あだち充の名作『タッチ』の続編的作品『MIX』の新連載に思う。

1980年代に大ヒットした漫画『タッチ』の続編的な作品の連載がスタートして話題になっているようですね。
ゲッサンで始まったあだち充氏原作の野球漫画『MIX』は、あの『タッチ』の登場人物たちが通った明青学園の26年後を舞台として、2人の兄弟を主人公とする物語だそうです。
さすがに80年代を代表する作品の続編とあって、第1話が掲載されたゲッサン6月号が増刷するほどの人気となっているらしく、一部で入手困難となったため、ゲッサン7月号と週刊少年サンデーの28号に再掲載されるそうです。
一度掲載されたマンガが、数年以上経過してから“復刻”という形で掲載されることはあっても、1カ月という短期間で再掲載されるのは極めて異例のことだそうで・・・。
『タッチ』の人気は、四半世紀を超えて未だ根強いようですね。

e0158128_11252268.jpg私も何を隠そう(別に隠すことでもないですが)、『タッチ』の熱烈なファンの一人です。
昭和56年(1981年)に週刊少年サンデーで『タッチ』の連載が始まったとき私は中学3年生で、ちょうど上杉達也・克也兄弟や浅倉南と同い年でした(のちに漫画の中の彼らは、高校3年生の数ヶ月を1年以上かけて描かれたため、いつの間にか私よりひとつ年下になっていましたが)。
←買い揃えた単行本全26巻はすべて初版のものですし、今でも本棚の目立つ場所を占領しています。
私にとって『タッチ』は、15歳から19歳という多感な時代を共に生きた青春のバイブルといっても大げさではないかもしれません(クサイ言い方でスミマセン)。
ですから、『タッチ』の続編と聞けば無関心ではいられないわけですが、一方で、名作は名作としてそのままにしておいてほしい・・・といった思いもなきにしもあらずです。
続編といえば、たいていの場合オリジナルを超えることはなく、描き方によってはオリジナルの価値を下げる可能性もあるからです。
かつて、ラブコメブームの元祖と言われた昭和のヒット作で、柳沢きみお氏原作の『翔んだカップル』という作品がありましたが、続編に継ぐ続編で不評を買い、せっかくの名作に傷をつけてしまったという悪しき例も存在します。
南と達也の関係はその後どうなったんだろう?・・・達也はあのあと野球を続けたんだろうか?・・・そんな想像を想像のままにしておいて、答えを出さないほうがいいと思うんですよね。
あの物語は、あそこで終わっているからこその名作なんじゃないかと・・・。

漫画でも小説でも、それから音楽などにもいえることですが、その著作権を持っているのは作者ですが、公に発表した作品というのは、作者の所有物ではなく読者やファンのものでもあると思うんですね。
だから、たとえ著作権を所有している作者といえども、安易にさわるべきではないと思うんです。
特にミュージシャンなんかによくあることですが、何年か経って過去のヒット曲のアレンジを変えてリメイク版を発表したりしますが、あれってほとんどの場合オリジナルを超えることはありません。
アーチストにしてみれば、それが若い頃の作品だったりすると、演奏やアレンジ等の拙さが目に付くようになるみたいで、スキルアップした今の自分を伝えるべくリメイクしたくなるみたいですが、それって結局は作者のマスターベーションに過ぎないと思うんですよ。
ファンにしてみれば、その時代に聴いたそのままのアレンジ、そのままの歌声に思い出がいっぱい詰まっているわけで、それを断りなく(笑)リメイクして、こっちのほうがいいよ・・・っていわれても、それは作者の自己満足の押し付けでしかないんですよね。
著作権を持っている作者にしか与えられていない権利だけに、ファンが何を望んでいるかをしっかりと踏まえた上で、続編なりリメイク版なりの制作に臨んでほしいものですし、それがわからない場合は、安易にさわるべきではないと思います。

まあ、その辺りのことは、おそらくあだち充さんの場合はちゃんとわかっている漫画家さんだと思いますので、決してオリジナルに害を及ぼすような作品は描かないと思っています。
続編といっても、直接的な続編ではなく、同じ明青学園が舞台というだけで、物語としてはまったく新しいものなのでしょう。
ただ、何らかのかたちで『タッチ』と話がつながっている・・・でもきっと、あだち充さんのことですから、できるだけ直接的な言葉や描写を避け、さり気なく読者に伝えるような描き方をするでしょうね。
それは『タッチ』のなかで、柏葉監督が言った「新幹線の時刻表はありますか?」という台詞だけで、目の手術が成功したことを伝えたように・・・。
さらには、『タッチ』の最終話のラストシーンの最後のコマで、棚の上に飾った甲子園優勝の記念皿だけですべてを語ったように・・・。

なんか、また最初から読み直したくなってきました(笑)。


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by sakanoueno-kumo | 2012-06-14 10:54 | 映画・小説・漫画 | Trackback | Comments(0)  

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