sakanoueno-kumo | 2014-05-01 22:48 | 映画・小説・漫画 | Trackback | Comments(2)  

磯野波平こと永井一郎さんの急逝を悼む、日本の父親を失った気分。

声優の永井一郎さんが亡くなられたそうですね。
永井さんといえば、国民的人気アニメ『サザエさん』磯野波平役を実に半世紀近くも演じてこられた、「日本の父」とでも言うべき声の主ですね。
e0158128_2029916.jpg82歳だったそうですが、波平役のみならず現役バリバリで活躍されていましたから、突然の訃報に驚きの声が広がっているようです。
たしか、ビートたけしさんと安住紳一郎アナのニュース番組のナレーションもしておられましたよね。
ナレーションはともかく、いまごろ波平役の後任探しに右往左往してることでしょう。
波平さんは存在感の大きな役ですからね。
「ばっかもーん!」
あの声が聞けなくなるのは寂しいかぎりです。

e0158128_20343858.jpg永井さんの代表作は波平さんでしょうが、わたしにとっては、『宇宙戦艦ヤマト』佐渡酒造徳川彦左衛門2役のイメージが、波平役と同じくらい印象深いです。
当時わたしは子供でしたから、2人の声を同じ人が演じてるとはまったく気づいておらず、それを知ったときは驚きましたね。
声優さんってスゴイなあ・・・と。
とくに心に残っているのは、やはり最終回のラストシーン。
昨年亡くなられた納谷悟朗さんが演じる沖田十三の死に際に立ち、敬礼するシーンです。
このとき佐渡先生は絶句するだけで台詞はないのですが、その息遣いがこちらに伝わってきました。
納谷さんも永井さんも、もとは声優さんではなく俳優さんですから、きっと台詞のないところでも演技されていたんでしょうね。

おそらく『サザエさん』は、この先何十年経ってもずっと続いていく作品でしょうから、やがては声優さんすべてが入れ替わり、2代目、3代目の波平役の方へと引き継がれていくでしょう。
でも、われわれ世代の波平役は、たぶんこれからも永井さんであり続けると思います。
永井さんの訃報の数日前には、アニメ『巨人の星』星一徹役だった声優の加藤精三さんも亡くなられたそうですね。
磯野波平、星一徹、昭和を代表する父親像だといっても過言ではないでしょう。
もう、消滅してしまった父親像ともいえるかもしれませんね。
お二方が亡くなられたことで、厳格な父親像は、よりいっそう過去の遺物化していくかもしれません。
昭和は遠くなりにけりです。

日本の父親を失った・・・そんな気さえします。
心よりご冥福をお祈りします。


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by sakanoueno-kumo | 2014-01-29 20:45 | 映画・小説・漫画 | Trackback | Comments(2)  

映画『フィールド・オブ・ドリームス』鑑賞記 その3 〜黒い霧事件〜

昨日の続きです。
「ブラックソックス事件」といえば、日本のプロ野球でも思い出される事件がありますよね。
昭和44年(1969年)から昭和46年(1971年)にかけて発生した「黒い霧事件」です。
あちらがマフィア絡みの事件なら、こちらは暴力団が絡んだ野球賭博のための八百長事件
この一連の騒動で、多くのスター選手が永久追放処分や長期間の出場停止などの厳罰を受け、プロ野球人気の低下、ひいては西鉄ライオンズ東映フライヤーズ球団売却へと影響を及ぼしたという、ある意味「ブラックソックス事件」より大ごとになってしまった、日本プロ野球史に残る汚点です。
処分を受けた選手を枚挙すると、事件の発端となる八百長事件を起こした永易将之氏をはじめ、池永正明氏、与田順欣氏、益田昭雄氏、小川健太郎氏、森安敏明氏らが永久追放、村上公康氏、船田和英氏、葛城隆雄氏らが1年間の出場停止、桑田武氏が3ヶ月の出場停止、坂井勝二氏が無期限出場停止、土井正博氏、成田文男氏らが1ヶ月の出場停止や謹慎処分、その他、訓告や戒告では江夏豊氏、三浦清弘氏、基満男氏といったビッグネームもいました。

