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「生野の変」ゆかりの地を訪ねて。 その6 <美玉三平・中島太郎兵衛終焉の地(美国神社)>

「その5」のつづきです。

「その1」で紹介した生野代官所跡から直線距離で南西に25kmほど離れた宍粟市山崎町木ノ谷で、生野の変の挙兵メンバーの美玉三平中島太郎兵衛が落命しました。

現在、その近くにある美国神社に、ふたりのがあります。


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美玉三平は薩摩藩出身の脱藩浪士、中島太郎兵衛は地元但馬国の豪農でした。

彼らは早くから地元の農兵組織化に奔走しており、平野國臣らと計画段階から密議を交わして生野挙兵を具体化した、いわば生野の変の首謀者メンバーでした。


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美国神社入口の石碑には、「勤皇志士之碑」と刻まれています。


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その横の小さな石碑には「生野義挙志士最期の地」と刻まれ、その両側面には、その説明文が刻まれています。

何度も言いますが、わたしは生野の変を「義挙」だとは思っていません。

「暴挙」です。


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境内です。


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境内の片隅に、ふたりのがあります。


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文久3年10月13日(1863年11月23日)夜の生野破陣後、美玉三平は中島太郎兵衛と弟の黒田興一郎とともに逃走します。

翌14日の午後4時ごろ、ここ播磨国山崎の木之谷に入りますが、そのとき、後方から500人近い農兵は押し寄せ、発砲してきました。

怒った美玉は抜刀して追い払おうとしますが、やがて銃弾が胸を貫き、しばらく息があったものの、その後、絶命します。

中島太郎兵衛と弟の興一郎は神社そばの民家に逃げ込みますが、兄・太郎兵衛の傷は深く、弟の介錯によって自刃します。

太郎兵衛はその死の直前、手持ちの270両を弟に渡し、これを持って逃げろと説得したといいます。

しかし、兄を介錯した興一郎はそのあと自ら縛につき、京都六角獄舎に送られ、慶応2年2月9日(1866年3月25日)に獄中死します。


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墓の建立者のなかには、生野挙兵メンバーの生き残りで維新後には京都府知事貴族院議員を務めた北垣国道の名があります。

北垣国道は中島らと同じ但馬出身ですから、同郷のよしみだったのでしょう。

また、その横には、蘭方医・松本良順の実弟で元幕臣の林董の名もあります。

その理由がよくわかりませんが、林董は一時期、兵庫県知事を務めており、おそらく、その縁で建立者に加わったのではないでしょうか。

だとすれば、おそらく、この墓石は林が県知事を務めていた明治23年(1890年)から翌24年の間に建てられたのでしょう。


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境内には、彼らの顛末を説明した石板があります。

それを読むと、明治21年(1888年)9月に美玉三平が、同24年(1891年)9月に中島太郎兵衛と黒田興一郎兄弟が、それぞれ靖国神社に合祀され、美玉と中島に従四位、黒田に正五位が贈られたとあります。

靖国合祀については色々と言いたいことがありますが、ここではひとまずそれは置いといて、おそらく靖国合祀に合わせてここに墓碑が建てられたのではないでしょうか。


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石板の文末には、黒田興一郎が獄中で兄の中島太郎兵衛と美玉三平を悼んだが刻まれています。


もののふの 名はいつまでも 木の谷の そのかんばしき 楠のもと


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せっかくなので、美国神社にも参拝して帰りましょう。


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社殿です。


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社殿から見下ろすと、ふたりの墓石が見えます。

青のプリウスαはわたしの愛車です(笑)。


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さっきの石板の説明によると、ここの元の名称は「山神社」でしたが、美玉、中島、黒田の3人の霊を併せ祀り、通称を「美国神社」としたのも、国に殉じた美徳を称えるためとあります。

美談にしちゃいけないんですけどね。

彼らのやったことは、単なるテロリズムですから。

「その7」につづきます。




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by sakanoueno-kumo | 2019-11-29 21:39 | 兵庫の史跡・観光 | Trackback | Comments(0)  

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