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球界の宝・田中将大投手の酷使に、かつての松坂大輔投手の姿を見る。

ちょっと旬ネタを過ぎてしまいましたが、過日、日本プロ野球で最も長い歴史を持つ球団と、最も歴史の浅い球団で行われた日本シリーズは、後者の東北楽天ゴールデンイーグルスの勝利で幕を閉じましたね。
アンチ巨人の私としては望みどおりの結果でしたが、何より7戦とも実に見応えのある試合ばかりで、野球ファンにとってはたまらないシリーズだったのではないでしょうか。

そんななか、今年負けなしだった楽天のエース・田中将大投手が第6戦で敗戦投手となり、昨年8月から続けていた公式戦での連勝記録が30でストップしてしまいました。
これって、やっぱ連勝記録ストップの対象になるんですかね?
だって、選手の通算記録にはCSや日本シリーズの成績は入らないでしょう?
だったら、マー君の連勝記録も、ペナントレース時の28連勝のまま継続中という解釈にはならないんでしょうか?
どうも、腑に落ちない思いです。
もっとも、来年はメジャー移籍なんて噂もありますから、いずれにせよ連勝記録は打ち止めだったかもしれませんけどね。

とにもかくにも、今年の田中投手の活躍は、“素晴らしい”を通り越して“凄まじい”といっていいものでした。
あの稲尾和久投手が持っていたシーズン連勝記録を56年ぶりに大幅更新し、メジャーリーグで100年以上前にルーブ・マーカード投手が記録した開幕連勝記録も更新、何より24勝0敗というシーズン無敗記録はプロ野球史上初のことで、これ以上の投手成績はないわけで・・・。
今年のマー君の先発登板数は27試合ですから、24勝というのは、近代野球では限界の勝利数でしょうね(近年でも20勝投手はときどき生まれますが、24勝以上となると、昭和53年(1978年)の鈴木啓示投手の25勝以来35年ぶりとなります)。
先日、2度目の沢村栄治賞を受賞しましたが、彼はまだ25歳ですから、3度目4度目だってあり得るでしょう(このまま日本にいればですが)。
3度の同賞受賞投手をみれば、杉下茂投手、金田正一投手、村山実投手、斎藤雅樹投手と、いずれも歴史に名を残した伝説の大投手ばかりです。
稲尾に金田に村山・・・そんな名前が上がること自体、すでにマー君もその域に近づいてきたということですね。

その一方で、心配なのは故障です。
先日の日本シリーズでも、160球を投げた翌日にリリーフマウンドに立ったマー君ですが、エンターテイメントとしては大成功でしたが、肩や肘への負担を考えれば、“酷使”としかいいようのない無茶ですよね。
星野仙一監督は「本人が希望した」と語っていましたが、おそらくマー君ならそうだったでしょうが、それを抑えるのが指揮官だと思います。
酷使による影響は、明日明後日に出るものではなく、5年後10年後に出てくるものです。
いまは大丈夫かもしれませんが、のちのちきっと後悔することになっちゃいますからね。

その点でマー君とかぶるのが、現MLBニューヨーク・メッツの松坂大輔投手です。
これは私の個人的な意見ですが、松坂投手がいまのマー君の歳の頃は、マー君以上の投手だったと思っています。
しかし、渡米してからというもの、ずっと故障に苦しんでいますよね。
振り返ると、彼もマー君と同じく、球数を厭わず先発完投にこだわる投手でした。
自分の肩肘に自信過剰なところがあったのかもしれません。
そのツケが、いまの松坂投手の状態を作ったといっていいのではないでしょうか?
で、その松坂投手の若い頃に、いまのマー君はそっくりに思えるんですよね。
高校野球時代に、延長戦で200球以上を投げたという点でも同じですよね。
松坂投手が高校時代に延長17回のPL学園戦を投げ切ったとき、ほとんどのプロ野球のスカウト陣は、「松坂の凄さはよくわかったから、頼むから早く敗けてくれ!」と、祈っていたといいます。
金の卵を潰さないでくれ・・・といった思いですね。
おそらくマー君のときも同じだったでしょう。
あの高校時代の酷使のツケだって、きっと肩肘に残っているはずです。
その後、ともに「松坂世代」「斎藤・田中世代」といった具合に、その世代の代表として表現されたという点でもまったく同じです。
だから、マー君を見ていると、どうしても松坂投手とラップしちゃうんですよね。
でも、この先は松坂投手のようにはなってほしくないですよね(松坂投手も再起に向けて頑張ってはいますが)。
そのためには、先日のような無茶はぜったいしないことだと思います。

来季よりメジャー移籍の噂があるマー君ですが、アチラに行けば否が応でも球数制限で管理されますが、もし日本に残れば、また星野仙一監督指揮のもと、フル回転するでしょう。
星野さんは投手の弱音に厳しい人ですからね。
投手を変えない監督さんでもあります。
自身が熱血派投手だったこともあるのでしょうが、あの人にいわせれば、「いまの投手は軟弱だ!」ということになるのでしょう。
たしかに、マー君が破った稲尾和久投手の20連勝の記録などは、たった1ヶ月で達成したそうですから(尋常じゃないですよね)、その時代の人にいわせれば、週に1度しか投げない現代の投手は“軟弱”になるのかもしれません。
でも、時代が違うと言ってしまえばそれまでですが、当時でもきっと、稲尾投手のよう超人の陰で、才能があったのに酷使によって潰れていった投手がたくさんいたことでしょう。
もったいないですよね。

