軍師官兵衛 第44話「落ちゆく巨星」 その2~黒田節と母里太兵衛~
酒は呑め呑め 呑むならば 日本一のこの槍を
呑み取るほどに呑むならば これぞ真の黒田武士
有名な民謡『黒田節』の歌詞ですが、今話、この歌にまつわる母里太兵衛の有名なエピソードが描かれていましたね。知っている人も多いと思いますが、ここで改めて逸話を紹介しておきます。
母里太兵衛といえば、「黒田二十四騎」の中でも最も剛力として知られる勇将で、黒田官兵衛、長政父子の二代に仕えた人物です。今回のドラマでも、常に官兵衛に付き従う側近として描かれていますね。
文禄5年(1596年)正月、太兵衛は長政の名代として、京都伏見城に滞留中の福島正則のもとを訪れます。このとき、太兵衛は正則から酒を勧められますが、名代という立場をわきまえ、いったんはこれを固辞します。太兵衛は家中でも「フカ」とあだ名されるほどの大酒呑みでしたが、このときは「先方で酒を出されても呑むことまかりならぬ」と、事前に長政より釘をさされていたといいます。しかし、自身も酒豪である正則はなおもしつこく勧めます。今も昔も、大酒呑みという人種は、酔うとはなぜか人にも酒を進めたくなるんですね。いわゆる質の悪い酔っぱらいです。
頑なに拒む太兵衛に対して正則は、大盃になみなみと酒を注ぎ、「これを飲み干せたならば、好きな褒美をとらせよう」といいます。さらに正則は、「黒田武士は酒に弱い。酔えば何の役にも立たない」と侮辱して挑発したとか。さすがの太兵衛も、ここまで言われては黙っていられなかったのでしょう。太兵衛は大盃を手にすると、一気に呑み干したといいます。
そして太兵衛は、約束どおりの褒美として、正則が豊臣秀吉から拝領した名槍「日本号」を所望します。さすがの正則もこれには困ってしまいますが、「武士に二言はない」と開き直り、潔く「日本号」を太兵衛に与えたといいます。酔うと太っ腹になるというのも、典型的な大酒呑みの姿ですね。
翌朝、正気になった正則は、真っ青になって太兵衛のもとに「日本号」の返却を求めてきましたが、太兵衛は「武士に二言は無いはず」といってこれを受け付けませんでした。正則としては、一生の不覚だったでしょうね。この逸話によって、「日本号」は「呑取り日本号」という異名がつき、これが民謡『黒田節』の歌詞となり、黒田武士の男意気を示すエピソードとして後世に長く伝えられることになります。
とまあ、黒田家の歴史を語る上では欠かせない太兵衛の逸話ではありますが、今話の流れ的にいえば、本筋から大きく外れたところの余談であり、なんとなく唐突な感じがしましたね。多くの人に愛される逸話だから省くわけにいかず、無理やり話の間に押し込んだ感がありました。物語は秀吉の最晩年に差し掛かり、秀吉と官兵衛の関係も大詰めを迎えようとしているところ、太兵衛の逸話は割愛してもよかったんじゃないかと・・・。特に本編に必要な話ではなかったですしね。なんとなく、あのシーンだけ異質なものに感じました。
さて、いよいよ次週は秀吉の最期が描かれるようです。
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by sakanoueno-kumo | 2014-11-05 22:09 | 軍師官兵衛 | Trackback | Comments(4)
なんか忘れてたので慌てて出してきたみたいな(笑)。
