平清盛 第27話「宿命の対決」 その1
清盛の帰還は、信頼の暴挙を苦々しく思っていた公卿たちを大いに力づけた。『愚管抄』によると、清盛の帰還に最初に反応したのは内大臣藤原公教だった。公教はひそかに二条親政派の藤原経宗、藤原惟方に近づき、二条帝を内裏から脱出させる計画を持ちかけた。経宗ら二条親政派にしてみれば、「打倒信西」を旗印にこれまで信頼と行動を共にしてきたものの、信西斬首後も政局の主導権をとりつづけている信頼と義朝には不満を抱いていた。もともと、反信西という点でのみの同盟に過ぎなかった両者。事が成ったあとは、分裂するのは必然だったといえるだろう。
二条親政派のうち六波羅にいる清盛との連絡役となったのは、惟方の妻の兄弟である藤原尹明だった。尹明から天皇脱出計画を持ちかけられた清盛は一策を考案した。それはドラマにもあったように、昼のうちに女房用の車をすだれを垂らして内裏近くに待機させ、二条大宮で火事を起こし、信頼方が火事に気を取られている隙をついて、天皇を車に乗せて奪取しようというものだった。
さらに清盛は、尹明の提案により信頼に名簿(みょうぶ)を提出して油断させた。名簿とは、現代の誓約書、契約書に相当するもので、つまり、清盛は信頼に対して反抗の意思がないことを示した偽りの名簿を差し出すことで、敵方を欺くという策に出たのである。六波羅に帰還して1週間が経った25日早朝、第一の家人である平家貞を使者として名簿を信頼に奉呈した。京で随一の兵力と財力を誇る平家の服従の証に、信頼は大いに喜び、すっかり油断してしまった。
その日の夜、天皇救出作戦が決行された。惟方は、まず後白河院のもとに赴いて内裏からの脱出をすすめ、仁和寺に逃すことに成功する。怪しまれることなくやすやすと脱出したというから、信頼方はよほど油断していたのだろう。つづいて、かねての打ち合わせどおり二条大宮で火事が発生、その隙に尹明は内裏に参入し、天皇を女房車に乗せ無事六波羅へ行幸させることに成功する。このような危急の事態のなかで、天皇とともに皇位の正統性を示す三種の神器や琵琶・和琴の名器、殿上の椅子まで持ちだされたというからすごい。
二条帝が六波羅に到着すると、天皇に近侍する蔵人の藤原成頼が「六波羅を皇居となされたり」と触れまわり、公卿、殿上人もわれ先にと六波羅へ詰めかけた。ドラマでは描かれていなかったエピソードとして、このときの清盛の度量の大きさを示す話が『愚管抄』に記されている。続々とやってくる公家衆に混ざって、ときの関白・藤原基実とその父・藤原忠通もやって来たが、基実が信頼の妹婿だったため、公卿殿上人から一斉に冷ややかな視線が注がれた。そこで公教が基実参入の可否を清盛に問うたところ、「関白のことはことさら相談する必要はない。来なければ呼ばなくてはならないが、来たのだから結構なことだ」と、心おきなく歓迎したという。これを聞いた人々は「よくぞ申したものだ」と感心したという。基実にしてみれば、清盛の一言にどれだけ救われたか察して余りある。後年、清盛娘の盛子と基実の婚姻がすんなりと成立するのも、このときの清盛の度量に基実が信服していたからに違いない。このときそこまで計算していたわけではないと思うが・・・。いずれにせよ、天皇、上皇を擁したことで、清盛率いる平家ははれて官軍となった。翌26日、六波羅から信頼・義朝追討宣旨が出され、いよいよ平家軍の出陣となる。
長くなってしまったのでその2に続きます。
ブログ村ランキングに参加しています。
よろしければ、応援クリック頂けると励みになります。
↓↓↓

にほんブログ村
by sakanoueno-kumo | 2012-07-09 15:43 | 平清盛 | Trackback(1) | Comments(0)

褤Ȥʤʿȸ襤 ϡޤϲ˽ФơΤŷĤåԤ̾ʬ襤˻ࡣ кϤ塣 ΤϥץåФͤĹϷ֤ǡäȤ٤ ޤäפ꤬ҤɤäΤäͤ ɥɥ饴ϤȤꤽ줬Ҥɤʤ롣 ߤäפɤͤ줿Ȥβ¤ʤȤŪ ʿʪǤϡܰԳмԡ٤Ȥܤ�줿͡ ʿʪǤؤ⤪뤳Ȥ⡢Ȥɤˤꤷɤ٤Ƚ졢¤ǰͤΤ褦Ƥ ʤʹ֤äȤäȤ�ϤˤҤƤꡢͭǽäȤä ̤ܶȵīΰ쵳Ǥ ޡȤʤäɤ͡ 줬ޤȯŸӾΤ...... more