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軍師官兵衛 第47話「如水謀る」 ~関ヶ原の合戦序章と長政・糸の離縁~

 石田三成が政治の表舞台から失脚したことで、表面的には沈静化したように見えた豊臣政権内の勢力争いですが、水面下では、双方味方集めの工作合戦が繰り広げられており、事態はいよいよきな臭いムードが漂いはじめます。

 慶長5年(1600年)、三成と昵懇だった(といわれる)会津国の上杉景勝が、徳川家康との対立姿勢を示します。家康は上杉家に対して何度も上洛を促す使者を送りますが、景勝は病気と称してこれを拒否しつづけ、一方で、領内の城の補修工事を進めます。この態度から、上杉家は謀反の疑いをかけられるのですが、上杉家家老の直江兼続は、その釈明のための書状を家康に送ります。しかし、その書状には、家康を痛烈に非難した内容が書かれていたといわれ、それを読んだ家康が激怒し、上杉討伐を決定します

 家康が上杉討伐のため東国に向かったことによって、大坂はガラ空きとなり、その隙をついて三成が挙兵。そして関が原の合戦へと繋がっていくわけですが、この一連の流れは、三成と直江兼続が事前に密謀を交わし、家康を東西から挟み撃ちにする企てだったという説があります。ドラマでも、黒田官兵衛がその謀略を見抜いた上で、三成に作戦の甘さを忠告していましたよね。実際に官兵衛が見抜いていたかどうかはわかりませんが、反家康を表明している二人の挙兵があまりにも出来すぎなタイミングで行われていることや、三成が兼続に宛てた手紙に「密約」を匂わす文章があることなどから、この説を推す歴史家の方も少なくありません。

 一方で、二人の共謀説に否定的な意見も多く、その理由としては、当時、上杉家は新領国に国替えをして間もない時期であり、資金面から考えても、大戦を挑むなんてあり得ないというもの。現在では、こちらの説のほうが有力だそうです。どちらが真実かはわかりませんが、密約があったとする方が、ドラマチックではありますよね。ただ、その更に上手だったのが家康で、三成の挙兵を誘うため、あえて大坂を空にしたとする説。つまりは、三成と兼続の仕組んだ罠も、すべて家康が描いたシナリオだったという見方です。ドラマでも、この説を採っていましたね。晩年の権謀術数に長けた家康なら、それも考えられなくもないかもしれません。しかし、当時の状勢で言えば、まだ西軍(三成方)の方に分があった段階で、家康にそんな余裕をかますゆとりはなかったようにも思えます。結果を知っている後世の私たちは、歴史上の出来事をひとつの物語として繋ぎあわせて、そこに関連性を求めて理由付けをしたくなりますが、実際には、それぞれがそれぞれに個々の保身利益のために動いた結果が、歴史を作っているものなんじゃないかと思います。すべては偶然が重なって生まれたものなんじゃないかと・・・。

 有力大名との婚姻を進めて味方づくりを図っていた家康は、その狙いを黒田長政にも向け、自身の養女である栄姫を長政の正室として嫁がせます。これにより、16年連れ添った離縁することになるのですが、現代の感覚で言えば理解し難い行為ですが、この時代の常識で言えば、やむを得ない選択だったといえるでしょう。家康の意向には逆らえないといった理由もあったでしょうが、糸との間には16年間で娘がひとり生まれただけであり、「嫁して三年子無きは去れ」という当時の常識から思えば、黒田家にしてみれば家康の申し出は糸を離縁する大義名分になったかもしれません。実際、後に長政と栄姫の間には、忠之、長興、高政という3人の男子が生まれます。糸には気の毒な話ですが、黒田家にとっては、結果オーライの縁談だったといえます。

 ただ、そうは言っても、当時としても一方的な離縁は不条理な仕打ちではあったようで、この離縁によって糸の実家の蜂須賀家は怒り心頭となり、以後150年に渡り黒田家と蜂須賀家は絶交状態となります。

 糸はその後、蜂須賀家領国の阿波国で暮らし、長政より20年以上長生きします。その娘であるは黒田家に残り、井上九朗右衛門の嫡男・井上庸名の正室になったと伝えられます。黒田家と蜂須賀家が不通関係である以上、糸と菊はその後会うこともなかったでしょうね。きっと菊の幸せだけを祈りながらの余生だったことでしょう。


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by sakanoueno-kumo | 2014-11-26 20:17 | 軍師官兵衛 | Trackback(1) | Comments(0)  

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