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幕末京都逍遥 その30 「佐久間象山・大村益次郎遭難之碑」

前稿で紹介した佐久間象山寓居之跡から少し北上した木屋町御池に、「佐久間象山先生遭難之碑・大村益次郎卿遭難之碑」と刻まれた石碑があります。

ここで二人が殺されたのか・・・と思いきや、よく見ると、「北へ約壱丁」とあります。

どうやら、この石碑は道標だったようです。


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道標が示していたとおり、100mほど北上すると、高瀬川に面して二人の遭難之碑がありました。


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左が「大村益次郎卿遭難之碑」、右が「象山先生遭難之碑」です。


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前稿でも紹介しましたが、佐久間象山は、嘉永7年(1854年)、来航したペリー艦隊に乗り込んで密航を企てた門弟の吉田松陰に連座して国元の松代で蟄居生活を送っていましたが、その罪が解かれた元治元年(1864年)3月、一橋慶喜(のちの第十五代将軍・徳川慶喜)に招かれて上洛し、朝廷内に公武合体論開国論を説いてまわっていました。

しかし、当時の京都のまちは、前年の「八月十八日の政変」によって尊攘派は表立った行動ができなくなっていたとはいえ、未だ尊攘派志士たちが数多く潜伏しており、勢力の奪還をはかっていました。

そんななかを、象山は馬上洋装で都大路をさっそうと闊歩していたといいますから、その姿が尊攘派にとって格好のターゲットとなったことは想像に難しくありません。

しかも、共も連れずに移動することもしばしばだったとも。

このあたり、彼の自信過剰な性格を表しているといえるでしょうか。


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必要以上に目立ちすぎた象山は、7月11日午後5時、このあたりの路上で刺客のために非業の最期を遂げました。

享年52.

刺客は、肥後の河上彦斎、隠岐の松浦虎太郎の二人だともいわれていますが、確たる証拠はありません。

象山が殺された現場には、次のような斬奸状が残されていました。


松代藩 佐久間修理
 この者、元来西洋学を唱え、交易開港の説を主張し、枢機の方へ立入り、御国是を謝り候。大罪捨て置き難く候の処、あまつさえ奸賊の会津藩、彦根の二藩に与党し、中川宮と事を謀り、おそれ多くも九重(天皇)御動座、彦根城へ移し奉り候。儀を企て、昨今しきりにその機会窺い候。大逆無道、天地に容るべからざる国賊に付、即ち、今日三条木屋町に於い、て天誅を加え畢りぬ。但し、斬首梟木に懸くべき処、白昼其の儀も能わざる者也。
 元治元年七月二十一日  皇国忠義士


象山の死から5年後の明治2年9月4日(1869年10月8日)、この地の東側にあった旅宿の奥座敷二階において、大村益次郎が刺客の凶刃に襲われ、その傷がもとで、2か月後の11月5日に大阪の病院で歿します。

享年47。


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益次郎は周防国の医者の家に生まれ、蘭学者、蘭方医、兵学者としてその名を高め、維新後は明治政府の兵部大輔となります。

そして旧式の封建軍隊にかわる洋式の近代兵制の創立に努めますが、そのため、不平派士族に襲われたと言われています。

象山先生のくだりで長くなっちゃったので、益次郎襲撃の話は次稿にて。




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by sakanoueno-kumo | 2018-04-08 19:40 | 幕末京都逍遥 | Trackback(1) | Comments(0)  

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