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斎藤佑樹投手の将来性に思う、一流投手の資質の考察。

 北海道日本ハムファイターズのゴールデンルーキー、佑ちゃんこと斎藤佑樹投手の話題が、連日のようにマスコミを賑わわせていますね(さすがにハンカチ王子という愛称は消えたようですが)。まるで今年のルーキーは斎藤投手しかいないかのような過熱報道ぶりです。ここまで注目を浴びたルーキーといえば、あの松坂大輔投手以来じゃないでしょうか。朝から晩まで四六時中カメラが張り付きっぱなしで、あれじゃ迂闊に股間もかけやしない(笑)。先日はとうとう腹痛でダウンしたとか・・・。少々気の毒な気がしないでもないですが、これもスター選手の宿命、慣れてもらうしか仕方がないでしょうね。

 一方で、斎藤投手の将来性を不安視する声も、ちらほら聞こえてきます。人気先行で騒がれてはいるものの、あの程度の直球や変化球を投げる投手は、プロ野球界にはゴロゴロいる・・・というのがその理由で、特に専門家といわれる方々の間で辛口の評価が多いようですね。同じくゴールデンルーキーとして騒がれた松坂大輔投手などは、当時そういった声はほとんど聞こえてきませんでしたから、そう考えれば、専門家の目というのはあながち否定出来ないのかもしれません。

 しかし、私の根拠のない素人意見を述べさせてもらうと、斎藤投手は大投手に成り得る器だと思っています。そもそもプロ野球ドラフト1位で指名されるような選手は皆、身体能力においては少なからずその天分を持ち合わせていると思うんですね。その中で、一流選手になるかならないかの違いは、最終的には“ハート”だと思います。というと、よくある精神論じゃないか!・・・といわれるかもしれませんが、実際に大投手になる天分を持ち合わせていたにも関わらず、ハートが二流だったために埋もれていった選手は星の数ほどいるわけで・・・。よくいるじゃないですか・・・練習ではコーチが惚れ惚れするようなピッチングをするのに、いざ試合になると別人になってしまうブルペンエースといわれる投手や、試合途中まで完璧なピッチングをしながら、一度ピンチを背負うとガタガタに崩れていくメンタル面の弱い投手が。彼らは皆、一流の投手になる天分を持っていながらも、ハートが二流のため大成できない典型例で、このタイプの選手が大化けすることは“稀”といってもいいでしょう(野村再生工場で時折大化けする選手もいましたが・・・)。

 その論でいえば、上述した松坂大輔投手などは、ルーキー時代から技術もハートも完成品だったと思えますし、田中将大投手も、技術面こそ発展途上でしたが、ハートは松坂投手に勝るとも劣らないものを持っていたように感じました。ダルビッシュ有投手のルーキー時代は、先に述べた2人より少し精神面に劣っていたような気もしますが、彼の場合、類まれなる身体能力がそれをカバーしていた、数少ない例といえるでしょうか。プロの投手である以上、皆、調子が良いときは素晴らしいピッチングが出来るはずで、一流か二流かの違いは、調子が悪いとき、ピンチを背負ったときにどんなピッチングが出来るかで、その真価が問われるものだと思います。それを司るものは、テクニック云々もあるでしょうが、一番はやはり“精神力”なわけで・・・。

 で、佑ちゃんですが、彼はその一流のハートを存分に持ち合わせていると思います。彼を語るにどうしても切り離せないのは、2006年夏の甲子園大会で見せた田中将大投手との投げ合いだと思いますが、あのとき世間一般に与えた2人の印象は、闘志むき出しの野性味あふれる田中投手と、常に沈着冷静で虎視眈々と投げる斎藤投手の姿だったと思います。それはそれで間違ってはいないでしょうが、“闘士”という観点でいうと、私はむしろ斎藤投手のほうが一枚上だったように感じました。平生はたしかにクールで感情を表に出さない彼ですが、“ここ一番”というところでは、彼はハートで投げているように見えました。奪三振の数でいえば、田中投手の方が勝っていましたが、ピンチでの奪三振率は、斎藤投手は異常に高かったように思います。

 以前、昭和の大投手・江夏豊氏が、「投手と打者の対戦は、どちらがどちらを飲むかで9割がた勝負が決まる。」という旨のことをいっておられました。まあ、これは江夏氏だからこそいえる言葉かもしれませんが(たぶん、ほとんどの対戦で相手を飲んでかかっていたでしょうから)、これは使い古された精神論ではなく、プロである以上最も重要なことのように思います。お互い卓越した技術と技術がぶつかり合うわけですから、その軍配を決めるのは、最終的には“気迫”なんですね。投手でいえば、「打てるもんなら打ってみろ!」的な気迫のこもった渾身の球を、“ここ一番”で投げられるか投げられないか・・・が、一流か二流かを分ける最大のポイントではないでしょうか。もちろん、ある程度の技術があってのことですけどね。私は、今現役のプロ野球投手の中で一番のハートの持ち主は、田中将大投手だと思っています。その田中投手に勝る気迫を、18歳の時点で持っていた斎藤投手は、大投手に成り得る器だと私は思うのですが、いかがでしょうか?

