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キムタク版 『宮本武蔵』 鑑賞記

先週末、木村拓哉さん主演の『宮本武蔵』が2夜連続で放送されていましたよね。
宮本武蔵といえば、言わずと知れた江戸時代初期の剣豪兵法家で、これまで何度も映画化やドラマ化されてきた時代劇の定番中の定番ですよね。
古くは片岡千恵蔵さんや嵐寛寿郎さんなどの伝説の名優に始まり、戦後は三船敏郎さん、萬屋(中村)錦之介さん、北大路欣也さんらビッグネームの俳優さんが演じ、今世紀に入ってからは、上川隆也さんや本木雅弘さん、そして2003年の大河ドラマでは市川海老蔵(新之助)さんが抜擢されて話題を呼びました。
武蔵を演じるということは、ある意味、一流の俳優としての箔がつくといっても過言ではないかもしれません。

で、名前の大きさでいえば、過去の俳優さんたちに決して引けをとらない平成のトップスター木村拓哉さんの武蔵ですが、わたし個人的には、なかなか良かったと思います。
やはり彼は、何を演ってもサマになりますね。
キムタクは何を演じてもキムタク・・・なんて批判する人もいますが、それを言うなら高倉健さんだってそうですからね。
何を演ってもカッコいい役者さんというのは、そうはいないと思います。
いろいろ言われるのは、それだけ彼がスターだということですね。

そもそも、宮本武蔵という人物については、実はほとんど謎の人物といっていいほど、詳しいことは何もわかっていません。
わたしたちが知る宮本武蔵は、吉川英治著の不朽の名作小説『宮本武蔵』で描かれた武蔵像で、ほとんどの映画やドラマが、この作品を下敷きにしています(今回のドラマもそうでしたよね)。
関が原の合戦後に始まって、巌流島の戦いをクライマックスに描くこの小説は、吉川英治氏自身も語っているように、史実をベースにした伝記小説ではなく、剣の道を通して自己を研鑽していくひとりの男を描いた娯楽小説であり、そのほとんどがフィクションです。
わたしたちの知る宮本武蔵は、吉川英治氏が作った虚像なんですね。

では、その吉川武蔵像のベースはどこから来ているかといえば、江戸時代中期から歌舞伎浄瑠璃講談などの題材として脚色されてきたもので、これもまた、明らかなフィクションといっていいでしょう。
武蔵の本来の人物像を見るうえで唯一の史料として重視されるのが、武蔵自身が著した兵法書『五輪書』ですが、これとて、現存するものは武蔵が晩年を頼った細川家の家臣が書いた写しで、武蔵直筆のものは存在しません。
しかも、その内容は明らかに武蔵の武勇伝を誇張して書いているとしか思えない部分が多く見られ、ほんとうに武蔵自身が書いたものかどうかも疑わしいとする歴史家の方もたくさんいます。
なかには、宮本武蔵という人物の実在性すら疑問視する歴史家さんもいるほどで・・・。
結局のところ、宮本武蔵という人物は、歴史上ほぼ謎の人物といってよく、日本史のなかよりも、物語のなかで輝いてきた人物といえるでしょう。
ですから、いろんな武蔵像があっていいと思うんですね。
キムタク武蔵、わたしは良かったと思います。

他のキャスティングも実に良かったですね。
セクスィー部長・沢村一樹さんの佐々木小次郎もハマってましたし、真木よう子さんのお通も、予想に反して合ってたと思います。
ユースケ・サンタマリアさんの又八は、いちばんのはまり役だったんじゃないでしょうか(彼のためにあるような役かと・・・笑)。
松田翔太さんの吉岡清十郎は、吉川英治作品よりも、漫画『バカボンド』のイメージに近かったでしょうか?
ただ、これらの登場人物たちも、ほとんどが吉川氏の作った架空の人物か、実在性が定かでない人物ばかりですから、正解の人物像はないんですけどね(明らかに実在した人物といえば、香川照之さんの沢庵和尚と、鈴木福くんの宮本伊織くらいでしょうか?)。

とにもかくにも、民放テレビでの時代劇がめっきり減ってしまった昨今、こうして人気俳優さんを主役に王道の時代劇を作ってくれるのは嬉しい限りです。
定期的に続けてほしいものですね。
とりあえず、保存版で録画しました。


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by sakanoueno-kumo | 2014-03-19 21:08 | その他ドラマ | Trackback | Comments(0)  

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