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麒麟がくる 第28話「新しき幕府」その2 ~本圀寺の変と二条城築城~

 「その1」のつづきです。

麒麟がくる 第28話「新しき幕府」その2 ~本圀寺の変と二条城築城~_e0158128_21004698.jpg足利義昭の将軍就任を見届けた織田信長は、永禄11年10月26日(1568年11月15日)、一部の兵を残して岐阜に帰国しました。なぜこのタイミングで帰国したのかは定かではありませが、ただ、この帰国が重大な事態を招きます。阿波に逼塞していたはずの三好一党が、信長の帰国を知って京都奪還の絶好のチャンスとらえ、翌永禄12年正月4日(1569年1月20日)、義昭の仮御所にしていた六条本圀寺襲撃しました。本圀寺には、義昭の親衛隊のほかに尾張、美濃の武士たちが詰めていましたが、彼らは少ない兵ながら必死で防戦にあたりました。そして、その翌日、苦戦する義昭のもとに摂津の池田伊丹、河内の三好義継、山城の細川藤孝らが援軍として駆け付け、何とか窮地を脱します。このときの将軍警護の兵の一人に、「明智」という人物がいたとされ、これが明智十兵衛、すなわち明智光秀だったといわれています。『明智軍記』のような信憑性の低い軍記物ではなく、一級史料に初めて光秀の名が登場したのは、このときでした。


 京都での凶報に接した信長は、すぐさま岐阜を発ち、5日後の正月10日に京都に入りました。『信長公記』によると、信長は一騎駈けで飛び出し、大雪の中を岐阜から猛スピードで駆け付けたといいます。信長にとってこの「本圀寺の変」は、痛恨のミスだったといえます。もし、このとき義昭が三好勢に討たれていたら、信長の面目は丸つぶれとなり、このあとの歴史の展開も大きく狂っていたに違いありません。義昭の無事を知った信長は、さぞ、胸をなでおろしたことでしょう。


 京都に入った信長は、今回の戦いで手柄を立てた武将に褒美を与えたものの、畿内の者たちへの不信感はぬぐい切れなかったでしょう。そこで信長は、その対策として2つのことに着手します。そのひとつは、義昭とともに「殿中掟」と制定したことでした。この「殿中掟」は、義昭と信長の施政方針を将軍近臣や畿内の領主たちに示すもので、義昭・信長の連携を内外に公表するものでした。


そしてもうひとつは、堅固な将軍御所の建設でした。この度の「本圀寺の変」によって本圀寺の仮御所では防備上問題があることを思い知らされた信長は、新しい将軍邸としての二条城築城に取り掛かります。信長にとっては、将軍のために堅牢な御所を造って供することで、義昭を守護しやすくなるとともに、世間に義昭との固い信頼関係をアピールするといった政治的意図もあったのでしょう。『信長公記』には、2月27日に着工したとありますが、『言継卿記』によると、1月27日にはもう工事が始まっていたようです。いずれにしても、超突貫工事で築城は進められ、義昭が本圀寺より二条城に移ったのは、4月14日のことでした。ルイス・フロイスはその著書『日本史』のなかで、「少なくとも2、3年はかかると思われる城を、信長はわずか70日間で完成させた」驚嘆して記しています。


麒麟がくる 第28話「新しき幕府」その2 ~本圀寺の変と二条城築城~_e0158128_19245426.jpg ドラマ中、石垣用に石仏が使われている様子を見て、光秀が複雑な表情で見つめていましたが、あれは、比叡山焼き討ち伏線でしょうか? であれば、ちょっとガッカリですね。光秀は比叡山焼き討ちに反対であり、神仏を軽視する信長に不信感を抱くようになり、それがやがて本能寺の変につながる、という設定は、昔はよく使われた話ですが、今ではほとんど否定されています。光秀は比叡山焼き討ちを積極的に指揮していたようですし、何より、比叡山焼き討ちから本能寺の変まで実に11年もの歳月があります。その間、光秀が築いた福知山城の石垣にも石仏が使用されていますし、当時は、石仏地蔵、墓石などが石垣に転用されるというのは、よくあることでした。旧二条城でいえば、昭和49年(1974年)6月から始まった地下鉄烏丸線建設にともなう遺跡調査のとき、地下から旧二条城の石垣が姿を現し、普通の石に混ざって石仏石塔類が数多く見つかっています。今回の話は、この発掘調査の事実に基づいて作った話でしょう。石仏の転用を見て不信感を抱くようであれば、この当時の築城主は皆、悪人です。


 それにしても、今回は信長の摂津攻めから義昭の将軍就任、そして本圀寺の変から二条城築城まで、めっちゃ詰め込みましたね。本来なら2話に分かれてもいい内容だったでしょう。やはり、予想していたとおり、前半のスローペースのツケが、ここにきてシワ寄せとなってきたようです。全44話とのことなので、すでに3分の2を消化しましたが、光秀はまだ信長の家臣にもなっていません。ここからが本当の光秀が活躍した歴史の始まりなんですが、はてさて、どうなることやら、心配です。



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by sakanoueno-kumo | 2020-10-20 23:51 | 麒麟がくる | Trackback | Comments(4)

 

Commented by waku59 at 2020-10-21 13:18
「敵は本能寺にあり」という場面で終わり、後は語りとか。

しょうもない妄想で申し訳ありません(笑)
Commented by sakanoueno-kumo at 2020-10-22 00:47
> waku59さん

2時間ドラマのエンディングとかだったら、それもありでしょうけどね。
大河ドラマですからね。
ちゃんと光秀の最期まで描いてほしいですね。
Commented by kumikokumyon at 2020-10-22 12:05
放送は来年2月初めまで、予定どうり44回で終了と決まった様でほっと一安心です。
はい、今回めっちゃ詰め込まれていましたね。前も述べましたが駒ちゃんや東庵先生をどうして盛り込むのでしょう?きっとNHKにも苦情殺到してますよね(笑)
Commented by sakanoueno-kumo at 2020-10-22 16:45
> kumikokumyonさん

駒ちゃんと東庵先生は不評ですね。
別に麦ちゃんが悪いわけではないのに、少し気の毒な気もします。
マチャアキは気の毒だと思いませんが(笑)。

批判の声を見ていると、架空の人物だからダメだといった意見を多く見かけますが、わたしは、架空の人物自体が悪いとは思わないんですね。
過去の名作といわれる作品でも、架空の人物は何人か出てきますし、司馬さんや池波さんらの原作小説でも、架空の人物は出てきます。
ただ、それらのほとんどは、忍者だったり盗人だったり与力だったりで、主人公にうまく情報を流して物語をスムーズに進めるための狂言回し的な役割を担っていて、決して邪魔にはならないんですね。
あと、色恋話の相手の女性も架空の人物だったりしますが、まあ、あれも仕方がないでしょうね。
史料に基づく史実だけを描いていたら、男ばっかのドラマになっちゃいますからね。
ただ、今回は駒ちゃんといい東庵先生といい、そして伊呂波太夫といい、明らかに本筋に関係ない登場人物で、彼女らが出てくると、まったく別の物語になっちゃいますからね。
はっきり言って、邪魔です。
伊呂波太夫なんて、旅芸人の分際で関白に上から物言いしますからね(笑)。
ありえねー(笑)。
無理やり女性の登場人物を作って物語に絡めただけのキャラですね。
あっ、尾野真千子は美人なので悪くありません。
悪いのは全部マチャアキです(笑)。

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