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天皇陛下が「生前退位」のご意向を示され、200年ぶりの譲位へ。

天皇陛下が、天皇の位を生前に皇太子さまへ譲る「生前退位」のご意向を示されていることが明らかになり、話題になっていますね。

今上天皇は現在、御年82歳

年齢も然ることながら、数年前に手術をされたお身体を考えると、やはりご公務は相当なご負担かと推察します。

わたしは、4年前に起稿した「院政と上皇について」でも少しふれましたが、かねてからご高齢の天皇の「生前退位」があっていいんじゃないかと思っていました。

というか、そうあるべきなんじゃないかと。

e0158128_17541463.jpg125代
続く歴代天皇の歴史を見れば、「生前退位」は珍しいことではなく、実に半数以上が生前に譲位しています。

譲位した天皇は太上天皇(上皇)となります。

日本の歴史上、初めて生前に退位して譲位を行ったのは、第35代・皇極天皇とされています。

皇極天皇4年(645年)6月12日、中大兄皇子らが宮中で蘇我入鹿を討ち、翌13日、入鹿の父の蘇我蝦夷が自害した「乙巳の変」、世に言う「大化の改新」ですが、その翌日の6月14日、皇極天皇は同母弟の軽皇子に譲位し、第36代・孝徳天皇となりました。

皇極天皇は女性天皇で、夫の第34代・舒明天皇の崩御後、継嗣となる皇子が定まらなかったため即位した暫定天皇だったということもありましたが、譲位した孝徳天皇が在位9年で崩御したため、再び皇位に就き、第37代・斉明天皇となりました。


e0158128_17541992.jpg平安時代末期には、藤原氏が国政の実権を掌握する摂関政治に疑問を持った第72代・白河天皇が、応徳3年(1086年)にまだ8歳の善仁親王(第73代・堀河天皇)に譲位し、上皇として政治を主導する「院政」を始めました。

以後、第74代・鳥羽上皇、第77代・後白河上皇、第82代・後鳥羽上皇と、院政が慣例化します。

第76代・近衛天皇のときには、鳥羽上皇、第75代・崇徳上皇2人の上皇が存在し、また、承久3年(1221年)に「承久の乱」が起きたときは、わずか4歳で即位した第85代・仲恭天皇の上に、第82代・後鳥羽上皇、第83代・土御門上皇、第84代・順徳上皇という3人の上皇がいたという例もあります。

もちろん、これらはすべて政治的な思惑の元で行われた譲位であり、今上天皇のご意向である「生前退位」とは、ずいぶん趣旨が違いますが。


e0158128_17542120.jpg日本史上、最後に生前での譲位が行われたのは、江戸時代後期、第119代・光格天皇で、30年以上在位したのち、文化14年(1817年)に47歳で譲位、その後、上皇として天保11年(1840年)70歳まで長寿します。

第122代・明治天皇の曽祖父にあたる天皇ですね。

この頃の譲位は、政治的意図は薄く、高齢による隠居だったのでしょう。

当時は武家でも40代後半になれば家督を継嗣に譲って隠居する時代でしたから、天皇家も同じだったのでしょうね。


その後、天皇の生前の譲位は約200年行われていません。

明治22年(1889年)に制定された旧皇室典範「天皇崩スルトキハ皇嗣即チ践祚シ祖宗ノ神器ヲ承ク」との規定が設けられ、天皇は死去によって皇位を継承されると定められました。

これは、「院政」による政治構造の二極化を避けようとしたためとも言われます。

一方、天皇が病気事故など理由で職務を行えない場合や、天皇が未成年である場合には、天皇の代理者として「摂政」を置けることになっていて、最近では第124代・昭和天皇が皇太子だった大正10年(1921年)、病弱だった父、第123代・大正天皇の摂政についています。

しかし、今上天皇は「摂政」を置くことは望まれていないとか。


医学の進歩によって人の寿命が長くなった現代においては、天皇の高齢化は避けられません。

神話時代の天皇を除いた第26代・継体天皇以降の歴代天皇のなかで、最も長寿だったのは昭和天皇満87歳で、現在82歳の今上天皇も現時点で第3位の長寿です。

これからも、長寿ランキングの上位は未来の天皇が占めていくことになるでしょう。

また、高齢で即位(践祚)した天皇のランキングも、今上天皇の満55歳第2位だそうです。

現在、皇太子徳仁親王56歳ですから、すでに父の即位年齢を超えられており、このまま数年経てば、歴代最高齢での即位になるかもしれません。

一般のサラリーマンが定年退職を迎える年になってようやく天皇に即位するというのも、どうかなあという気もしますよね。

ましてや、現在の皇位継承順位は、(1)皇太子徳仁親王、(2)秋篠宮文仁親王、(3)悠仁親王ですから、その順番通りになるとすれば、あるいは30~40年後、秋篠宮文仁親王80~90歳代のご高齢で即位なさることになります。

これはどう考えても気の毒ですよね。


「生前退位」を認めるとなれば、一定の年齢になると退位する「定年制」にするのか、あるいは、その時々の天皇陛下ご自身の意志によるものとするのか、その他、さまざまな議論が必要だろうと思います。

