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児玉清さんと長門裕之さんの逝去を悼む。

先月、俳優の児玉清さんと長門裕之さんが、相次いで亡くなられました。
お二方とも、享年77歳だったそうです。

児玉清さんといえば、俳優としての印象よりも、一番に思い出されるのは、長年にわたり司会を勤められた『パネルクイズアタック25』ですよね。
実に36年間にわたって、ほとんど休むことなく続けられたそうです。
36年というと、大卒のサラリーマンが定年退職まで勤め上げる年数に、ほぼ匹敵する長さ。
そのサラリーマンでも、同じ部署や職務をずっと続けるなんてことはほぼないわけで、大変な長さだということがわかります。
昔は、『アップダウンクイズ』『クイズグランプリ』など、雑学自慢の素人が参加する正統派クイズ番組が数多くありましたが、今ではこの『アタック25』くらいではないでしょうか。
最近のクイズ番組といえば、インテリ芸能人を集めて知識を競い合わせるものか、逆におバカ芸能人を集めて的外れな回答を失笑するものなど、本来のクイズ番組の主旨から外れていったものばかりが目立ちます。
そんな中、児玉さんの番組は貴重な正統派クイズ番組で、世のクイズマニアにとっては“聖地”のような存在だったのではないでしょうか。
番組は司会者を変えて続くそうですが、あの児玉さんの『その通り!』といった児玉節が聞けなくなるのは寂しい限りです。

俳優としての児玉さんといえば、『白い巨塔』(1978年・フジテレビ)の関口弁護士役や、近年では『HERO』(2001年・フジテレビ)の鍋島次席検事の役が思い出されますが、毎週大河ドラマのウンチクを起稿している私としては、昨年の『龍馬伝』で見た、坂本龍馬の父・坂本八平の役が印象的です(おそらくこれが最後のドラマ出演だったのでは)。
で、先日NHKで、追悼番組として『龍馬伝』第7話「遙かなるヌーヨーカ」が再放送されていましたが、その中で児玉さん演じる八平が息子の龍馬にいった印象的な台詞がありました。
「この世に生まれたからには、己の命を使いきらねばいかん。」
この台詞のとおり、児玉さん自身も己の命を使いきった人生だったのではないでしょうか。

知的でダンディな児玉さんとは違って、破天荒やりたい放題で生きてきたイメージの長門裕之さん。
しかしその分、俳優としての幅も広く、悪役からコミカルな役まで何でも熟せる名優でした。
私の最も古い長門さんの記憶は、『赤い疑惑』(1975年・TBS)の相良教授役。
主役の山口百恵さんを陰険に虐める役で、しかし実は百恵ちゃんの実父であったことを物語終盤で知り、当時小学生だった私はイヤ〜な気分になったものです(笑)。
このオジサン嫌い!・・・と(笑)。
その数年後の『池中玄太80キロ』(1980年・日本テレビ)では、打って変わって人情味あふれる新聞社の編集長役を演じられ、主役の西田敏行さんとの掛け合いを毎週楽しみに見ていました。
長門さん主役の作品は思い出せませんが、そうした高視聴率の伝説のドラマでインパクトの強い役を演じられている長門さん。
まさしく、“名脇役”といっていいのではないでしょうか。
そういえば、長門さんも2008年の大河ドラマ『篤姫』に、島津斉興役で出演されていましたね。
こちらは、また陰険な役でしたが・・・。

いつだったか、奔放な女性関係を実名で綴った暴露本を書いて世間を騒がせたこともあった長門さんですが、晩年はその罪滅ぼしとばかりに、認知症になった奥さんの南田洋子さんの、献身的な看護をされていたと聞きます。
そして奥さんを看取ってから2年も経たない先日、後を追うように亡くなられました。
奔放に生き、晩年にはその罪滅ぼしをして逝った長門さん。
彼もまた、己の命を使いきった人生だったのではないでしょうか。

5日違いで亡くなられた、同じ歳の児玉清さんと長門裕之さん。
タイプはまったく違うお二人ですが、共通しているのは、お二方とも昭和から平成まで息の長い活躍をされていたことと、亡くなる数ヶ月前まで現役で活躍されていたこと。
誰でも、そうありたいですよね。
私も、いつ死ぬかはわかりませんが、己の命を使いきった人生を送りたいものです。

謹んで、ご冥福をお祈りします。


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by sakanoueno-kumo | 2011-06-01 18:32 | 芸能 | Trackback | Comments(0)

 

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