 斎藤佑樹投手と同学年のルーキーは、ジャイアンツの澤村拓一投手や、ライオンズの大石達也投手、カープの福井優也投手と、いずれも将来を期待される逸材揃いで、すでにプロ野球で活躍している選手を見ても、上述した楽天の田中将大投手を筆頭に、昨年、沢村賞を受賞したカープの前田健太投手やジャイアンツの坂本勇人内野手など、今やチームの顔になりつつある選手が揃っています。まさに一時代を築きそうな勢いの同級生たちですが、似たような例でいえば、松坂世代イチロー世代桑田・清原世代などがあげられるように、同学年に一流選手が集まるという例は珍しくありません。これは単なる偶然ではなく、ひとりの突出した選手の登場により、同世代の選手たちがその突出した選手を追いかけるように向上した、相乗効果だといえるでしょう。その意味では、この昭和最後の年に生まれた彼らの世代は、間違いなく佑ちゃんマーくんが火をつけたわけで、「マエケン世代」でも「坂本世代」でもなく、明らかに「斎藤・田中世代」だと思うのです。

 専門家の方々の目も節穴ではないでしょうから、現段階では、技術的に見て初年度からいきなりの大活躍というわけにはいかないのかもしれません。でも、技術は鍛錬によって向上できるものですよね。でも、ハートは教えられるものじゃないんですよ。一流になる資質というのは、突き詰めればそこだと思うんですね。

 そういうわけで、仮に今年、期待ほどの活躍が見られなかったとしても、気長に応援しましょうよ。彼はきっと「野球界の宝」になってくれると思いますよ。


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by sakanoueno-kumo | 2011-02-23 01:34 | プロ野球 | Trackback | Comments(3)  

Commented by marquetry at 2011-02-24 01:01
斉藤投手は、背も然程高くなく、決して恵まれた体型ではないと言えます。他の選手に比べ、巨人の星よろしく、ど根性という土まみれで汗臭いイメージには、結びつかない様な上品さ?が感じられる?...。
高校のドラフトでも日ハムは確か祐ちゃん狙いだった様な気がします。早稲田に行ってしまったけど、もし、巨人とかが指名していたら、早稲田には行かなかったのでは?と感じた記憶が有ります。
..で、今回のドラフトでまたもや日ハム...祐ちゃんの思惑とは違うところに当たりが出たことは間違いなく、これも運命か?とあきらめて日ハムに来たんじゃないか?と、私は、TVを見てて思いました。
ただ、それでも、気持ちを切り替えて頑張ってくれると思いますし、北海道民としては、大歓迎の越材です!小さな巨人...ダルビッシュと並んだ時に、そう思いました。確かに、他の選手に比べても、現在では小さい方なのかも知れません。でも、ちっとも貧弱じゃないし、男の子から男性へと、みるみる変化をとげていると思います。...少し、お腹周りがおじさんっぽくなった気がしなくも有りませんが...とっても期待してます!
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-02-24 11:33
< marquetryさん。
>もし、巨人とかが指名していたら、早稲田には行かなかったのでは?
今のドラフト制度では、高校生は「プロ野球志望届」をドラフトの数ヶ月前に提出しなければ指名できないようになっているため、それは出来なくなっています(これは桑田真澄投手などのときのようなトラブルを防ぐためにできた制度です)。
昔の巨人だったら、斎藤投手のようなスター選手はどんな手を使っても獲得しにいってたと思いますが(江川や桑田のように)、そうしなかったところをみると、今の巨人にはそんな力がなくなったのか、それとも、そこまで無理して獲りにいく逸材ではなかったのか・・・。
いずれにしても、日ハムは佑ちゃんの意中の球団ではなかったようですが、そんな素振りをおくびにも出さないところが、いかにも“優等生”らしいですね。
そんな“優等生”なところが鼻につく方々がいるようで、“アンチ斎藤”たちがネット上で佑ちゃん批判をしているようですが、海のものとも山のものともつかないまだデビュー前の選手に、すでにアンチファンが出現しているところを見ても、彼のスター性が伺える気がします。
彼はきっと、大物になると思いますよ。
つづく
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-02-24 11:38
< marquetryさん。
つづき
>お腹周りがおじさんっぽくなった
それは、おっしゃるように投手としては小柄な斎藤君ですから、きっとウエイトアップという課題を課せられているんだと思います。
背の低い投手は、体重を増やして球威をつけるのがセオリーですから。
きっと数年後には立派な下半身になっていることでしょう。
体重を増やすのも仕事ですから、“オジサンっぽい”なんて、言ってあげないでね(笑)。

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