e0158128_22513985.jpgそんな中、「ブラックソックス事件」におけるジョー・ジャクソン的な存在として、ファンから永久追放処分を惜しまれ、事件の象徴的存在となったのが西鉄ライオンズのエース・池永正明投手でした。
高校野球の甲子園大会から注目されていた池永投手は、西鉄入団1年目から20勝をあげて新人王に輝き、3年目には23勝をあげて最多勝利投手のタイトルを獲得。
すでに黄金時代が過ぎた西鉄ライオンズにあって、「鉄の男」と呼ばれた稲尾和久投手の跡を継ぐ新しいエースとして、ファンの期待を一身に受けていました。
しかし、5年目のシーズンを終えたオフに「黒い霧事件」が発覚。
チームメイトの永易将之投手にはじまって、次々に八百長に関与した疑いのある選手の名前が浮上し、その中に池永投手の名前もあたんですね。

最初は否定していた池永投手でしたが、後に元チームメイトの田中勉投手から金を受け取ったことを認めます。
先輩の田中投手から無理やり金を押し付けられたため断りきれず、やむなく金は受け取ったものの、八百長の依頼には一切応じなかったと彼は主張し続け、刑事事件としては不起訴処分となったものの、プロ野球機構の裁断としては、お金を受け取った時点で「クロ」と判断し、永久追放処分としました。
この点も、ジョー・ジャクソンと同じですね。
池永投手は選手生活5年のこの時点で99勝をあげており、このままのペースでいけば300勝も夢ではないほどの大投手となり得たわけで、追放処分後も彼の才能を惜しむ声があとを絶ちませんでした。
今で言えば、楽天の田中将大投手や広島の前田健太投手が突然永久追放になったようなものですから、当然のファン心理ですよね。
でも、その声は受け入れられることなく、しかしその後も池永氏は、「グラウンドでは不正をしていない」と一貫して主張し続け、そんな彼の復権を望む声はさらに高まり、処分取り消しを求める署名活動等の運動がたびたび行われました。
そしてその甲斐あってか、事件から35年経った2005年、ようやくプロ野球界に復権することが許されました。
これを「遅すぎた」という人もいますが、どうでしょうね。

刑法上は「疑わしきは罰せず」ですが、組織の倫理上は「李下に冠を正さず」なんですね。
とりわけフェアを原則とするスポーツの世界ならば、なおさらのことでしょう。
ジョー・ジャクソンにしても池永氏にしても、八百長に与したかどうかの真相は本人にしかわからないことで、金を受け取った時点でアウトというのは、至極当然の裁断だったと私は思います。
ただ、永久追放といった厳しい処分が妥当だったかといえば、難しいところですね。
永久追放とは極刑、つまり刑法で言えば死刑ですから。
ジョー・ジャクソンはともかく、池永氏はまだ25歳という若さで、しかも先輩から強引に誘われたという事情を考慮すれば、情状酌量の余地はあったようにも思えます。
でも、その後もメジャーリーグや韓国、台湾野球リーグなどで八百長事件が後を絶たないのに対して、日本プロ野球界では「黒い霧事件」以降、40年以上もその種の事件は起きていないことを思えば、あのとき断固として厳しい処分で臨んだ実績が、その後の教訓となって日本プロ野球界に息づいているのかもしれません。
幻の300勝投手・池永正明。
ある意味これも、彼がプロ野球界に残した功績といえるでしょうか。

なんか、映画鑑賞記のはずが、ずいぶん話が逸れちゃいましたね(苦笑)。


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by sakanoueno-kumo | 2013-06-21 22:54 | 映画・小説・漫画 | Trackback(2) | Comments(4)  

