リレー侍バトン届かず無念の途中棄権と、歴史に名を刻んだ田中希実選手。
陸上男子400mリレー、バトン、繋がりませんでしたね。
いやぁ、何なんでしょう? この得も言えぬ喪失感は・・・。
「悔しい」とか、「残念」とか、そんなありきたりの言葉では言い表せない、筆舌に尽くしがたい心境ですね。
5年前のリオデジャネイロオリンピックの栄光から一転、日本陸上短距離はどん底の結果となっちゃいました。
レース後、キャスターもコメンテーターも、そして当の本人たちも、「攻めた結果だから仕方がない」と言っていましたね。
たぶん、そうなんだろうと思います。
でも、それで「よく頑張った!」で終わっていいんでしょうか?
少し優しすぎやしないでしょうか?
北京オリンピックでの銀メダルは、アメリカが予選でバトンミスを犯すという幸運もあってのメダルでしたが、リオではまぎれもなく実力でもぎ取った銀メダルでした。
その要因が、日本の高速バトンの高い技術にあったということは、世界中の知るところです。
その後、この5年の間に、桐生祥秀選手、サニブラウン・アブデル・ハキーム選手、小池祐貴選手、そして山縣亮太選手の4人が100m9秒台をマークし、確実に日本短距離走のレベルは上がっていると誰もが思っていましたよね。
ところが、向かえた今回の東京オリンピックでは、個人種目の100m走、200m走ともに出場選手全員が初戦敗退という93年ぶりの屈辱を味わい、頼みの綱の男子400mリレーは、予選9位でギリギリの決勝進出でしたよね。
その結果の攻めのバトン。
逆に言えば、バトン以外に勝算を見出すことが出来なかった結果と言えるでしょう。
バトンミスについて、レース後のインタビューで第1走の多田修平選手が「原因はわからない」と言っていましたが、原因は技術的なことだけじゃなく、ここに至るまでの個人戦からの悪い流れにもあったように思います。
日本が誇る高速バトンの技術ですが、世界も当然、日本を見習ってバトンに力を入れてきています。
となると、日本はさらにその上をいくバトン技術を極めようとする。
それはいいことだと思いますが、それで失敗率が高くなっては本末転倒です。
かつて陸上競技の短距離走では、100分の1秒の争いでフライングギリギリの一か八かのスタートダッシュを試みる選手が増え、そのせいでフライングが増え、競技の遅延につながったため、フライング一発失格というルール改正になりました。
バトン技術も、一か八かの賭けのような技術ではだめで、成功率を落とさずに精度の高い技術向上が必要でしょう。
「攻めのバトンの結果だから仕方がない、よく頑張った!」は、わたしたち素人の陸上ファンが言うことであって、たとえば朝原宣治さんのような専門家は、もう少し厳しいコメントがあっても良かったんじゃないでしょうか?
レース後のインタビューで、桐生選手が「実際、世界でリレーでも個人でも離されているというのは結果的にも記録的にも出ている。それを深く受け止めたい」と語っていましたが、この桐生選手の言葉が、すべてを言い得ていると思います。
日本陸上短距離界は、今回の結果を重く受け止め、猛省し、来年の世界陸上、そして3年後のパリオリンピックに向けて、まさにバトンを繋いでほしいですね。
不振の短距離陣を横目に、今回、中・長距離陣の頑張りは目を見張るものがありましたね。
先日の男子3000m障害で7位に入賞した三浦龍司選手にも感動しましたが、昨日の女子1500mの田中希実選手の8位入賞は鳥肌ものでした。
わたしは学生時代陸上部でしたが、少し陸上競技をかじったことのある人なら、これがどれほどすごいことかはわかると思います。
田中選手は予選で自身の持つ日本記録を3秒近く更新する4分02秒33で準決勝進出を決め、準決勝では予選でマークした日本記録を更に3.14秒も更新し、3分59秒19という日本女子初の3分台に突入して決勝進出を決めました。
予選と準決勝で日本記録を6秒以上も縮めるという離れ業を成し遂げた田中選手ですが、実はオリンピック前に持っていた自身の日本記録も、昨年の6月に14年間破られていなかった記録を2秒以上更新した記録でした。
つまり、この1年で日本記録を彼女が8秒も縮めたわけです。
すごい!の一言に尽きます。
で、決勝。
序盤から積極的に先頭集団に食らいつき、最後まで世界のトップランナーと真っ向勝負を繰り広げ、堂々8位に入賞しました。
いやぁ、みごとでしたね。
オリンピック女子中距離種目での決勝進出は、1928年アムステルダムオリンピックの800mでの人見絹枝さん以来93年ぶりで、史上2人目。
1500mでの決勝進出は、男女通じての日本人初の快挙だそうです。
人見絹枝さん、大河ドラマ『いだてん』に出ていましたよね。
そんな歴史上の伝説の偉人の名前まで出してしまった田中希実選手。
まさに歴史に名を残しましたね。
陸上競技だけでめっちゃ長くなっちゃったので他は駆け足になっちゃいますが、昨日はいろいろ盛りだくさんの日でした。
空手・男子形では喜友名諒選手がみごと金メダルを獲得しましたね。
わたしは空手はあまり観たことがなく、その採点とかはよくわからなかったのですが、前日に銀メダリストとなった女子の清水希容選手といい、男子の喜友名諒選手といい、実に眼光鋭い精悍な顔をしていますね。
あの眼で睨まれたら、金縛りにあいそうです(笑)。
卓球男子団体も、女子の銀メダルに続いて銅メダルを獲得しましたね。
2大会連続のメダル獲得、これをレジェンド水谷隼選手で決めたのが感動的でした。
メダル決定の瞬間、エースの張本智和選手が水谷選手に抱き着いた瞬間が印象的でしたね。
競技中はふてぶてしいぐらいに威圧的なプレーをする張本選手ですが、水谷選手に抱き着いた彼は、まだ少年っぽい18歳の張本くんでした。
なんか、かわいかったですね。
レスリング女子53kg級の向田真優選手も、金メダルおめでとうございます。
この階級は、あの吉田沙保里選手が4大会連続でメダルを獲得し続けた階級。
今回も向田選手がつなぎました。
あと、サッカー男子は残念でしたね。
逆に、女子バスケットボールが史上初の決勝進出。
銀メダル以上を確定させました。
決勝が楽しみですね。
オリンピックも残すところあと2日。
終わってほしくないなぁ。
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by sakanoueno-kumo | 2021-08-07 11:59 | 他スポーツ | Trackback | Comments(0)