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鈴木宗男議員の報道に思う、クリーンな政治家とダーティーな政治家。

 かつて「疑惑のデパート」「疑惑の総合商社」といわれた鈴木宗男衆議院議員に、とうとう実刑判決が下った。これにより鈴木氏は議員職を追われ、懲役2年(実際には1年半ほど)の服役後も5年間は被選挙権を失うこととなり、現在62才という年齢を考えれば、事実上議員生命を絶たれたといってもいいかもしれない。鈴木氏はなおも無罪を主張しており、今後も検察権力と闘っていくと言っているようだ。実際に法に触れる行為があったのかどうかは私にはわからないが、賄賂云々は別にしても、疑惑の発端となった国後島の建築物を「ムネオハウス」などと呼ばせて浮かれていた・・・とか、アフガン復興会議でNGO出席者を恫喝した・・・とか、当時の彼は権力をかさに調子にのっていた観は否めない。それも、内閣官房副長官という中途半端な権力で・・・。本当の権力者であれば、おそらく逮捕・立件には至らなかっただろう。

 鈴木宗男氏といえば、貧乏農家に生まれ苦学の末、政治家となったという、いわゆる「たたき上げ」で伸し上がった苦労人として知られる。一昔前であれば、田中角栄元首相のように、その生い立ちだけでも国民の共感を得ていたかもしれない。ただ、こういった「たたき上げ」の議員というのは苦労した分、往々にして権力への執着心が強い人が多い。逆境にも強く、少々のことではヘコタレない図太さがある。しかし同時にひがみ根性も旺盛で、権力への執着からくる貪欲でダーティーなイメージが常につきまとう。

 一方で、代々政治家の家庭に育った世襲議員、いわゆる「おぼっちゃん議員」は、比較的クリーンなイメージの人が多い。なるほど育ちが良いため貪欲さはなく、ひがみ根性もなく、しかしながら権力への執着も薄く、逆境にも弱く、途中で総理の椅子を投げ出したりする。苦労して掴んだ権力ではないから、手放すこともさほど惜しくないといったところだろう。その欲のなさ、力みのなさは、一人の人間としては好感を持てるかもしれないが、政治家としてはあまりにも軟弱すぎる。政治家には、貪欲さ、執着心も必要だ。しかし世論は、鈴木宗男氏を例とする貪欲な政治家と、安倍晋三氏を例とする軟弱な政治家を比べると、圧倒的に後者を支持する。クリーンという理由のみで・・・。

 近々ある民主党代表選挙では、連日報道される世論を見ると菅直人総理大臣が小沢一郎前幹事長に大きく水をあけて支持されているようだ。その理由でもっとも多いのは、やはりここでも、クリーンというイメージ。菅氏の場合は上記世襲議員のような軟弱さは感じられない「たたき上げ」の議員だが、クリーンなイメージはたしかにある。実際、菅氏がクリーンなのかどうかは知らないが、少なくとも小沢氏にクリーンさがないことは誰が見てもわかる。ここで私が思うのは、クリーンさというのはそれほど必要なことだろうか・・・ということ。過去、クリーンと評された総理を思い出してみると、三木武夫氏、海部俊樹氏、安倍晋三氏など、失礼ながらどの方々も名総理だったとはお世辞にもいえない。必要なのは総理としての資質、能力であって、クリーンさはあるにこしたことはないが、総理としての第一条件ではない。

 「政治と金」の問題にしてもそうだ。そもそも政治献金イコール、広い意味では賄賂だ。神社仏閣でお賽銭やお布施をするのは、ご利益を期待してのこと。個人献金にしても団体献金にしても、癒着があるかないかの違いだけで、何らかの見返りを期待してのものには違いない。何の見返りも期待しない献金など、何処かの総理に母親がくれた6億円ぐらいのものだろう。皆、法の目を探りながら、献金という「袖の下」を贈っているに過ぎない。そしてその「袖の下」が集まるのは、見返りが期待できそうな政治家であり、力のある政治家だ。誰も無能な政治家に袖の下を渡したりしない。言ってみれば、「袖の下」は政治家の実力のバロメーターであり、そうして金を集められる実力者でないと、党首などといった重責は担えないというのが政治の実情だ。

