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麒麟がくる 第36話「訣別」 その1 ~十七ヶ条の異見書~

麒麟がくる 第36話「訣別」 その1 ~十七ヶ条の異見書~_e0158128_21004698.jpg 今回のサブタイトルは「訣別」。いうまでもなく、室町幕府15代将軍・足利義昭織田信長の訣別ですね。永禄11年(1568年)9月に上洛して以来、何とか表面上は協調姿勢を保っていた2人でしたが、とうとうその対立が修復不可能な状態になります。信長に不満を抱いていた義昭は、越後の上杉輝虎(謙信)や甲斐の武田信玄、近江の六角義賢らにしきりに御内書を下し、信長に対抗しうる勢力を整えようと画策していました。この義昭の背信行為を知りながら目をつぶってきた信長でしたが、ついに堪忍袋の緒が切れ、元亀3年(1572年)9月、義昭に対して「十七ヶ条の異見書」と呼ばれる意見書を突き付けます。その内容は、義昭を痛烈に批判するものでした。


 意見書はかなりの長文なので、主なものを簡単にまとめると、


「朝廷の世話がおろそかにしないように言っているのに、出来ていない。」

「諸国の大名に書状をしきりに送って、馬などをねだっているのはみっともない。」

「よく働いている者に似合った恩賞を与えず、新参者でさほどの働きのない者に過分に恩賞を与えている。そのようなことでは忠不忠の別も無くなってしまう。」

「信長と親しい者をいじめていると聞くが、それはどういう了見だ!」


 などなど、義昭がどれほど将軍としてふさわしくないか、どれほど愚かな行為を繰り返しているかといった例をいちいち書き連ね、ほとんど人格否定といっていいような非難が続きます。そして、最後の第17条は、次のような痛烈な言葉で結ばれています。


 「諸事に付きて、御欲ふけられ候儀、理非にも立ち入らざるの由、其聞へ候。然らば不思儀の土民、百姓にいたる迄もあしき御所と申しなし候由に候」

 (あなたは万事欲が深く、道理も世間の批評も耳に入らないという評判だ。そのため、物を考える力のない無知の土民、百姓までもが、悪い将軍だといっている。)


 麒麟がくる 第36話「訣別」 その1 ~十七ヶ条の異見書~_e0158128_17561347.jpgこの「十七ヶ条の異見書」『信長公記』に載せられているだけではなく、奈良の尋憲大僧正の日記である『尋憲記』にも、そのまま載せられているそうです。また、『当代記』によると、この意見書が武田信玄の目に触れて、信玄が信長のことを「ただ者ではない」とうめいた、という話も伝わっています。当事者である義昭が、この意見書を読んでどのような反応を見せたかは伝わっていませんが、ここまでボロカスに非難されて穏やかでいたはずがないでしょうね。おそらく、「信長、ぶっ殺す!」とか言ってブチ切れたんじゃないでしょうか。この意見書が、信長と義昭の決裂を決定づけたといって間違いないでしょう。完全にケンカ売ってるもんね。


 これ以降、義昭はさらに御内書を各地に乱発し、反信長包囲網を築いていきます。そして、その御内書に応えて動き出したのが、甲斐の武田信玄でした。

 本日はここまで、つづきは明日の「その2」にて。



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by sakanoueno-kumo | 2020-12-14 17:52 | 麒麟がくる | Trackback | Comments(2)  

Commented by usatyu4 at 2020-12-15 08:26
はじめまして。 興味のあるお話を色々読ませて
もらいました。又寄らせていただきます。
Commented by sakanoueno-kumo at 2020-12-15 23:57
> usatyu4さん

ありがとうございます。
よろしくお願いいたします。

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