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江~姫たちの戦国~ 第22話「父母の肖像」

 若い頃から多くの美女を閨に侍らせたといわれる豊臣秀吉だが、子宝に恵まれず、最晩年になってようやく淀殿(お茶々)との間に鶴松秀頼を授かった・・・と、多くの物語で描かれている。しかし、実はこれより20年ほど前の長浜城時代に、側室・南殿との間に一男一女がいたという説もある。女児の名は不明だが、男児の名は秀勝。秀勝といっても、その後、お江の2番目の夫となる秀勝(小吉)とは当然違い、織田信長の実子を養子に貰い受けた秀勝(於次丸)とも当然違う。その由来は、琵琶湖上の竹生島にある宝厳寺に伝わる古書「竹生島奉加帳」に、石松丸という男児の名と南殿の記載があり、この石松丸が秀吉の子である秀勝であり、南殿がその生母だと推定されている。ただし、南殿と秀勝(石松丸)の存在が取り沙汰されたのは近代に入ってからのことで、南殿の経歴については全く不明である。その秀勝(石松丸)は、天正四年(1576)に7歳で病没し、長浜城下の妙法寺に埋葬されたと伝わる。

 その話が実話だとしても、その後20年もの間、秀吉は多くの側室を置きながらも実子に恵まれなかったことも事実で、にもかかわらず、淀殿ひとりが二度も妊娠し、長男・鶴松、次男・秀頼の二児を出産したという事実を、訝しいと考えるのも不思議ではない。実際に、この当時にも淀殿の懐妊は秀吉の子種ではないのではないか・・・という噂は存在していたようで、当時キリスト教布教活動のため来日していたポルトガル人の宣教師、ルイス・フロイスがのちに執筆した『日本史』の中にもそういった記述がある。そして、鶴松出産の3ヵ月前には、聚楽第の南鉄門に、こんな落首が貼りだされた。

 大仏の功徳もあれや槍かたな 釘かすがいは 子宝めぐむ
 ささ絶えて茶々生い茂る内野原 今日は傾城 香をきそいける


 つまり、子種がなかったはずの秀吉が、大仏の功徳で子宝に恵まれた・・・と。これに激怒した秀吉は、門番の17人を処刑し、他にも本願寺に逃げた者を捕らえ、関わった者の居宅も焼き払い、総計113人を処罰したと伝わる。門番17人の処刑は、まず鼻をそぎ落とし、翌日には耳をそぎ落とし、さらに翌日には逆さに磔して処刑という、残忍極まりないものだったという。このあたりから、晩年のトチ狂った秀吉の人格が現れはじめたようだ。

 第二子・秀頼についても、巷では「秀頼の実父は秀吉ではない」という噂が蔓延っていたようで、たとえば、山城伏見城外に幽閉されていた李氏朝鮮の文人・姜沆なども、その噂を耳にしたと語っている。つまり、若い淀殿が空閨に耐えられず不倫した結果、生まれたのが鶴松、秀頼だと・・・。今回のドラマの淀殿は、とてもそんな“ふしだら”な女性ではなさそうだが(笑)、多くの物語で描かれているような“悪女”のイメージの淀殿であれば、ない話でもなさそうだ。その真偽はともかく、淀殿の浮気相手と名指しされてきたのは、大野治長木村重成名護屋山三郎という、いずれも戦国時代を代表する美男子3人である。秀吉が生前にこの3人の噂を知っていたかどうかはわからないが、猿顔の、しかも50歳を超えた秀吉にとって、この美男子3人との不倫の噂は、たとえそれが紛れもない嘘であっても、きっと穏やかではいられなかったのではないだろうか。

 今話のタイトルの「父母の肖像」は、高野山の持明院に現在でも残されている。このうち、母・お市の方の肖像は大変素晴らしい仕上がりだとか。絵画作品に添えられた説明文のことを“賛”というが、父・浅井長政の肖像の賛には、この肖像画が「有人(あるひと)」の発意によって制作され、持明院に寄進されたと記されている。確証はないが、この「有人」は淀殿であるとみる説が、今日では有力のようである。秀吉の側室となったのちも、父母の供養に熱心だった淀殿。上記の不倫疑惑でみるような、“悪女”の淀殿とは違った、親思いの心優しい長女・お茶々の姿が、そこには見えるようである。


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by sakanoueno-kumo | 2011-06-13 01:32 | 江~姫たちの戦国~ | Comments(6)  

Commented by ショコラ at 2011-06-13 11:18 x
>門番17人の処刑は、まず鼻をそぎ落とし、翌日には耳をそぎ落とし、さらに翌日には逆さに磔して処刑という、残忍極まりないものだったという。

怖いですね。
信長も晩年は怖かったようですが、権力を持つと皆、残酷になってしまうのでしょうか?
淀(茶々)はいい人に描かれすぎで、ちょっと面白みに欠ける気がします(^^;)
3人のうち、一人くらい、悪女がいてもいいような気がするんですが(笑)
両親の供養を欠かさなかったのはいいですね♪

淀、本当はいい人だけど、巧みに秀吉を利用したような、素敵な悪女でいて欲しかったです(^^)
このドラマでは、鶴松、本当の子みたいですね(苦笑)
Commented by heitaroh at 2011-06-13 18:51
ここに何とか、黒田如水は登場できませんかね?
おねげぇですだ、助けてくだせぇ・・・
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-06-13 23:17
< ショコラさん
権力を持つと皆、残酷になるわけではないでしょうが、権力を持つと人格が変わるという話は、私たちの社会でもよく耳にする話ですね。
権力者というのは、ある種、孤独でもありますから・・・。

>3人のうち、一人くらい、悪女がいてもいいような気がするんですが(笑)

そうですね(笑)。
でも、淀殿の悪女としてのイメージというのも、後年の大坂の陣のあたりだけを見て後世が作り出したイメージだと思います。
早くに両親と死に別れた三姉妹の長女・・・という見方をすれば、ドラマのようにしっかり者のお姉さんだったんじゃないでしょうか。
まあ、ドラマでも、このあとどう変わるかはわかりませんけどね。
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-06-13 23:30
< heitarohさん
苦心されているご様子、お察しいたします(笑)。

お江といえば、家光の乳母である春日局との確執が、大奥の物語ではよく描かれますよね。
どこまで信憑性のある話かはわかりませんが、出来の良い次男の忠長を世継ぎに推すお江夫妻と、長男の家光を溺愛する春日局の、跡目争いからきた確執だったとか・・・。
その辺りの話と、長政と又兵衛の確執や、忠之と大膳の確執話を絡めた切り口などいかがでしょう。
ゴメンナサイ・・・それぐらいしか思い浮かびません(苦笑)。
Commented by heitaroh at 2011-06-14 15:56
私が考えているのは、長政夫人と秀忠がイトコ同士だということ。
従って、その子どもたちは遠いけど血の繋がった親戚になるということと、黒田騒動と家光・忠長の内訌とを絡み合わせるということくらいで・・・。
他、長政夫人の実兄は秀忠の隠し子を養子に迎えたとか、北の庄では攻城側と籠城側だったということくらいで、どうにも弱いんですよね・・・。
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-06-14 23:24
< heitarohさん
長政夫人と秀忠はイトコなんて、全然知りませんでした。
長政夫人の実兄は秀忠の隠し子を養子に迎えた・・・なんて、知ってる人少ないんじゃないですか?
やっぱ、私の出る幕はなさそうです(苦笑)。
頑張ってください(笑)。

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