 本来は、政治能力、行政能力に長け、且つ公明正大な人物が理想だろう。しかし、実際にはそんな理想的な人物はそうそういない。結局は、クリーンで無能な政治家と、ダーティーで有能な政治家のどちらかを選ばなければならない。菅氏と小沢氏がその例に当てはまるかどうかは個々の判断だが、私はどちらかを選べといわれれば、迷わず、ダーティーでも有能な方を選ぶ。


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下記、記事本文引用
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鈴木議員の実刑確定へ=無罪主張の上告棄却―受託収賄など4事件・最高裁
 受託収賄、あっせん収賄など四つの罪に問われた衆院議員鈴木宗男被告(62)の上告審で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は7日付で、被告側上告を棄却する決定をした。懲役2年、追徴金1100万円の実刑とした一、二審判決が確定する。
 鈴木被告は確定後、公選法などの規定により失職し、収監される。刑期を終えても5年間は立候補できなくなる。
 鈴木被告は、政治資金規正法違反罪と議院証言法違反罪を含め、一貫して全面無罪を主張していた。
 2004年の一審東京地裁判決は、すべての事件を有罪と認定した上で、「高度の廉潔性を求められる要職にありながら国民の信頼を裏切った」と非難。「反省は皆無で、虚偽の陳述をしてはばからない被告に刑を猶予するのは相当ではない」として、実刑を言い渡した。
 二審東京高裁も08年、「行政に不当な影響を及ぼし、社会の信頼を害した」として、一審を支持していた。
 鈴木被告をめぐる一連の事件では、佐藤優外務省元主任分析官(50)ら12人が起訴され、鈴木被告を除く11人の有罪が確定している。
 一、二審判決によると、鈴木被告は北海道開発庁長官、官房副長官だった1997〜98年、林野庁への口利きの見返りなどとして、2社から1100万円のわいろを受領するなどした。
 鈴木被告側は最高裁に異議を申し立てる方針で、収監されるのは早くても数週間後となる見通し。捜査段階や一審公判中の拘置期間の一部が除かれるため、服役するのは長くても1年5カ月程度となる。

by sakanoueno-kumo | 2010-09-09 22:15 | 政治 | Trackback | Comments(2)  

Commented by marquetry at 2010-09-10 12:01
クリーンで無能なのと、ダーティーで有能なのと?...どっちもイヤかも...。
私が、ダーティーなのを知ってて一票投じるのは、気が進まない...でも、無能は困る...。清廉潔白な人間など世の中にはいませんし、それを目指している人は、宗教や自殺に走りがちです(自分だけの世界に行きそう)...クリーンになりたくて...。ダーティーすぎるのもダメ...誰もその人を止められないから、悪魔の門を開く手伝いをしてしまうことになる...快楽と地獄の始まりです。なので、ダーティーにめげないクリーンなら、無能と言われても一票投じるかも...。ムネオちゃんフアンは、北海道は多いんですけど、小沢さんの布石にされたって感じでしょうか?このタイミングは。
Commented by sakanoueno-kumo at 2010-09-10 15:28
< marquetryさん。
ダーティーな人も、最初からそうだったわけじゃないでしょう?
力がつくにつれ、廻りから寄ってくるんですよ、利権をあさる輩が。
ムネオちゃんなんかその典型的な例なんじゃないですか?
地方じゃ公共事業を引っ張ってきてくれる代議士さんは神様ですからね。
こいつは使える・・・となると、利権をあさる輩はどんどん寄ってきますよ。
献金という名の賄賂を持って・・・。
そこで初心を忘れず清廉潔白でいるのは、よほどの人物か、金があり余っている人物以外は無理でしょう。
政治献金そのものを廃止しない限り「政治と金」は切り離せないと思うんです。
だから私は、そのことで有能な政治家が潰されるとしたら、実にくだらないなぁと思うわけです。
もちろんクリーンにこしたことはないんですけどね。
でも、いないでしょ?・・・過去クリーンと言われた人で有能な人が・・・。
しいて言えば、小泉さんぐらい?

ムネオちゃんは小沢さんの件と一緒だと言ってますが、全然違うでしょ。
ムネオちゃんの件は、逮捕、立件されているわけですから・・・。
布石にはならないと思います。

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