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花燃ゆ 第23話「夫の告白」 ~八月十八日の政変~

 攘夷決行報復戦でコテンパンにやっつけられた長州藩は、その名誉挽回とばかりに、朝廷内の攘夷派公家たちと手を組んで、あからさまな工作を行います。その中心となって京で動いていたのが、久坂玄瑞でした。玄瑞らは孝明天皇(第121代天皇)を大和に行幸させ、神武天皇陵(現在の橿原神宮)と春日神社に詣でて攘夷を宣言させるという計画をたてます。これにもし幕府が抵抗すれば、将軍を追放し、天皇を擁して討幕戦に持ち込もうという過激な狙いでもありました。しかし、これに震え上がったのは当の孝明天皇。自分は攘夷論ではあっても、幕府体制を否定する気は毛頭ない。討幕の先頭に立つなど滅相もない、と。

 一方、京の政局では、水面下で薩摩藩会津藩の提携が画策されていました。京都守護職として御所を警護する会津藩士が約1000人。ここに、近々交代制の藩士が会津から1000人くる予定で、そこに薩摩藩の兵約800人を加えれば、ざっと3000人近くになる。この機会に会津と薩摩が同盟して、いい気になっている長州藩を朝廷から追いだそう、というクーデター計画があがっていました。そんななか、大和行幸計画に怯えた孝明天皇からSOSが会津藩主・松平容保の元に届きます。会津、薩摩にすればチャンス到来「いつやるの?今でしょ!」と言わんばかりにクーデターに踏み切ります。

 文久3年(1863年)8月18日早朝、会津兵と薩摩兵は御所の門という門をすべて固め、登城してきた三条実美を始めとする攘夷派の公卿7人の入門を遮りました。また、長州藩の持ち場である堺町御門も、薩会の兵によって封鎖され、追い払われてしまいます。怒った長州藩士たちは、兵を率いて堺町御門に押しかけますが、あまりにも兵の数が違いすぎることを悟り、ここは残念ながらひとまず退却し、再起を期して落ち延びるしかない、という結論に至ります。まさに、おごる平家は久しからず。昨日までの栄華から一気に奈落の底に突き落とされた長州藩士と7人の公卿たちは、翌日、降りしきる雨のなか、長州に向かって京を離れます。いわゆる「七卿落ち」ですね。薩会のクーデターは成功しました。

 クーデター成功の原因のもっとも大きなポイントは、薩会および公武合体派の公家たちが天皇を手中に収めたことでしょう。のちに天皇は討幕派から「玉(ぎょく)」と呼ばれましたが、この「玉」を手にすれば天皇の名で命令を出すことができ、これに反抗することは、とくに「尊王」攘夷派であるかぎり不可能でした。天皇を尊び、天皇のために命をも賭けた尊攘派たちは、天皇の意志によって「朝敵」にされたという、なんとも皮肉な話といえます。孝明天皇にしてみれば、過激なラブコールを贈る尊攘派、ことに長州藩士たちは、ある種、ストーカーのような怖さがあったのかもしれません。

 ドラマでは、七卿落ちに随行して長州に戻ってきていた久坂玄瑞でしたが、実際には、玄瑞は政変後も京に残り、政務座役としてしばらく京で活動します。玄瑞がに宛てた手紙は数多く残っていますが、ちょうどこの時期に書いた手紙に、義兄である小田村伊之助の次男・久米次郎養子に迎えたいと書いています。つまり、この時期、玄瑞は死を覚悟したということですね。自分が死んでも久坂家が絶えないよう取り計らったわけですが、しかし、玄瑞の死後、久米次郎が久坂家を継ぐことはありませんでした。というのは・・・と、このあとはドラマの今後に譲ることにしましょう。


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by sakanoueno-kumo | 2015-06-08 20:07 | 花燃ゆ | Trackback(2) | Comments(0)  

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