映画『フィールド・オブ・ドリームス』鑑賞記 その2 〜ブラックソックス事件〜

昨日の続きです。
映画の題材になっている「ブラックソックス事件」とは、1919年にホワイトソックスレッズの間で行われたワールド・シリーズにおいて発生した八百長事件のこと。
「ブラックソックス」とは、当時のホワイトソックスの選手たちは他のどのチームより低賃金でプレーさせられていたため、ユニフォームのクリーニング代もままならず、トレードマークであるはずの白ソックスまで常に黒ずんでいたため、八百長事件以前から「ブラックソックス」と揶揄されていたそうで、そんな背景から、野球賭博に加担する八百長に手を染めたと言われています。

e0158128_1682524.jpgこの事件で、名選手ジョー・ジャクソンをはじめとするシカゴ・ホワイトソックスの選手8人が球界から永久追放になりました。
当時、ベースボールは既にアメリカの国民的スポーツとなっており、この事件によってコミッショナー制度ができたともいいますから、この「ブラックソックス事件」が当時のアメリカ国内に与えた波紋はかなり大きなものだったようです。
ただ、当時のメジャーリーグには他にも八百長疑惑があったにもかかわらず、彼ら8人だけが追放処分になったことや、事件の遠因といっていい吝嗇家のオーナーが何ら処分を受けなかったことで、追放処分を受けた8人に世間の同情が集まり、「悲運の8人」(アンラッキー・エイト)と呼ばれて悲運のヒーローとして美化されていったそうで、彼ら題材にした小説や映画が多く作られたそうです。
この映画も、そんな中のひとつですね。

e0158128_1615647.jpg「悲運の8人」のなかで最もファンから愛されていたジョー・ジャクソンは、当時のメジャーリーグを代表する大打者で、マイナーリーグ時代に裸足でプレーしていたという逸話から「シューレス・ジョー」という愛称を持つスター選手でした。
同時代にタイ・カッブがいたため、結局一度も首位打者をとれませんでしたが、通算打率356はメジャーリーグ史上3位の高打率で、あのベーブ・ルースがバッティングフォームを手本にしたともいわれます。
打撃だけじゃなく守備も一級品だったようで、タイ・カッブは彼のことを、「メジャーリーグ最高のレフト」「彼のグローブの中で三塁打は死ぬ」と高く評価しています。
近年では、2001年にメジャーリーグ1年目のイチロー選手が、シーズン242安打という新人最多安打記録を90年ぶりに更新した際、それまでの記録保持者としてジョー・ジャクソンの名がクローズアップされていたのが記憶にあたらしいところですね。
タイ・カッブ、ベーブ・ルース、イチローなどの名前と並んで評されるほどの選手だったシューレス・ジョーことジョー・ジャクソン。
そんな彼が、32歳という若さでメジャーリーグを去らなければならなくなったことで、多くのファンの同情を集めたことは想像に難しくありません。

裁判所から出て来たジャクソンにひとりの少年ファンが、“Say it ain't so Joe!!”(嘘だと言ってよ、ジョー!)と叫んだところ、これに対してジャクソンは「ごめんよ、どうも本当らしい」と応えたという逸話は有名ですが、この話が本当なら、ジャクソンの八百長への関与を疑う余地はありません。
一方で、事件の舞台となった1919年のワールド・シリーズでのジョクソンの成績を見てみると、打率375、本塁打1、打点6、得点5、失策0と、とても八百長をしていたとは思えない数字です。
実際にジャクソン自身も後年、無実を主張していたそうですし、上述した少年との会話も、記者の捏造だと主張していたそうです。
今となっては真相は闇の中です。
私が想像するに、八百長をしたかどうかはわかりませんが、おそらくお金は受け取っていたんじゃないでしょうか。
八百長をしたかどうかを証明するのは難しく、どうあれお金を受け取った時点で「クロ」と判断されるのはやむを得なかった・・・日本のプロ野球でも、同じような事件がありましたよね。

