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東日本大震災における、情報錯綜と根も葉もない流言。

発生から5日が過ぎようとしている『東北地方太平洋沖地震』ですが、『東日本大震災』という名称が定着してきているようです。
他にも、『東北関東大震災』という名称を使っている報道関係もあるようです。
いずれの名称もまだ、政府が閣議決定したものではないようですが、現状、報道等では、『東日本大震災』という名称が最も使用されているようなので、当ブログでも、今後そう呼ぶことにします。
余談ですが、『阪神・淡路大震災』も、地震発生直後、気象庁が地震そのものに命名した名称は『兵庫県南部地震』でしたが、新聞各紙が被害の大きさから『阪神大震災』と呼び始め、その名が定着しつつあったところ、比較的被害が小さかった“阪”が入って、被害の大きかった“淡路”が入っていないのはおかしい、といった声が多く出始め、その後、改めて閣議了承された名称が『阪神・淡路大震災』だったと記憶しています。
ですから、今回の『東日本大震災』という名称も、今後また変わるかもしれません。

その『東日本大震災』ですが、現地の状況は依然として変わらないものの、被災地以外の地域に住む私たちのもとに届く情報は、混乱していた当初に比べ、落ち着きを見せ始めたようです。
16年前の『阪神・淡路大震災』時とは違い、今は、メールインターネットツイッターなどを使った情報発信で、迅速に情報を得ることができるようになりましたが、逆に今回、その便利さが仇になった側面もあったようです。
そういった個人が発信元の情報には誤ったものも多く、それによって混乱を招くばかりか、通信インフラの妨害にもつながりかねません。
具体例をいえば、ここ数日、被災地支援のための“チェーンメール”なるものが飛び交っていたようですね。
その内容は、“節電”の呼びかけであったり、“救援物資”の窓口情報であったり。
“節電”に関していえば、誰でも簡単に出来る支援で、そういった方面に疎い私のような典型的文系頭の者などは、周波数の違う関西でも節電すれば被災地の支援になる、と言われれば、単純に信じてしまいます。
しかし実際には、西日本の私たちがいくら節電しても、関東、東北方面の予定停電輪番停電の解決に直結するわけではないそうですね。
関西電力から東日本に電力を送るための周波数変換施設の容量には上限があり、現状、MAXに送電しても、西日本の電力安定供給は変わらないそうです。
そんなことも知らない私は、月曜朝、職場の朝礼で“節電”の話をしちゃいましたからね(苦笑)。
まあ、“節電”自体は大切なことですから、それはそれで良いじゃないかという意見もあろうかと思いますが、誤った情報の流布というのは、本当に必要な情報を妨害する結果になりかねないと私は思います。

“救援物資”の情報についても、デマが飛び交っていたようですね。
衣類やカップ麺など掻き集めて指定された窓口に持っていったところ、間違った情報だったという話をいくつか耳にしました。
こちらについても、避難所生活を余儀なくされている方々の映像を見れば、早ければ早いほうが良いと誰もが思うところですよね。
『阪神・淡路大震災』のとき、そうした窓口がどうなっていたのか、当時は物資を受ける側だった私にはわかりませんが、今のようにツイッターやメールなどはなかった分、情報が錯綜することも少なかったのではないでしょうか。
正確な情報をいうと、現段階では物資の援助は企業・団体に限られていて、個人から物資は受け付けていないそうです。
これは、2004年の『新潟中越地震』の際に、大量の救援物資が届いたものの、それを受け入れる側の体制が整っていなかったため、個人から届いた物資の内容を把握できず、役所の集積場所で物資が滞り、最終的に被災者に届かない事態が発生した経験からだそうです。
個人が物資をむやみに送ることで逆に被災地の混乱を招き、結果的に負担を増してしまう恐れがあるということですね。
「タイガーマスク運動」のようにはいかないようです。
では、個人では今、何が出来るのか・・・今のところ、“義援金”だけだそうです。

そうした誤った情報は、悪意から出たものではなく、何とか被災地の力になりたいといった逸る気持ちが、結果、デマとなってしまったという場合が多いのでしょう。
しかし、それが良かれと思ってした行為でも、結果的に混乱の原因になってしまったら何の意味もありません。
ツイッターやメール、そして今、私もブログを通して発言しているわけですが、そうした便利な機能を使った情報発信は、こういう非常時には、平時以上に気をつけなければならないと思います。
そして情報を得る側は、出来るだけ正確な情報を見極める力が必要でしょう。

最後にもうひとつ、上記のデマとは少し種類が違いますが、根も葉もない流言もネットやツイッター上で飛び交っているようです。
それは、『阪神・淡路大震災』のとき、治安悪化により暴漢放火強姦魔などの犯罪が多発した・・・という噂です。
だから、被災者は心して身を守れ・・・と。
この噂は当時にもあったようですが、これに関していえば、まったくもって事実無根の悪質なデマです。
平成7年度の兵庫県の強姦事件が、例年より増えたというデータはありません。
避難所の被災者たちは互いに助け合い、寝食を共にしていました。
髪を染めピアスをしたようなあんちゃんも、人命救助に汗を流していました。
刺青をしたヤクザもんでさえ、無償で炊き出しをしていました。
人は、周りがみんな不幸を共有する状況になると、そこには仲間意識が生まれ、人は優しくなれるものだということを知りました。
瓦礫の山となった被災地には、石を投げたら当たるほど、自衛官と警察官が昼も夜もいました。
物理的にも、むしろ平時以上に、そういった犯罪は不可能な状況です。
火事場泥棒くらいはいたかもしれませんが、被災直後の私たち神戸市民は、家のことや家族のこと、これからのことで頭がいっぱいで、とてもそんな犯罪に走る余裕などありませんでした。
『阪神・淡路大震災』のデマについて詳しく記されたサイトを紹介します。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~DD2/Rumor/column/earthquake_kobe.htm

今回、この根も葉もない当時の噂を掘り起こしてネットやツイッター上に流している方々が、どういう意図で行っているのかはわかりませんが、そうした行為は、いたずらに被災者の不安を煽るだけの行為です。
信用に足る裏付けのない噂話程度の情報を、不特定多数の人の目にふれる場所に流すのは、是非ともやめていただきたいと切に願います。

情報発信とは、難しいものですね。


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by sakanoueno-kumo | 2011-03-15 23:03 | 時事問題 | Trackback(2) | Comments(0)  

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