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天地人 第18話「義の戦士たち」

「小負大勝」という考え方がある。
小さく負けて大きく勝つ。もとは中国唐代中期の囲碁の名手・王積薪の「囲碁十訣」の中にある訓戒で、「捨小就大」(小局を捨て大局を得る)といった意味の言葉である。これは勝負ごとにおける常套手段といえ、特に互角以上の相手と長期に戦うときのセオリーである。全部を勝利することは不可能。スポーツなどでも用いられる作戦である。
今回の兼続の策は、まさに「小負大勝」の考え。天下をほぼ手中にした信長軍を相手に、魚津城、春日山城の両方を守ることは不可能。「越後」を守るために「魚津城」を捨てる決断をした。

しかし戦の場合、その「捨て戦」に命を賭けて戦っている者たちがいる。

「敵に屈して生き恥を晒すより、死して侍の道を貫かん。」
魚津城の戦いにおいて、降伏、退却を説得する兼続に対して吉江宗信が言った言葉。
援軍を信じて耐えてきたこれまでの自分たちの戦いを、無駄にはしたくないという侍の誇り。
負けるとわかっていても自分たちの誇りのために命を賭ける「侍の心」。
これは日本人特有の哲学で、この精神が、これより350年も先の、
「生きて虜囚の辱めを受けず」
という東条英機の言葉に繋がっていく。
この思想が、やがては多くの民間人を犠牲にした太平洋戦争に繋がっていくのだが、しかし、こうしてドラマや映画でその精神に触れると、現代の私たちでも感動してしまう気持ちがある以上、根底には「侍の心」が受け継がれているのかもしれない。

戦争を肯定するつもりはさらさらない。しかし、私たちの先祖が最も大事にした「侍の心」を否定したくもない。私たち日本人にしか理解できないこの心。生かす場所さえ間違えなければ、平成の現代においても立派に誇れる心だと思う。


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by sakanoueno-kumo | 2009-05-04 01:17 | 天地人 | Trackback | Comments(0)  

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