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真田丸 第46話「砲弾」 ~真田信繁調略失敗と、本町橋の夜襲~

 真田丸の戦いで甚大なダメージを受けた徳川家康は、ひとまず和議の方向に動きはじめます。その一方で、今や大坂方の英雄となった真田信繁に狙いを定め、調略の手を伸ばします。この時点で信繁が、今後の戦いにおけるキーパーソンと家康が睨んでいたことがわかる話ですね。信繫を寝返らせることができれば、今後の戦いが大いに楽になる。家康はそう考えていたに違いありません。真田丸の戦いは、それほど家康にとって手痛い敗北だったのでしょう。


 信繁の調略の使者として白羽の矢が立ったのは、信繁の叔父・真田信尹でした。このとき信尹は、徳川方の家臣になっており、家康の側近・本多正純を介して命令が下ったとされます。信尹と信繁の会見が行われたのは慶長19年(1614年)12月14日。真田丸の戦いから10日後のことでした。


 『慶長見聞録』によれば、信繁と信尹の会見は夜半に行われたといいます。しかし、その内容については、あくまでも伝承レベルにすぎません。『真武内伝』によれば、信繁が徳川方についてくれれば3万石を与えようと言ったとされ、また、『慶長見聞録』によれば、信濃国内に10万石を与えるとの意向を伝えたといいます。しかし、信繁は豊臣秀頼への恩義を重んじてこれを拒絶し、ただし、和睦が成立すれば、たとえ千石でも仕えると申し添えたといいます。つまり、ことの判断は報酬の大小ではない、ということですが、この報告を受けた正純は、10万石の報酬が不服だったのだろうととらえ、今度は信濃一国を与えるという条件で再び交渉に向かわせます。ところが、信繁はこの言葉を聞いて激怒し、信尹との面会を拒否したといいます。信濃一国といえば40万石以上あり、兄・真田信之を遥かに凌ぐ石高で、あまりにも現実味のない話。もし、信濃一国を信繁に与えるとなると、豊臣方を滅ぼさない限り領地が足らないんですね。信繁にしてみれば、「バカにするな!」といった心境だったのでしょう。


 ドラマでの信繁と信尹の会見は、そんな見え透いた駆引はなしでしたね。


信尹「寝返ったときの褒美が書いてある。読まんでいい。」


名シーンでした。


 徳川方からの和睦交渉の申し入れに困惑するなか、大野治房の指揮下にあった塙団右衛門直之が、夜襲を提案します。団右衛門は豪傑で知られた猛将で、このまま功を立てずに和議に持ち込まれることが不服だったのでしょう。進言を受けた治房もまた、ここまで大きな戦果をあげておらず、団右衛門の案を許可します。その夜襲が行われたのが、大坂城の東に流れる東横堀川に架かる本町橋です。


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慶長19年(1614年)12月17日未明、団右衛門は本町橋の南に陣を布いていた蜂須賀至鎮の陣を襲撃し、その家臣・中村右近を討ち取るなど戦果をあげます。このとき団右衛門は、本町橋の上に置いた床几に座ったまま兵を指揮し、「夜討ちの大将、塙団右衛門直之」と書いた木札をばら撒かせたというエピソードが伝わります。ドラマで団右衛門が名刺代わりのように小札を配っていたのは、この逸話からくるものです。浪人の彼らにとって、戦果は宣伝だったわけですね。


 なかなか和議に応じない豊臣方に対して、家康は矢文を使って盛んに投降を呼びかけるとともに、300挺という大量の大砲を用意し、城に向かって一斉に砲撃を開始しました。その轟音たるや凄まじいものだったようで、『時慶卿記』によれば、大砲の音が京都の朱雀あたりまで聞こえていたといいます。『台徳院殿御実記』によれば、「その響き百千の雷の落ちたるが如く、側に侍りし女房七八人たちまち打倒され、女童の泣き叫ぶことおびただし」と伝えています。


 片桐且元が家康に淀殿の居場所を教えたという話は『難波戦記』にみられるもので、同記によると、家康は城内の淀殿の居場所をめがけて砲を打ち込ませ、のひとつを打ち崩して淀殿の侍女7、8人が命を落としたといいます。それを目の当たりにした淀殿は震え上がり、それまでの強硬論から和議へと転じる姿勢を見せ始めたといいます。これも、家康が描いた筋書きどおりだったのか、あるいは、本気で淀殿を狙ったのかはわかりませんが、いずれにせよ、もし、このとき砲弾が淀殿に直撃していたら、歴史はもう少しシンプルな結末になっていたかもしれません。このときの砲弾が淀殿の命を奪わず、目の前にいた侍女の身体を粉砕したことで、歴史はよりドラマチックなストーリーに繋がっていくんですね。歴史って、つくづく偶然の産物だと思わざるを得ません。


 「私には、あの人が死にたがっているように思えてならないのです。心のどこかでこの城が焼け落ちるのを待っているような。私たちの父も母も城と共に命を絶ちました。姉も自分が同じ運命であると半ば信じています。姉を救ってやってください。」


 淀殿の妹・初(常高院)が信繁に語った台詞です。


 「あなたはきっと戻ってくる。そして、私たちは同じ日に死ぬの。」


 かつて若き日の信繁に向かってそう言った淀殿の心中が、少しだけ見えてきたような気がします。今までにない不思議ちゃんキャラの淀殿の最期をどう描くのか。彼女の心の闇をどう始末するのか。あと4話、楽しみですね。



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by sakanoueno-kumo | 2016-11-22 03:31 | 真田丸 | Comments(0)  

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