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心に残る名曲 No.7 『しあわせ運べるように』 震災復興の願いを込めて

 16年前の「阪神・淡路大震災」のあと、神戸でずっと歌い継がれてきた歌があります。神戸市の小学校の音楽教師である臼井真先生が作詞・作曲した『しあわせ運べるように』という歌です。震災以降、神戸では、震災慰霊式典はもちろん、ルミナリエの点灯式やイベント、学校の音楽会や卒業式などでずっとこの歌が歌い継がれてきました。私たち神戸市民は、16年間この歌に勇気づけられながら、復興の道を歩んできたといってもいい歌です。

 「東日本大震災」が起きて以降、どこかでこの歌を紹介したいと思っていたのですが、“復興”などという言葉がまだまだ見えてこない現状、なかなかそのタイミングを見つけられずにいました。先日の新聞で、この歌の歌詞の中にある「神戸」の部分を「東北」に変えて被災地に贈ったという記事を見つけ、ならば拙ブログでも紹介しようと思い至りました。今のタイミングで相応しい歌かどうかはわかりませんが、もし被災者の方の目にとまって、16年前の私たちのように勇気づけられることがあれば・・・という思いからです。

 

 You Tubeには他にもプロのシンガーが歌ったものもありましたが、私にとってはこの歌はやはり、子どもたちの歌声が一番心に残っており、この映像を選びました。作詞、作曲された臼井さんは、ご自身も自宅が全壊の被害を受け、親類宅に身を寄せながら避難所になった学校に通勤する生活の中で、この歌を作られたそうです(参照:http://www.kobegakkou-blog.com/blog/2010/01/post-8374.html)。私がこの歌を初めて耳にしたのは、震災の数ヵ月後のテレビからで、自然と涙が溢れてきたのを今でも覚えています。

 「しあわせ運べるように」  作詞/作曲  臼井 真

 1.地震にも負けない 強い心をもって
   亡くなった方々のぶんも 毎日を大切に生きてゆこう

   傷ついた神戸を 元の姿にもどそう
   支え合う心と明日への 希望を胸に

   響き渡れぼくたちの歌 生まれ変わる神戸のまちに
   届けたい私たちの歌 しあわせ運べるように

 2.地震にも負けない 強い絆をつくり
   亡くなった方々のぶんも 毎日を大切に生きてゆこう

   傷ついた神戸を 元の姿にもどそう
   やさしい春の光のような 未来を夢み

   響き渡れぼくたちの歌 生まれ変わる神戸のまちに
   届けたい私たちの歌 しあわせ運べるように
   届けたい私たちの歌 しあわせ運べるように


 16年前に臼井さんが作られたのは、この“2番”までですが、今回この歌を紹介するにあたってネットで調べていると、この歌には“続き”があるということを知りました。震災10年の年に、神戸市立夢野中学校の生徒たちが、自分たちの思いを込めた“3番”を新たに創作し、合唱コンクールで披露したそうです。

 3.地震から10年 苦しい事ものりこえ
   当たり前のようにすぎていく 毎日を大切に生きてゆこう

   これからの神戸を ぼくたちが支えてゆこう
   次はぼくらが支えて行く 神戸のまちを

   響き渡れぼくたちの歌 生まれ変わる神戸のまちに
   届けたい私たちの歌 しあわせ運べるように
   届けたい私たちの歌 しあわせ運べるように


 今、東北の被災者の方々は、先が見えない不安な毎日を送っておられると思います。“復興に向けて”と、言葉では簡単にいえても、実際にはそれがどれだけ大変なことか、「阪神・淡路大震災」を知っている私たち神戸市民は知っています。失意の底から立ち上がることが、どれほどエネルギーのいることかと・・・。しかし、月並みな言葉かもしれませんが、必ず今が過去になる日がやってきます。この歌の3番の歌詞のように、次の世代が、新しい東北のまちを支えてくれる若い世代が、必ず育ってきます。その日のために、どうか今を精一杯生きてほしい。10年後の子どもたちに、しあわせ運べるように・・・


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by sakanoueno-kumo | 2011-04-14 11:18 | 音楽 | Trackback | Comments(6)  

Commented by しばやん at 2011-04-15 00:47 x
いい歌だと思います。
口ずさむだけで、この歌は不思議な力を被災地に与えてくれるでしょう。

今回の地震で気の毒なのは、津波と原発事故とが重なったこと。地震そのものの被害よりも、津波や放射能漏れによる被害、風評被害がかなり重たく、政府の無策によりさらに被害が拡大しているような気がします。

今回の津波と放射能汚染で、福島や岩手や茨木の農地は1割から2割は使えないでしょう。風評被害が広がればもっと使えない農地が拡がる可能性があります。
今の流れで政府が何もしないと、秋以降の国内食糧生産が心配です。本来なら少しでも早く、国内にある休耕地を使って、避難地にいる農業経験者に移住して頂いてでも代替生産を依頼しないと、耕作するタイミングを失ってしまいます。