この「ブラックソックス事件」から60年後の1989年に、メジャー通算4256安打の大記録を持つピート・ローズが、自身が監督を務めるチームの野球賭博に関与していたとして永久追放処分となりました。
ローズの場合も、野球賭博は認めたものの八百長は否定していて、事実、すべて自チームの勝ちに賭けていたと主張しています。
たしかに、その点からみれば八百長はなかったかもしれませんが、ジョー・ジャクソンと同じく、関わった時点で「クロ」と判断されるのはやむを得なかったんじゃないでしょうか。
「李下に冠を正さず」ですね。

ちなみに、ホワイトソックスはこの事件以降、1959年まで40年間ア・リーグ優勝から遠ざかり、ワールド・シリーズ制覇に至っては2005年まで86年間も遠ざかっていたことから、長らく「ブラックソックスの呪い」とささやかれていました。
日本でも、「カーネルサンダースの呪い」で27年間、日本一から遠ざかっている球団があります。
ちょっと意味が違いますが(笑)。

明日に続きます。


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by sakanoueno-kumo | 2013-06-20 16:16 | 映画・小説・漫画 | Trackback | Comments(0)  

映画『フィールド・オブ・ドリームス』鑑賞記 その1 〜カップルで観てはいけない映画〜

先日、映画『フィールド・オブ・ドリームス』をレンタルDVDで観ました。
1989年に公開されたケヴィン・コスナー主演のアメリカ映画で、野球を題材にして希望家族の絆親子愛を描いた、いかにもアメリカ映画らしい作品です。

e0158128_15354528.jpg内容を簡単に紹介すると、アイオワ州の田舎町で農業を営んでいたケヴィン・コスナー演じる主人公のレイ・キンセラが、ある謎のお告げの導きで自身の持つトウモロコシ畑を切り開いて小さな野球場を作ると、そこに1919年の「ブラックソックス事件」で球界を追放された、ジョー・ジャクソンをはじめとするシカゴ・ホワイトソックスの8人の亡霊があらわれ、レイやその家族たちと関わっていくという物語。
レイは若い頃に父親と口論の末に家を飛び出したまま、仲直りすることなく死別してしまったことを心の隅でずっと悔やんでいて、そんなレイと死んだ父親との絆のストーリーに、夢を追い求めながら道半ばで諦めてしまった者や、夢の舞台に立ちながらもそこを立ち去らなければならなくなった者たちが、時を超えてその夢を叶えていくというストーリーをラップさせて描くファンタジーです。

プロの野球選手として夢半ばに終わった父・ジョンが、ひとり息子のレイにその夢を託したのですが、レイは10歳のときに野球を重荷に感じ始め、14歳で父とのキャッチボールを拒否し、17歳のときその父にひどい言葉を浴びせて家出して、そのまま音信不通となり、父の葬儀にも出席しませんでした。
ひとり息子に期待をするのは父親として普通の思いですが、ときにはジョンのように、自分の叶わなかった夢を息子に託す親もいます。
ですが、夢を託された息子がそれを重荷に感じるのも至極当然の感情で、やがてそれは反抗となり、場合によっては大きな衝突となります。
レイとジョンのような関係の父子は、めずらしくはないんじゃないでしょうか。
息子は息子、自分とは違う生き方があるということを、父親は気付かねばなりませんね。
ただ、父親は何も好んで息子に重荷を背負わせようと思っているわけではなく、自分の得意とするもの、自分が情熱を注いできたものを通してでしか、息子とコミュニケーションを上手くはかれないという、いわば不器用な愛情表現ともいえます。
ジョンの場合、それが野球だったんですね。
でも、そんな父親の気持ちを息子が理解するのは、おそらくは自らが父親となってからのことでしょう。
でも、その頃には往々にして、父親はこの世にいなかったりするもので・・・。