連勝の新記録を達成したときの星野監督のインタビューだったと思いますが、マー君のことを「歴史に残る伝説の大投手」といった表現で称えていました。
本当にそう思うのなら、来シーズンは絶対に今年のような酷使は避けてほしいと思います。
本人はたぶん、「投げたい」と言うでしょうから。
球界の宝を、皆で守っていってください。


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by sakanoueno-kumo | 2013-11-09 19:46 | プロ野球 | Trackback(1) | Comments(5)

 

Tracked from 平太郎独白録 親愛なるア.. at 2013-11-12 17:51
タイトル : 高校野球決勝戦に見る投手の登板過多問題
親愛なるアッティクスへ 高校野球もついに決勝戦ですね。 ところで、私、ここまで甲子園の高校野球を見ていて、強く思ったことがあります。 それは、「一人の投手にこんなに投げさせて良いのか・・・」ということです。 以前、元巨人の桑田真澄投手が言ってましたが、「子供の体は大人が守ってやらなければならない。アメリカでは小学生は何球まで、中学生は何球まで、高校生は何球まで・・・と厳しく決まっている」と。 そう考えれば、今大会に限らず、甲子園では大体、打たれない限りエースが投げきりますよね。 しかし...... more
Commented by heitaroh at 2013-11-12 18:01
まあ、マーくんを売りに出さなきゃ、他の選手の給料が払えないということなんでしょうが、どうしてもそうなると、買い手は巨人かアメリカかしか無いわけで・・・、そうなると、「メジャーへ昇格」感が拭えず、日本のプロ野球のアメリカの二軍化が進むでしょうね。
沢村賞は昔はセ・リーグだけの記録だったのですから、そうそうたる顔ぶれといったところで、この部分だけはかなり、割り引いて考えなければならいんじゃないですか?
実際、マーくんはこれだけの成績を残しても昔だった対象外だったわけですから。
故障についてはまったく同感です。
プロが中6日にで投げている時代に何で高校生が連投してるんだと言いたいです。
ただ、ちょうど、昨日だったか、NHKBSで巨人と中日の最終試合決戦(10.11?)をやってましたが、巨人はこの試合に中2日の齋藤、中1日の桑田を投入しのに、中日は投入しなかった・・・と。
こういう試合だけ・・・の投入というのは私も有りかなぁと思いましたけどね。
Commented by heitaroh at 2013-11-12 18:07
ちなみに、稲尾さんについては当時の三原監督は「別に酷使した覚えはない」と言ってましたね。
つまり、ちょっと投げさせて、調子が悪いようならすぐ変えた・・・ということのようでしたが、まあ、それでも一ヶ月で20勝は・・・(笑)。
ただ、稲尾さん自身も「僕はむりやり投げさせられた覚えはない。好きで投げてたんだ」とおっしゃってました。
ちなみに、選手寿命が短かったように言われてますが、実は方を故障した後、激痛の中、鉄球を投げて鍛え直してまた、復活していたそうですが、ただ、球団の事情がああなっちゃいましたから、むりやり、引退に追い込まれたんだそうです。
Commented by sakanoueno-kumo at 2013-11-16 22:22
< heitarohさん

RES遅くなってスミマセン。
毎年のことですが、11月はメチャメチャ忙しくて、ほぼ不眠不休の毎日です(泣)。

>マーくんを売りに出さなきゃ他の選手の給料が払えない

それも寂しい話ですね。
先日、三木谷さんは「残ってくれたら8億出す」なんて言ってましたが、あれもパフォーマンスなんでしょうね。

>日本のプロ野球のアメリカの二軍化が進む

同感です。
といっても、この流れは止められないでしょうから、せめて、あっちへ行ったら二度と日本へ帰ってくるなと言いたいです。
あっちであまり活躍出来なかった選手や、一時は活躍したもののお払い箱になった選手を、日本のチームが高額で採るのはぜひやめてほしいです(わが阪神は今年それをやりましたが)。
それって、MLB>NPBを証明しているようなものですから。

>沢村賞は昔はセ・リーグだけの記録だった

そうでした。
ただ、今世紀に入ってからはパ・リーグの投手ばかり獲ってますね。
帳尻合わせでしょうか(笑)。

つづく
Commented by sakanoueno-kumo at 2013-11-16 22:23
< heitarohさん

つづき

>こういう試合だけ・・・の投入は有り

たしかに短期決戦の場合、多少の負担も仕方がないとは思いますが、桑田投手の例の場合、前の当番はどのくらいの球数だったのでしょうね。
この度のマー君の場合、160球完投の翌日ですからね。
シーズン中もフル回転だったことを思えば、いかに優勝を決める大事な試合だったとはいえ、度を越してたんじゃないですかね?
あれでもし1〜2点取られてたら、たとえ優勝しても後味が悪かったような・・・。

>僕はむりやり投げさせられた覚えはない。好きで投げてたんだ

でもそれは、稲尾さんだけじゃなく、松坂もマー君も同じだったと思いますよ。
中にはいくら投げても故障しないバケモンがいるのでしょうが、だいたいの場合、後から後悔するものでしょう。
ただ、若くてブイブイいわしているときには、そんなこと考えないもので・・・。

つづく
Commented by sakanoueno-kumo at 2013-11-16 22:23
< heitarohさん

つづき

高校野球に関して言えば、今年ようやく準決勝と準々決勝の間に休息日を設けていましたね。
そんなもん、誰が考えたってわかることなのに、対応が遅すぎます。
板東英二や太田幸司などは、甲子園で既に潰れていた・・・という専門家もいます。
松坂やマー君も、あの激闘は少なからず蓄積されているでしょうね。
感動より、将来ある高い才能を潰さないルールを考えてほしいものです。

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