心に残る名曲 No.8 『僕と彼女と週末に』 浜田省吾
そんな今、ぜひ多くの方に聴いてほしい歌があります。浜田省吾さんが1982年に発表したアルバム『PROMISED LAND』の中の収録曲、『僕と彼女と週末に』です。
実に9分を超える壮大な曲で、単なるアルバムの収録曲と言ってしまうには存在が大きすぎる、深いメッセージの込められた歌です。広島出身の浜省は、父親が被爆者ということもあって、戦争や平和を歌った楽曲が数多くありますが、その中でもこの『僕と彼女と週末に』は、よくある“LOVE&PEAC”をテーマにした楽曲とは少し違い、もっと地球規模の警告とでも言うべきテーマを謳っています。この曲を初めて聴いた当時、高校生だった私は、この歌詞のテーマを漠然と“公害問題”のように捉えていましたが、今になって聴いてみると、まぎれもなく“原発”“核実験”を示唆しているんですね。
この歌の2番の歌詞の中に、こんな一節があります。
恐れを知らぬ自惚れた人は
宇宙の力を悪魔に変えた
この4ヵ月で、私たちははっきりと理解したはずです。原子力、核エネルギーは、人間の手に負えない「悪魔」であることを。踏み込んではいけない「神の領域」であったことを。その昔、人間は自然の力を恐れ、自然を“神”として崇めてきました。しかし、近代になり、人間は自然を作りかえる知恵を身につけ、自然への尊敬の念がゆらぎました。車が走り、飛行機が飛び、月に降り立ち・・・そうした科学の発展と共に、人間は自然をも司っているという思い上がりの考えが頭をもたげ、自然を恐れなくなっていきまた。そしてついには、核分裂という神の領域に足を踏み入れた・・・。そう、「恐れを知らぬ自惚れた人は、宇宙の力を悪魔に変えた」のです。
この歌詞の前に浜省は、こんなことも歌っています。
昨日の絵の具で破れたキャンバスに
明日を描く愚かな人
売れるものならどんなものでも売る
それを支える欲望
世界で原発が最も多く建設されたのが1970年代後半から80年代にかけて。1982年に浜省がこの楽曲をリリースしたのは、父親が被爆者である彼にとって至極当然のことだったのかもしれません。この曲をテーマにした当時の彼のコンサートで、スクリーンいっぱいに映し出された地球の映像をバックに、この歌を熱唱していた浜省の歌声が、今改めて思い出されます。原発反対派の人も推進派の人もよくわからない人も、約9分間だけ時間を作っていただいて、ぜひこの歌を聴いてみてください。
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by sakanoueno-kumo | 2011-07-13 15:12 | 音楽 | Trackback | Comments(8)
おっしゃるとおりだと思います。
原発問題などはまさに利権の巣窟、そこを切り離して議論しない限り、真実は見えてきませんね。
人は皆おそらく、究極の危機に直面すると、家族や恋人、自分にとって大切な人のことを守りたいと思うものなんじゃないでしょうか。
そうなれないということは、この期に及んでまだ危機感が希薄だということでしょうね。
世界平和とか地球に優しくとかいわれても、対象は漠然として大きく、自分たちに何が出来るか見えにくいものです。
でも、大切な人を守りたいという思いなら、誰でもわかるはずです。
そのためには、ひとりひとりが何を考え、どうすればいいか・・・そんな純粋な出発点に皆が立つことができれば、決して人類は悪い方向へは進まないと思うんですけどね。
綺麗ごとでしょうか・・・。
なるほど・・・。
>どう扱っていいのか解らない恋は得てして、思い通りに育たないもの。
でも、恋ならば失敗を恐れずに突き進むのもありでしょうし、危険な香りに気づいていても、途中で止められないのも恋でしょう。
原発は、そういうワケにはいかない。
昭和の時代、いつかは尽きるといわれた石油資源に変わるエネルギー源として、原子力はまさにダイヤの原石だったのでしょう。
だから、その危険な部分には目をつぶってここまで足を突っ込んでしまった。
今さら、これまでのプロセスを責めても仕方がない。
でも、こうなった以上、ヤメる勇気が必要ですね。
そこが恋とは違うところかと・・・。
それを突き進んじゃうと、泥沼の修羅場に陥っちゃうんですね。
結局、人間というのは、一度失敗しないとわからない生き物なんでしょうね。
で、その失敗を教訓に次に繋げることができるヤツは進歩がありますが、性懲りも無く同じことを繰り返す愚か者もいます(私の友人にもひとり、何度も同じ修羅場を繰り返すバカヤローがいまして・・・苦笑)。
原発問題も、起こってしまったことを今さらどーのこーのいっても埒があかない・・・それよりも、この度の失敗を教訓にできないようでは、私の友人と同じくただの愚か者ですね。
日本が泥沼化しないことを願うばかりです。