JIN -仁-(完結編) 第6話

このドラマでの龍馬の魅力のもうひとつは、その人物像の描かれ方だ。当ブログの昨年の「龍馬伝」の稿でも再三発言してきたが、私は、坂本龍馬は決して巷でイメージされているような、平和主義の非戦論者ではなかったと思っている<参照:坂本龍馬の「大政奉還論」と、中岡慎太郎の「武力倒幕論」(前編)・(後編)>。周知のとおり、龍馬は幕末のギリギリのタイミングで、「大政奉還」という平和革命の道を選んだわけだが、そのことだけを捉えて、しばしば龍馬を「反戦、平和主義の象徴」のように描いた作品を見かける(昨年の「龍馬伝」もそうだった)。しかし、それでは今話の時期の龍馬の行動の説明がつかない。ドラマのとおり、薩長同盟を成立させた龍馬は、薩摩藩名義で武器と弾薬、軍艦を購入して長州へ流し、自らもその軍艦に乗って「四境戦争」に参戦している。さらにのち、自藩の土佐藩にも新式ライフル銃1000挺を送りつけ、討幕の準備を進めた。その上で、「船中八策」を考案し、「大政奉還論」を推したのである。
「まずは力を得んと、言いたいことも言えん。」
仁先生に龍馬がいった台詞だが、この言葉通り、龍馬が目指したのは戦も辞さない姿勢を示した上での、無血革命コースだった。それは、平和主義からきたものではない。革命後の「富国強兵」のためである。そのためには、できるだけ内乱は少なく収めたい。それが、坂本龍馬の考えの最終的な到達点だったと私は思う。
そんな坂本龍馬像が、このドラマでは実に上手く描かれていると思う。今話で龍馬は、仁先生の言葉によって新たな道を見つけ出したようだったが、実際の龍馬も、無血革命コースを模索し始めたのはこの四境戦争後のことだったと私も思う。今後も、内野龍馬から目が離せない。
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by sakanoueno-kumo | 2011-05-24 22:43 | その他ドラマ | Trackback(3) | Comments(0)

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