36歳の息子と21歳の父がキャッチボールするラストシーンは胸にグッとくるものがありました。
レイとジョンに限らず、たいていの男の子なら子供の頃に父親とキャッチボールした思い出があるはず。
野球好きな父子にとっては、キャッチボールは言葉をかわす以上に心通じ合う会話です。
でも、息子の成長とともに、いつの頃からか父子で向きあってキャッチボールをすることはなくなっていきます。
たぶん父親はいつまでもやりたいと思っているでしょうが、息子のほうが嫌がるようになりますからね。
で、次に息子が父親とキャッチボールをしたいと思うときは、大概の場合、父親はこの世にいなくなったときなんですね。
でも、現実にはこの映画のように、死んだ父親とキャッチボールは出来ません。
このラストシーンは、レイが球場を作って父の生前の夢を叶えたことで、ずっと心の隅にあったわだかまりが消え、父の心情を理解できる年齢になった・・・つまり、心通じ合った・・・ということなんでしょう。
私はそう理解しています。
「親孝行したいときには親はなし」などといいますが、親が死んだあとでも親孝行は出来るとすれば、それは、親心を知ること・・・だと。

聞くところによれば、この映画はカップルで観てはいけない映画ナンバーワンと言われているそうですね。
なんでも、あの明石家さんまさんと大竹しのぶさんが夫婦だったころ一緒に観て、さんまさんがボロボロ涙を流して観ている横で、しのぶさんは冷めた口調で「バッカみたい!」とつぶやいたとか(笑)。
なんとなくわかる気がしますね。
私財を投げ売ってまで夢を叶えたいなんて、女性には理解し難い思いなんでしょう。
男の方が基本的にロマンチストで、女性の方がリアリストなんでしょうね。

次回、映画の題材になっている「ブラックソックス事件」について触れます。


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by sakanoueno-kumo | 2013-06-19 15:14 | 映画・小説・漫画 | Trackback(1) | Comments(4)  

銭形のとっつぁんこと、昭和の名アテ師・納谷悟朗さんの逝去を悼む。

アニメ『ルパン三世』銭形警部などの声で活躍した納谷悟朗さんが亡くなられましたね。
たしか、一昨年放送の同作品から、銭形警部の声は山寺宏一さんに交代していたと思いますが、そのときは峰不二子役の増山江威子さんや石川五エ門役の井上真樹夫さんらも一緒に揃って交代していたので、単なる世代交代だと思っていました。
実は体調を崩されていたんですね。

納谷さんといえば、銭形警部をはじめ『宇宙戦艦ヤマト』沖田十三艦長や、『風の谷のナウシカ』ユパ・ミラルダなど、たいへん存在感のある役どころの声優さんとして人気を集めましたが、意外にもご本人は、「声優」と呼ばれることに激しい抵抗を感じていたそうです。
もともと俳優畑から洋画の「アテレコ」を始めた納谷さんは、「声優である以前に俳優である」という姿勢とポリシーを持っていたそうで、「声優という呼び方は許さない」というのが口癖だったそうです。
インタビュー取材の際に「“声優の”納谷悟朗さん」と呼ばれたことに憤慨し、取材を断ったこともあったとか。
いまでは声優業というものがしっかり確立されていて、「声優になりたい」という人もたくさんいるそうですが、納谷の世代の方々にとっては、「声優=俳優くずれ」「声優<俳優」といったイメージが強かったのでしょうか?