今の流れで、秋には国内の食糧不足が明らかとなり、TPPを容認せざるを得なくなるようなことはないようにしてほしいものです。
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-04-15 16:11
< しばやんさん
おっしゃるとおりで、被災者の方々には気の毒ですが、地震そのものの被害よりその後の2次災害、3次災害があまりにも深刻過ぎて、被災地ばかりに目を向けていられないというのが正直なところだと思います。
「阪神」のときは、私は被災地のど真ん中にいたため外のことがわかりませんでしたが、あのとき被災地以外の人たちは、いい意味の他人ごとでいられたのではないでしょうか。
その分、被災地に同情する余裕もあった・・・。
この度は日本全国の国難といってもよく、後々のことを考えると不安だらけです。
原発事故による風評被害、諸外国の輸入制限による打撃、“節電”“計画停電”がもたらす経済への影響など、どれも出口の見えない問題ばかりです。

そう、「阪神」のときも村山内閣で、その弊害がいたるところにありました。
今回は更にそれの上をいく酷さの菅内閣。
平成に起きた二つの大きな災害時にこのような内閣であったこと、これは神の悪戯でしょうか・・・それとも何かの罰でしょうか・・・。
(つづく)
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-04-15 16:12
< しばやんさん
TPPに関しては、もともと肯定的だった菅内閣ですから、これを追い風に推し進めるかもしれません。
しかし、こうなった今の状況でTPPに参加するのは、日本にとって不利益でしかないと思います。
Commented by しばやん at 2011-04-16 00:08 x
田植えの始まる今のタイミングに休耕田の利用による国内生産高の維持を明確にしておかないと、需給バランスが崩れていずれ米の国内価格が暴騰すると思うのですが、そこで「米価格安定化」という名目で、アメリカから大量のコメを輸入し、TPPも容認するというシナリオをTPP推進派が描いているのではないかと勘ぐっているのですが、考えすぎでしょうか。

あらゆる産業の中で、最も面積を必要とし、人手を必要とする産業である農業・林業を軽視すると、国土の荒廃が全国レベルで進むだけだと思います。
地方の伝統や文化の担い手が、これ以上疲弊していくようなことがないことを祈ります。
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-04-16 23:12
< しばやんさん
私はこの分野に明るくはないのですが、その素人頭で考えても、今、TPPに参加するのは日本にとって何のメリットもないというのはわかります。
メリットがある状況とは、TPPに参加することで他国への輸出が伸び、かつ他国から日本への輸入はそれほど拡大しない・・・つまり、国内の産業が保護できると考えられる状況ですよね。
そのメリットは主に第二次産業に対するもので、震災がなくとも第一次産業にとってはデメリットしかないと考えらていたものを、今、原発による放射性物質への懸念と震災による生産活動停止のため、農産物だけではなく工業品についても「日本製」に諸外国が神経質になっている状況で、どう考えてもメリットはないでしょう。
仮に工業品に対する輸入規制が一時的なものだったとしても、日本農業が震災で大打撃を受けているこの状態で、海外からの安い農産物が入ってくると、日本の農業はこれを機に衰退の一途をたどり、ただでさえ食糧自給率40%という先進国の中でダントツに低い数字が更に下がることは確実で、結局それは国力の低下を意味します。
大袈裟ではなく、それは“国が潰れる”ということではないでしょうか。
(つづく)
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-04-16 23:28
< しばやんさん
ただ、仰るように農産物の価格暴騰が心配ですね。
昨夏の猛暑で、一時、野菜が暴騰して食卓から姿を消しましたが、今回の場合あの比じゃない影響が予想され、加えてそれが“米”となるとさらに深刻です。
それをどうやって防ぐかというのは、その分野に明るくない私には皆目わかりません。
貴兄のいわれる、休耕地を使って、避難地にいる農業経験者に移住して頂いて代替生産をしてもらう策は名案だとは思いますが、それを今季に間に合わせるのは無理があるようにも思えます。
被災者の農家の方々にも、わり切れない思いもあるでしょう。
いずれ彼らも、新しい土地を求めて立ち上がらねばならないときが訪れるのですが、今はまだ、ご自身が丹誠込めて育ててきた田畑を失った失望感でいっぱいの状況で、特に福島の避難地の方々などは、そこに田畑があるにも関わらず入らせてもらえないわけですから、気持ちの整理がつかない状況ではないでしょうか。
そんな方々に、「日本のために米を作ってくれ」とは、今は言えない気がします。
被災していない人間で何とかしなければならない問題のように思います。

いろんな意味で、この秋からの日本が心配です。

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