人気ブログランキング | 話題のタグを見る

岩瀬仁紀投手に日本記録達成にみる、先駆者・江夏豊投手の存在。

中日ドラゴンズ岩瀬仁紀投手が、通算287セーブ日本最多記録を達成しました。
プロ13年目、通算705試合目の登板での記録達成だそうです。
前記録保持者は、元ヤクルトスワローズのストッパー・高津臣吾投手。
ただ、これはあくまでNPB(日本プロ野球)での数字で、高津投手は途中MLB(メジャーリーグ)でも27セーブ、日本球界引退後はKBO(韓国野球)でも8セーブ、CPBL(台湾野球)でも26セーブを記録していますので、通算でいえば347セーブになります。
その上には、元横浜ベイスターズ佐々木主浩投手が、NPBで252セーブ、MLBで129セーブの、日米通算381セーブという驚異的記録があります。
特に佐々木投手の場合、横浜ベイスターズとシアトルマリナーズという、いってみれば弱小チームに在籍し、ストッパーは基本的にリードした展開でしか登板しないということを考えれば、彼の記録がいかにスゴイかがわかります(実際に登板試合数は、岩瀬投手や高津投手より少ない、667試合)。
いや、別に岩瀬投手の記録に文句をいうつもりじゃないですけどね。
ただ、「次は前人未到の300セーブだ!」なんて新聞記事を見ると、なんだかなぁ・・・と。

上記の3人や、現在、阪神タイガースで活躍中の藤川球児投手などは、比較的若い時期からストッパー(クローザーともいいますね)のポジションを務めていますが、一昔前までは“抑え投手”というと、先発で通用しなくなった投手のポジションという観が否めませんでした。
そのため活躍年数も少なく、当然、彼らのような記録の達成は不可能だったわけです。
もっと昔でいうと、“抑え投手”という考え方自体が存在せず、先発投手が崩れたあとは、後ろへ行けば行くほど質が下がっていったもの。
そんな日本のプロ野球界に、最初に“抑え投手”のシステムを確立したのは、かの野村克也氏、そして江夏豊投手でした。

江夏豊投手といえば、阪神タイガース時代、2度の最多勝利と5度の最多完封勝利、6年連続の最多奪三振と、まさに球界のエース的存在でした(たしか、20世紀のベストナインにも選ばれていましたよね)。
そんな彼でしたが、30歳が見え始めたあたりから肘・肩の故障に苦しみ、成績は下降、南海ホークスに移った1年目も、血行障害心臓疾患などで長いイニングを投げられず、思うような成績が残せませんでした。
そこに目をつけたのが、当時、南海ホークスのプレイングマネージャーだった野村克也氏。
衰えたとはいえ抜群の制球力は健在で、短いイニングならまだまだ通用すると考えた野村監督は、何度も江夏投手にリリーフへの転向を打診したそうです。

当時、既にメジャーリーグではストッパーという役割が出来始めていたそうですが、日本のプロ野球には、“八時半の男”といわれたリリーフ(救援投手)はあったものの、先発投手に比べてリリーフ投手の地位は低く、ストッパーという役割も認知されていませんでした。
そのため、プライドの高い江夏投手は、頑なに拒み続けていたそうです。
そんな江夏投手の心を動かした野村監督の言葉。
「大リーグのように、これからのピッチャーは、絶対に分業制になる。おまえは、リリーフの分野で先駆者として、日本の野球に革命を起こしてみんか。」
この、“革命”という言葉に江夏投手はたいそう感動したそうで、リリーフ転向を決意、その後、日本ハムファイターズ広島東洋カープと渡り歩き、5度のセーブ王、2度のMVPに輝き、通算193セーブをあげ、日ハムと広島では優勝にも貢献、“優勝請負人”とも呼ばれました。
野村監督の言葉は、まさに“殺し文句”だったわけですね。

リリーフエース江夏の成功によって、各球団とも次々にストッパー制度を導入していきましたが、当時の日本にはリリーフ専門投手の調整法というものが確立されておらず、ずっとベンチに座って待機していることが腰痛持ちの江夏投手には辛かったことから、メジャーリーグでのリリーフ投手の調整法などを独自に調べ、自己流の調整を始めたそうです。
試合が始まっても5回までベンチに入らず、ロッカールームでマッサージを受けたり睡眠を取ったりする調整法は、当時チーム内や球界で非難を浴びたとか。
しかし、今日ではこの調整法が、リリーフ投手のコンディション維持方法として定着しているそうです。
やるからには、自分の仕事に誇りを持って臨み、研究し、その先駆者となった江夏豊投手。
野村監督の言葉どおり“革命”を起こしたわけです。
岩瀬投手や高津投手、佐々木投手の活躍も、江夏投手あってのことといっても過言ではないように思います。

江夏豊投手・・・記録にも記憶にも残る、偉大なストッパーです。


ブログ村ランキングに参加しています。
よろしければ、応援クリック頂けると励みになります。
     ↓↓↓
にほんブログ村 野球ブログ プロ野球へ
にほんブログ村
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110617-00000016-sph-base

by sakanoueno-kumo | 2011-06-17 17:47 | プロ野球 | Trackback | Comments(4)

 

Commented by 村石太マン at 2011-06-17 20:25
中日ドラゴンズ 岩瀬投手 新記録 おめでとうございます。
僕の時代はセーブも 流行りました。今 ホールドも 人気あるのかなぁ。どちらかいうと 打者のが 好きな人多いのかなぁ 
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-06-17 22:48
< 村石太マンさん。
コメントありがとうございます。
スミマセン・・・おっしゃってる意味がよくわかりません(汗)。
Commented by mohariza6 at 2011-06-18 17:58
江夏投手のリリーフ専門投手の調整法には、
革命を起こすには、今までの常識(それは、その世界だけの狭い常識でしか無いのですが・・・)を破るやり方で無いと、通用しないと思いました。
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-06-18 23:59
< mohariza6さん
おっしゃるとおりですね。
先駆者というのは、たいていその時代には常識はずれの不埒者扱いされるものでしょうね。
革命を起こせといったのはノムさんですが、その期待以上の革命を起こしてみせた江夏投手。
彼なら常識を破れる・・・と、ノムさんがわかって言ったのなら、それもまたお見事ですね。

<< 江~姫たちの戦国~ 第23話「... ダルビッシュ有投手の連続イニン... >>