昨今では声優さんがアイドルのような扱いを受けたりしていますが、声優ブームのきっかけとなった『宇宙戦艦ヤマト』のとき、アフレコスタジオの外でよくファンが出待ちをしていたこともあったそうで、そのときのことを振り返って、自身は「キャラクターの声を当てているだけであり、それがスターみたいな扱いをされるのは不思議でしょうがなかった」と語っていたそうです。
スターになるべくはキャラクターであり、その声の主がスター扱いされるのは本末転倒だ・・・ということでしょうね。
言わんとすることはわかります。
ただ、まあ、魅力的なキャラクターだからこそ、その声の主に興味がわくのもまた、当然のファン心理なわけで・・・。

納谷さんといえば、主役ではなく重要な脇役の声を担当していることが多かったと思いましが、その作品のもっとも重要な台詞を担当していることが多いんですよね。
e0158128_15271752.jpgその代表的なものが、映画『ルパン三世~カリオストロの城~』のなかの、有名すぎるほど有名なあのラストシーンのくだりです。
銭形警部 「くそっ、一足遅かったか! ルパンめ!まんまと盗みおって!」
クラリス 「いいえ。あの方は何も盗らなかったわ。私のために戦って下さったんです。」
銭形警部 「いや、ヤツはとんでもないものを盗んでいきました・・・あなたの心です。」
何十回と観たシーンですが、何度聞いてもシビれる台詞ですよね。

e0158128_15275622.jpgそれから、『宇宙戦艦ヤマト』ファンにとっては伝説的となった第一シリーズのラストシーン。
「地球か・・・何もかも懐かしい。」
はるか29万6千光年の旅を終えて地球に帰還する直前、死の間際に言った有名な台詞ですね。
この台詞を思い出すだけで、いまでも目頭が熱くなってしまいます。
沖田艦長の声を出していたとき、納谷さんはまだ40歳代、あの重厚な存在感は、どうやって醸しだしていたのでしょうか?

e0158128_15281188.jpg『ルパン』『ヤマト』がラストシーンの重要な台詞なら、『風の谷のナウシカ』では、作品最初の台詞を担当しています。
「また村がひとつ死んだ・・・。行こう。ここもじき腐海に沈む。」
物語はユパ・ミラルダのこの一言から始まります。
観る人をぐっと引きつけるための最初の台詞は、『ナウシカ』という作品の象徴ともいえる台詞でした。
ユパさまのカッコ良さ=納谷さんの魅力といっても過言ではないでしょう。

こうして見ても、何十年経っても語り継がれるような名台詞を数多く担当しているんですよね。
もちろん、台詞は脚本があるわけであって、納谷さん自身の言葉ではないのですけど、想像するに、脚本家あるいは演出家が、重要な台詞を納谷さんに語らせたいと思わされるような、そんな存在の方だったんじゃないかと・・・。
これだけ多くの名台詞を担当していたというのは、声優冥利に尽きるのではないでしょうか?
おっと、“声優”という名称はタブーでしたね。

納谷さんは、「声優」という言葉が一般的でなかったころに使われた「アテ師」という言葉には、それほど抵抗はなかったそうです。
またひとり、昭和の名アテ師がこの世を去りました。
謹んでご冥福をお祈りいたします。


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by sakanoueno-kumo | 2013-03-13 15:38 | 映画・小説・漫画 | Trackback | Comments(0)  

あだち充の名作『タッチ』の続編的作品『MIX』の新連載に思う。

1980年代に大ヒットした漫画『タッチ』の続編的な作品の連載がスタートして話題になっているようですね。
ゲッサンで始まったあだち充氏原作の野球漫画『MIX』は、あの『タッチ』の登場人物たちが通った明青学園の26年後を舞台として、2人の兄弟を主人公とする物語だそうです。
さすがに80年代を代表する作品の続編とあって、第1話が掲載されたゲッサン6月号が増刷するほどの人気となっているらしく、一部で入手困難となったため、ゲッサン7月号と週刊少年サンデーの28号に再掲載されるそうです。
一度掲載されたマンガが、数年以上経過してから“復刻”という形で掲載されることはあっても、1カ月という短期間で再掲載されるのは極めて異例のことだそうで・・・。
『タッチ』の人気は、四半世紀を超えて未だ根強いようですね。

