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軍師官兵衛 第25話「栄華の極み」 ~鳥取城の戦いと宇喜多直家の死と安土城のライトアップ~

 三木城を落とした羽柴秀吉は、すぐさま但馬国・因幡国を平定すべく鳥取城の攻略にとりかかるのですが、ドラマでは完全スルーでしたね。「鳥取の飢殺し」と称された鳥取城の戦いは、同じく「三木の干殺し」と称された三木合戦とともに、日本史上もっとも有名な兵糧攻めのひとつです。その凄惨ぶりは三木合戦に勝るとも劣らず、残されている記録によれば、飢餓の極致に達した者たちは、人肉をも食らったとか。その概要を示すと、

 「飢餓を極めた城内では、虫の息になった者たちに人が集まり、刀で関節を切り離し、肉を切り取って食らった。とくに脳味噌は栄養価が高いため、あちこちで首の奪い合いがあった。」

 と記されています。まさに地獄絵図ですね。三木合戦の折は、黒田官兵衛はそのほとんどの期間を摂津有岡城の土牢で過ごしていましたが、この鳥取城攻めでは、秀吉の参謀として大いに腕をふるっていたはずです。ドラマで割愛されたのは、あまりにもおぞましすぎてNHK的に描けなかったのか、あるいは、この残酷な作戦を指揮する官兵衛の姿は、キャラ的にまずかったのか、いずれにせよ、ここまで今年の大河ドラマはたいへん面白いと思っているだけに、少し残念ではあります。本話のタイトルは「栄華の極み」ではなく、「飢餓の極み」でよかったんじゃないかと。

 鳥取城を落とした秀吉は、いよいよ毛利輝元の本拠地である安芸国を目指します。となれば、必ず通らなければならないのが備前国と備中国ですが、あの悪名高き備前の宇喜多直家は、調略によって既に織田方に与していました。しかし、だからといって油断できないのが曲者と言われた直家ですが、秀吉が鳥取城を落とした天正9年(1581年)には、直家は病床についていました。このとき直家の嫡男の八郎(のちの宇喜多秀家)はまだ10歳。自らの余命が残り少ないことを悟った直家は、息子の行く末を秀吉に頼みます。これを秀吉は快諾し、養子にしました。秀吉にしてみれば、願ったり叶ったりだったでしょうね。曲者の親父が病に倒れ、幼い嫡子の後見人になることで、ほとんど労せずして備前を手中にしたようなものでした。直家、よくぞ倒れてくれた!・・・と。

 ちなみに、ドラマの直家は自身の側室・お鮮も秀吉の側女に差し出していましたが、秀吉がお鮮を側室にしたかどうかは定かではないようですが、八郎とともに生母であるお鮮の後見人として宇喜多家をサポートしたのは事実のようです。お鮮はたいそう美人だったといいますから、女好きの秀吉が放っておいたとは考えづらいですね。直家、よくぞ倒れてくれた!・・・と(笑)。

 「栄華の極み」とは、安土城のライトアップだったんですね。『信長公記』によると、天正9年(1581年)7月15日、織田信長は安土城天主と惣見寺に数千の提灯をともし、新道や江の内の舟上で馬廻に松明をかかげさせ、山上を照らし出させたといいます。城の明かりは湖面に写り、その美しさは、この世のものとは思えないほどで、京や大坂から見物客が群れをなして集まったと伝えられます。イエナリエならぬ、城ナリエですね。そもそも戦国時代の城とは、戦のための大規模な砦であり、のちの時代のそれのように美を求めるものではありませんでした。ましてや、城を明かりで装飾するなどといった発想は、奇才信長以外には考え及ばなかったでしょうね。かつて見たことのない美しい光景に、当時の人々は、信長の威光新しい時代の訪れを感じたことでしょう。

 「宇喜多家は秀吉に賭ける。あの男は天下を取れる器じゃ。・・・信長は危うい。」

 まるで未来を知っているかのような死際の直家の台詞ですが、秀吉の天下を予見できたかどうかは別にしても、信長が危ういという見方は、あるいはこの時代の多くの者が感じ始めていたかもしれません。天下統一を目前にし、まさに「栄華の極み」にあった信長ですが、恐怖政治が長続きしないというのは、歴史の示すとおりでした。

 「わしとて上様が恐ろしい。だが、それゆえ懸命に働くのだ。」

 そう言った明智光秀が本能寺を攻めたのは、安土城のライトアップから1年足らずのことでした。


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by sakanoueno-kumo | 2014-06-24 22:18 | 軍師官兵衛 | Comments(2)  

Commented by heitaroh at 2014-06-24 22:39
あれ?鳥取城はもう終わったんですか?これから出てくるんだろうとばかり思っていたのですが...。
Commented by sakanoueno-kumo at 2014-06-24 22:49
<heitarohさん。

予告編では、次週は備中高松城攻めが始まるみたいでしたよ。
3週後には本能寺みたいですから、鳥取城で止まってられないのかもしれませんね。

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