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軍師官兵衛 第42話「太閤の野望」 ~文禄の役~ その2

 先日の続きです。

 宇喜多秀家の軍監として参陣していた黒田官兵衛でしたが、勇み立った小西行長らと衝突することしばしばで、それを収める器量など秀家にあるはずもなく、思うように力が発揮出来ていませんでした。8月に漢城で行われた軍議でも、官兵衛は明の大軍が攻め込んできた場合を想定して守りを強化する慎重論を説きますが、行長は講和を申し出てきた明が再び攻めてくることはないと反対し、石田三成もこれに同意します。行長も三成も、もともと官兵衛が朝鮮出兵には慎重論だったことが頭にあったため、端から聞く耳を持たなかったのかもしれません。そんな環境に嫌気が差したからかどうか、官兵衛はを理由に日本へ帰国してしまいます。ドラマでは、病ではなく秀吉に戦況を報告するために帰国していましたね。

 官兵衛が帰国した直後の8月29日、明軍の将軍付きの使節であった沈惟敬と小西行長との間で50日間の休戦が約束されます。この休戦に李氏朝鮮は反対だったといいますが、宗主国である明に押し切られたかたちとなります。この50日間というのは、沈惟敬が明国皇帝に降伏の承認をとりつけるための猶予期間という設定でした。しかし、実はこの休戦合意そのものが、嘘っぱちだったんですね。さすがは中国、歪曲約束破りは現代に続く国民性のようです。

 文禄2年(1593年)正月、明の大軍が行長の守る平壌城に襲いかかってきました。官兵衛の危惧が的中したわけですね。小西軍は必死に応戦しますが、明軍の怒涛の攻撃に耐え切れず、撤退を余儀なくされます。このとき、黄州にいた大友義統軍は、本来であれば退却してきた小西軍を収容すべきところを、小西軍の劣勢を聞くや恐れおののき、先に逃げてしまいます。この失態により義統は、のちに改易となります。

 その後も退却を続けた小西軍は、龍泉山城に在陣する黒田長政軍に収容されます。小西軍と合流した黒田軍は、からくも明軍の追撃をはねのけながら、ひとまず漢城まで撤退し、防御線を張ります。明軍はさらに追撃を仕掛けてきますが、さすがに豊臣の戦国武将たちの地力は強く、激戦の末これを撃退します。しかし、もはやこのときの豊臣軍は、防衛で精一杯でした。

 一進一退の戦況にしびれを切らした秀吉は、同年2月、領国の豊前で静養していた官兵衛に、再び渡海を命じます。当初は秀吉自身が渡海して陣頭指揮をとるとしていましたが、徳川家康ら諸将に反対され、やむなく官兵衛を派遣したといいます。一説には、官兵衛自らが、「若い諸将は武功を争って統制がとれない。大軍の規律をただし統率し得るのは、徳川家康殿か前田利家殿、そして、この黒田官兵衛だけでしょう。」と放言し、これを聞いた秀吉が、官兵衛に渡海を命じたとも言いますが、その真偽は定かではありません。

 再び大陸入りした官兵衛は、早々に釜山までの撤退を決定し、自身は東莱城に滞在します。ある日、一緒に渡海してきた浅野長政を対局していたことろ、同じく戦奉行として渡海していた石田三成増田長盛大谷吉継の3人が軍議のために訪れます。しかし、官兵衛にとってはかねてから気に入らない面々だったためか、そのまま碁を打ち続け、待ちぼうけを食らわせます。これに怒った三成は、官兵衛の無礼な行為をそのまま秀吉に讒言します。いわば告げ口ですね。こんな事ぐらいで告げ口する三成も三成ですが、官兵衛の行いも大人げないといえますね。よほど腹に据えかねた思いがあったのでしょう。それとも、ドラマのように、これも三成の陰謀だったのでしょうか。だとすれば、少々、子供の喧嘩じみている気がしないでもないです。

 結果的に、三成の告げ口についてはお咎め無しだったのですが、三成の告げ口に腹を立ててか、それとも秀吉に弁明するためだったのか、官兵衛は秀吉の了解もないまま無断で帰国します。これに秀吉が激怒。無断で職場放棄してきたわけですから当然ですね。秀吉は官兵衛に蟄居を命じます。それでも、切腹とまではいかなかったところは、秀吉はまだ官兵衛を必要としていたということでしょうね。これも、ドラマで描かれていたような三成の陰謀だったかどうかはわかりません。ドラマの三成は、どうも小物感いっぱいですね。ひと昔前の三成像といった感じです。官兵衛が主役の物語ですから、三成がヒール役になるのはやむを得ないとは思いますが、もうちょっと、器の大きな人物に描いてほしかったかなぁと・・・。三成と官兵衛がお互いをよく思っていなかったというのは、たぶんそうだっただろうと思いますけどね。


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by sakanoueno-kumo | 2014-10-24 22:53 | 軍師官兵衛 | Trackback | Comments(2)  

Commented by heitaroh at 2014-10-25 00:23
浅野ですね。長政(笑)。...などと些末なことを言っている場合ではなく、三成も官兵衛もよく渡海往復できますよね。せいかいけん握られているのに。
Commented by sakanoueno-kumo at 2014-10-28 02:27
< heitarohさん

げっ!!!間違ってました!!
ご指摘ありがとうございます。
さっそく修正させてもらいました。

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