e0158128_11252268.jpg私も何を隠そう(別に隠すことでもないですが)、『タッチ』の熱烈なファンの一人です。
昭和56年(1981年)に週刊少年サンデーで『タッチ』の連載が始まったとき私は中学3年生で、ちょうど上杉達也・克也兄弟や浅倉南と同い年でした(のちに漫画の中の彼らは、高校3年生の数ヶ月を1年以上かけて描かれたため、いつの間にか私よりひとつ年下になっていましたが)。
←買い揃えた単行本全26巻はすべて初版のものですし、今でも本棚の目立つ場所を占領しています。
私にとって『タッチ』は、15歳から19歳という多感な時代を共に生きた青春のバイブルといっても大げさではないかもしれません(クサイ言い方でスミマセン)。
ですから、『タッチ』の続編と聞けば無関心ではいられないわけですが、一方で、名作は名作としてそのままにしておいてほしい・・・といった思いもなきにしもあらずです。
続編といえば、たいていの場合オリジナルを超えることはなく、描き方によってはオリジナルの価値を下げる可能性もあるからです。
かつて、ラブコメブームの元祖と言われた昭和のヒット作で、柳沢きみお氏原作の『翔んだカップル』という作品がありましたが、続編に継ぐ続編で不評を買い、せっかくの名作に傷をつけてしまったという悪しき例も存在します。
南と達也の関係はその後どうなったんだろう?・・・達也はあのあと野球を続けたんだろうか?・・・そんな想像を想像のままにしておいて、答えを出さないほうがいいと思うんですよね。
あの物語は、あそこで終わっているからこその名作なんじゃないかと・・・。

漫画でも小説でも、それから音楽などにもいえることですが、その著作権を持っているのは作者ですが、公に発表した作品というのは、作者の所有物ではなく読者やファンのものでもあると思うんですね。
だから、たとえ著作権を所有している作者といえども、安易にさわるべきではないと思うんです。
特にミュージシャンなんかによくあることですが、何年か経って過去のヒット曲のアレンジを変えてリメイク版を発表したりしますが、あれってほとんどの場合オリジナルを超えることはありません。
アーチストにしてみれば、それが若い頃の作品だったりすると、演奏やアレンジ等の拙さが目に付くようになるみたいで、スキルアップした今の自分を伝えるべくリメイクしたくなるみたいですが、それって結局は作者のマスターベーションに過ぎないと思うんですよ。
ファンにしてみれば、その時代に聴いたそのままのアレンジ、そのままの歌声に思い出がいっぱい詰まっているわけで、それを断りなく(笑)リメイクして、こっちのほうがいいよ・・・っていわれても、それは作者の自己満足の押し付けでしかないんですよね。
著作権を持っている作者にしか与えられていない権利だけに、ファンが何を望んでいるかをしっかりと踏まえた上で、続編なりリメイク版なりの制作に臨んでほしいものですし、それがわからない場合は、安易にさわるべきではないと思います。

まあ、その辺りのことは、おそらくあだち充さんの場合はちゃんとわかっている漫画家さんだと思いますので、決してオリジナルに害を及ぼすような作品は描かないと思っています。
続編といっても、直接的な続編ではなく、同じ明青学園が舞台というだけで、物語としてはまったく新しいものなのでしょう。
ただ、何らかのかたちで『タッチ』と話がつながっている・・・でもきっと、あだち充さんのことですから、できるだけ直接的な言葉や描写を避け、さり気なく読者に伝えるような描き方をするでしょうね。
それは『タッチ』のなかで、柏葉監督が言った「新幹線の時刻表はありますか?」という台詞だけで、目の手術が成功したことを伝えたように・・・。
さらには、『タッチ』の最終話のラストシーンの最後のコマで、棚の上に飾った甲子園優勝の記念皿だけですべてを語ったように・・・。

なんか、また最初から読み直したくなってきました(笑)。


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by sakanoueno-kumo | 2012-06-14 10:54 | 映画・小説・漫画 | Trackback | Comments(0)  