でも、現在82歳の陛下のご負担を思えば、一刻も早く現実化してほしいですね。

天皇に隠居の自由がないというのは、気の毒な話です。

現憲法下の象徴天皇という位置づけで、かつてのような権力の二極化といった心配はする必要はなく、「院政」ならぬ「院制」にすぎないわけですから。



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by sakanoueno-kumo | 2016-07-14 17:48 | 時事問題 | Comments(4)  

Commented by heitaroh at 2016-07-15 19:58
今時、上皇を担いで2.26のようなことする連中もいないように思えるんですけどね。
やったとしても、到底、民意が得られるようにも思わないし。
もし、危険性があるとしても、そこはどうにでも防げるようにも思うのですが。
聞いたところでは、同じ内閣で二度、憲法改正は出来ないから現政権は二の足を踏んでいるという話もありますが。
Commented by sakanoueno-kumo at 2016-07-15 20:48
> heitarohさん

<同じ内閣で二度、憲法改正は出来ないから現政権は二の足を踏んでいる>

なるほどね。
それ、じゅうぶんにあり得る話ですね。
日本国憲法は第1条から8条までがすべて皇室に関するもので、9条ではじめて皇室以外の話になりますが、その1〜8条よりも9条が大事ということですかね。
まあ、大事といえば大事ですが・・・。
Commented by ZODIAC12 at 2018-08-08 14:47 x
御紹介がありましたので、こちらへも来てみました。


言わんとする事は分かるのですが、それでも色々と疑問を感じます。
「もはや嘗てのような政治的な力はないから、譲位されても問題なし」というのも、何やら楽観が過ぎる気がします。

その時その時の天皇が恣意的に皇位を降りられるようになってしまったら、不敬な言い方ですが、大した理由もなく、「ワガママ」が通るようになってしまったらどうでしょうか?
色々と混乱が起きそうですし、天皇という存在が何やら俗っぽくなって、威厳や神聖性が損なわれてしまうのではないでしょうか?
今すぐには何の影響も出なくても、遠い将来に悪影響が全く出ないという保証はありません。
それは天皇に実際的な政治権力があるなしの問題ではないように思えますが。

だからと言って何も、今上陛下が個人的ワガママで譲位を断行されようとしているとは思いません。
恐らく我々には何か窺い知れない、深い御叡慮があるのでしょう。
それでも皇室典範に従って、摂政を御立てになって欲しかったと思います。

同じように「一度即位したら、皇位から降りられる自由がなくて気の毒」と言う人もいますが、例え酷に思えたとしても、皇室・皇族に対して、我々一般人と同じ論理を当て嵌める事は出来ません。
そういった安易な同情論こそ、逆に注意しなければならないと思います。
天皇という存在は、民間企業の社長ではないのですから、代表取締役社長を退任して、新しく代表取締役会長に就任するのとは訳が違います。
譲位をそれと同じ感覚で論じるべきではないと思います。


ここからは色々細かい事を言いますと、先に書き込んだ記事も含めて、色々と頂けない表現が見受けられます。

「皇太子さま」「今上天皇」「皇太子徳仁親王」「秋篠宮文仁親王」「悠仁親王」・・・・・「さま(様)」は一般人相手に用いる敬称ですし、またそれぞれ「陛下」「殿下」の敬称が抜けているのが気になります。

「退位」「生前退位」・・・・・この表現は不適切ですから、「譲位」だけで良いかと。

「死去」・・・・・これも一般人対象の語です。そこは「崩御」です。
Commented by sakanoueno-kumo at 2018-08-08 16:27
> ZODIAC12さん

おっしゃるように、摂政を御立てになって欲しかったという点ではわたしも同感ですが、そこには、私たちにはわからない深い理由がおありになったのでしょうから、論じようがありません。

<大した理由もなく、「ワガママ」が通るようになってしまう>

ですから、わたしは、いちばん良いのは定年退位制だと思うんですけどね。
皇室と一般人とを同じ論理で考えてはいけないというご意見はごもっともだと思いますが、ご高齢のお身体で多忙なご公務をこなされているお姿を見て、酷でも一般人じゃないんだから仕方がないとは思えません。
なにか、天皇の高齢化が避けられない現代に適した法整備が必要なんじゃないかと。

敬称、表現に不適切な点があったという点は、確かにおっしゃる通りです。
ご指摘ありがとうございます。
稚拙な素人の文章ですのでご容赦いただきたいのですが、不快に思われたのなら、申し訳ありません。
ただ、その点でいえば、プロのライターの文章でも、同じような不適切な表現は多々見受けられますけどね。
でも、だからといって戦前のように規制されることも罪に問われることはもない。
だから、こうして一般人の素人が、自由に皇室の制度について考えを発言することができる。
このような現在の皇室に、かつての権力闘争の歴史を当てはめて論じるほうが的外れだとわたしは思うのですが、それを楽観的だとおっしゃるのであれば、それ以上は何も返す言葉が見当たりません。

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