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江~姫たちの戦国~ 第13話「花嫁の決意」

 天正12年(1584年)、12歳となったお江は、羽柴秀吉の命により尾張大野城主の佐治一成のもとへ輿入れする。一成はお江より4歳年上で、このとき16歳。父は佐治信方、母は織田信長の妹・お犬の方で、彼女はお江の母であるお市の方の妹(異説あり)でもあることから、一成とお江は従兄妹という間柄にあたる。当時、一成は尾張清洲城主の織田信雄(信長の次男)の家臣で、領地も5万石ほどしかなかったものの、佐治家は代々の当主が知多半島の水軍を支配下に置く家柄でもあった。また、佐治家が近江甲賀出身で、甲賀忍者の系譜に属するとする説もあるらしい。そういった関係もあってか、生前の織田信長は佐治家を重要視し、妹のお犬の方を佐治信方に嫁がせていたという。

 一成の父、信方は、これより10年ほど前に信長の嫡男・織田信忠に従って、伊勢長島攻め(長島一向一揆)に加わり、討死している。その後、母・お犬の方は織田家に引き取られ、改めて細川昭元(細川信良)のもとへ嫁がされており、一成は幼くして家督を相続し当主となるものの、父を失い、母とも引き離され、孤独な少年時代を過ごした。幼くして両親を失ったという意味では、お江とは似たもの同士だったわけである。

 秀吉が12歳のお江を16歳の一成に嫁がせたのは、一成の主君である信雄を懐柔し、知多半島の水軍を掌中に収めたかったからだと推測されている。一方で、お江を一成に嫁がせたいと提案したのは、信雄側からだったという説もあるらしい。信雄にしてみれば、秀吉の庇護のもとにあるとはいえお江は織田家の血を引く者。お江と一成が夫婦になることによって、織田家と佐治家の関係をより強固なものにしたいという思惑からである。秀吉側はそれを承知で、あわよくば一成の寝返りを期待した同意だったとも。いずれにしても、幼いお江と一成の知る由もないところで、それぞれの政治的な思惑が交差した婚儀だった。

 なぜ三姉妹の中で、お江が最初に嫁がされたかについてはわかっていない。一説には、長女・お茶々を見初めた秀吉が、彼女を側室にするため邪魔な妹たちを先に片付けていった・・・などとも言われるが、であれば、順番からいえば次女のお初が先に嫁がされていたほうが納得がいく。理由は他にあったと考えるほうがいいだろう。12歳といえば、現代でいえば小学6年生。この時代、この歳で嫁ぐというのは特に珍しい話ではないが、母と死に別れて1年足らずで姉たちと別れることは、この上なく心細かったに違いない。ドラマでは、自分の意志で嫁ぐ決意をしたお江だったが、実際には、そこに彼女の意思など存在しなかっただろうから・・・。

 二度の政略結婚の末、37歳という若さでこの世を去ったお市の方の血を引くお江は、はからずも僅か12歳という若さで政略結婚の道具となった。願わくば、これが幸せな結婚となれば救われるのだが、母とは違った形の不幸を背負うことになる。お江と一成の夫婦生活は、ほんの数ヶ月に過ぎなかった。


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by sakanoueno-kumo | 2011-04-11 01:45 | 江~姫たちの戦国~ | Trackback(5) | Comments(4)  

Tracked from ショコラの日記帳 at 2011-04-11 09:41
タイトル : 【江~姫たちの戦国~】第13回と視聴率「花...
【第13回の視聴率は4/11(月)追加予定】宗易、本能寺の変のあった日に割れてしまった茶碗を、江の嫁入り道具に持っていくよう、くれるなんて、縁起が悪くないでしょうか?(^^;)...... more
Tracked from 早乙女乱子とSPIRIT.. at 2011-04-11 20:53
タイトル : 江の旅立ち 〜江・花嫁の決意〜
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Tracked from strの気になるコト〜ドラマ at 2011-04-11 21:26
タイトル : 『江〜姫たちの戦国〜』第13回「花嫁の決意」
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Tracked from V36スカイラインクーペ.. at 2011-04-11 23:36
タイトル : 「江〜姫たちの戦国」第十三話 花嫁の決意
今回もコントばかりでしたが、江と利休とのやり取り、江が去った後の茶々とおねとのシーンなど、前回よりシリアスな場面がまだ多かったです。最後に、江の侍女が巻物になった春画 ...... more
Tracked from あしたまにあーな at 2011-04-16 15:40
タイトル : 江 -姫たちの戦国- 第13回「花嫁の決意」
※先週は、選挙特番の特別時間枠のおかげで、視聴が1週間遅れになりました>< 話は、江の嫁入り問題から始まります。あまりにもわかりやすい展開で、茶々と親しくなりたいにも関わらずそれを邪魔しようとする江のことを煙たがって、外に出したかったのだとわかります。また、江の後ろには今回も信長が登場し、ぐっとにらみつけるのですから安心することなどできないでしょう。豊川悦司も直接自分の場面ではないのに登場回数が積み上がっていきます。 ここからは、徐々に江の気持ちが変わっていく様子を描いています。織田家を守りたいとい...... more
Commented by ショコラ at 2011-04-11 10:47 x
江、まだ子供なのに、政略結婚、可哀想ですね。
この時代は、よくあったことなのかもしれませんが・・・
3姉妹の中で、末っ子の江からなんて、やはり秀吉に嫌われていたからかもしれないような気がします(汗)

ところで、楽天の方へTB、ありがとうございました♪(^^)
次回から、楽天、TBかけられなくなりそうなので、ミラーブログの方へTBお願いします。
ご面倒をおかけして、すみませんm(__)m
こちらからは、今後も楽天の方をTBかけさせていただきます。
変則的で、すみません。

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http://chocora425.cocolog-nifty.com/blog/

これからもどうぞよろしくお願いします♪(^^)

Commented by sakanoueno-kumo at 2011-04-11 17:02
< ショコラさん。
ドラマの中で江は、「何処の誰かもわからないところに嫁がされるよりも、従兄妹である一成に嫁ぐことが出来るのは幸せ」といっていましたが、案外、遠からずの思いがあったかもしれませんよ。
秀吉の庇護下に暮らす以上、いずれは外交の道具として何処かに嫁がされるのは必至。
あるいは、茶々のように側女になる道しかありません。
であれば、どこぞの中年武将に嫁がされるよりも、歳も近く従兄妹の一成との縁談は、結構、良縁と思えたかもしれません。
とはいえ12歳ですから、姉たちと別れるのは心細かったでしょうけどね。

ミラーブログの件、了承しました。
Commented by haru at 2011-04-12 07:59 x
おはようございます。トラックバックありがとうごさいました。
もう来週離縁とは展開速いと思いましたが、二ヶ月の結婚生活では仕方ないです。家康ファンとしては来週の小牧長久手の戦が気になります。
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-04-12 10:55
< haruさん。
こちらこそ、TBありがとうございました。
江と一成の結婚生活は、輿入れの時期も離縁の時期も、正確な記録が残ってないため、実際の期間は定かではありません。
数ヶ月ともいいますし、最長では2年ほどあったという説もあるようです。
ドラマでは、小牧長久手の戦の直前に輿入れして直後に離縁といった説を採っているようですね。

今までの流れからいくと、小牧長久手の戦はそんなに描かれないんじゃないでしょうかね。

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