「もしドラ」読記 その2 〜マネジャーとしての資質は『真摯さ』〜

e0158128_17431195.jpg昨日の続きです。
「もしドラ」のなかで引用されているピーター・F・ドラッカーの説くところを簡単にまとめると、「マネジメント」の定義について、マネジメントとは企業の方向付けを行い、ミッションを決め、その上で目標を定めて、成果責任を持つことだとしています。
そして、ドラッカーはマネジメントの役割として大きく3つの点をあげています。
まず1つ目は、組織に独自の目的と使命を定義し、それを果たすこと。
2つ目に、生産的な仕事を通じて、働く人たちに成果を挙げさせること。
そして3つ目に、組織として社会に貢献すること。
さらに企業の目的を顧客の創造だとし、その目的を達成するための方法として、マーケティングイノベーションをあげています。
マーケティングとは顧客からスタートすること、イノベーションとは新しい満足を生み出すことである、と。

原著の『マネジメント』も読んだことがなければ、その著者であるドラッカーのこともよく知らなかった私としては、この本で引用されている彼の言葉ひとつひとつに発見があり、なかには目から鱗モノの言葉もあったのですが、それよりも学ぶべきは、主人公・川島みなみの行動でした。
たとえば、みなみは何かに迷ったら『マネジメント』の本に帰るといった信念を持つに至るのですが、そうやって事あるごとに原点に帰り、自己を省み、解決策を探ろうとする姿勢は、経営者のみならず社会人としてあるべき姿だと思わされますし、簡単なようでなかなかできないことだと思います。

また、みなみは組織とは何か、顧客とは誰かを考え抜き、結果、野球部とは「顧客を感動させる組織」と定義し、その方向性が一貫してブレずに行動していきますが、彼女のように組織の定義を突き詰めて考え、顧客を捕らえようと常に考えて行動している経営者が、はたしてどれほど現実の世に存在するでしょうか。
「顧客のために」という言葉はよく耳にしますが、多くの場合それは社内訓辞や事故を起こしたときの外部に対する弁解の台詞にしか過ぎず、企業は利益を得ることのみが目的で顧客は二の次といった、利益至上主義の場合がほとんどのように思えます。

ドラッカーは著書の中で、「マネジャーの資質は一つだけ、才能ではない、『真摯さ』である。」と説いていますが、この点で思い出すのが、日本の経営の神様・松下幸之助も、「人間には『素直さ』が大切である」と強調しておられたことです。
幸之助翁は学者ではありませんが、経営の神様が説く『素直さ』と経営哲学者の説く『真摯さ』、相通ずるところがあるような気がしますね。
みなみの野球部マネージャーという職に対する取り組み方や、ドラッカーの著書から“素直”に学ぶ姿勢はまさしく“真摯”そのもの。
彼女はまさに「マネジャーとしての資質」をはじめから持っていたというわけですね。

物語自体に関しては、これといって特筆すべき点はありません。
出来すぎなところがたくさんありますし、いってみればよくある青春ストーリーで、これを読んで泣いてしまった・・・なんて感想もネット上の書き込みで目にしましたが、私のようなオジサンにはそういった感動はありませんでした。
ただ、ドラッカーの経営哲学を高校野球に当てはめたという岩崎夏海氏の斬新なアイデアと、そのこじつけ方の上手さは実に秀逸でしたね。
そして何より、上述したように主人公のみなみの行動から学ぶことが少なくありませんでした。
300万部近く売れている大ベストセラーですから、この本のことを知らないという人はまずいないと思いますが、経営者や管理職の人で、「ドラッカーの原著を読んでいるから必要ない」とか、「どうせくだらないハウツー本だろう」といった偏見で未読の人は、とりあえずそういった先入観を捨てて一読してみる価値はあると思います。
萌え系の表紙に抵抗があるという人には、ブックカバーをおすすめします(笑)。


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by sakanoueno-kumo | 2012-05-31 17:00 | 映画・小説・漫画 | Trackback | Comments(0)