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2013年 08月 21日 ( 1 )

 

八重の桜 第33話「尚之助との再会」 〜征韓論争と明治六年政変〜

 時代は一気に征韓論争まで進みましたね。この「征韓論」を詳細に解説するとめちゃめちゃ長文になっちゃいますし、いろんな解釈があるのでたいへん難しいのですが、ここではできるだけ簡単にまとめます。

「征韓論」とは、読んで字のごとく、お隣の朝鮮に出兵して征服する、あるいは、武力を後ろ盾に政治体制の変革を迫るという主張です。このときより遡ること約20年前、日本も米国ペリー艦隊の来航によって開国を迫られ、それをきっかけに幕末の動乱がはじまり、長く続いた封建国家体制が崩れ、近代国家を目指すべく明治政府が樹立されましたが、今度は、そのペリー艦隊の役目を日本が行おうというもので、このときまだ鎖国攘夷の策をとっていた朝鮮にとっては、ありがた迷惑な話だったわけです。朝鮮側は日本の新政府の要請を頑なに拒絶し、そんななか、明治6年(1873年)ごろから急速に日本国内で征韓論が沸騰し始めます。

 その頃、岩倉具視大久保利通木戸孝允ら政府首脳陣は欧米諸国を外遊中(岩倉使節団)、その留守政府を預かっていたのは西郷隆盛板垣退助江藤新平後藤象二郎副島種臣らでした。西郷以外は土佐藩肥前藩の出身者で占められており、明治初期の政府としては、唯一、薩長閥政府ではなかった時期でした。その留守政府が征韓論を推し進めます。

 まずは板垣が閣議において、居留民保護を理由に朝鮮への派兵を主張。しかし、留守政府の実質首相的立場だった西郷は派兵に反対し、自らを大使として朝鮮に派遣するよう求めます。この意見に後藤、江藤らも賛成し、いったんは閣議において使節として西郷を派遣することを決定しますが、ときを同じくして順次帰国の途についた岩倉具視や大久保利通ら外遊組は、時期尚早だとしてこれに猛反対。留守番組と外遊組の対立の板挟みとなった太政大臣・三条実美は病に倒れてしまい、最終的には、太政大臣代理となった岩倉の工作により(大久保の書いたシナリオとも)、明治天皇のご裁断で遣韓は中止されます。閣議でいったん決定しながら土壇場で覆されるという異常事態に、西郷をはじめ板垣や江藤ら征韓論派は一斉に参議を辞職してしまいます。

 この征韓論争に始まった政変を明治六年政変(征韓論政変)といい、やがてこれが、明治7年(1874年)の佐賀の乱から明治10年(1877年)の西南戦争に至る内乱につながっていくわけです。

 なぜ、この時期に「征韓論」が沸騰したのか、また、彼らの主張した「征韓論」の真の目的は何だったのか、あるいは、「征韓論」が政変の真の火種だったのか、などなど、この政変については専門家の間でも様々な解釈があり、いわゆる史実・通説というものがありません。ドラマで西郷が朝鮮出兵の理由について、「不平士族(行き場を失った元武士たち)の目を国内から外に向けるため」といった意味の説明をしていましたが、それとて、後世の歴史家が説いたひとつの説であって、西郷自身がそのような記述を残しているわけではありません。後世に征韓論の首謀者的扱いとなっている西郷ですが、一説によれば、西郷はあくまで平和的な交渉を目的とする遣韓論者だったという人もいますし、いやいや、西郷の目的は武力を用いて朝鮮を植民地化しようというものだった、という歴史家もいます。結局のところ、いまもって真意はわからないんですね。

 ただ、外遊組と留守番組の間に、激しい温度差があったということは間違いなさそうです。近代文明国家を目の当たりにしてきた大久保たちと、ずっと国内にいた西郷たちとでは、見えているものが違ったんでしょうね。結果的に政局は外遊組に軍配が上がり、西郷や江藤らは政界を去ってしまうわけですが、それが、後世の日本にとって良かったのか悪かったのか、今となっては確認のしようがありません。

 さて、本話のタイトルは「尚之助との再会」でしたが、八重川崎尚之助が離縁後に再会したという記録は残っていません。そもそも八重は尚之助との結婚、離婚についてほとんど何も語っていないそうですから、実際のところは何もわかってないんですね。ただ、斗南藩の罪を被って訴訟を起こされた尚之助が東京で暮らしていたというのは事実のようです。時代が時代ですから、たぶん、八重と会うことはなかったでしょうね。のちに尚之助は、裁判の判決を受けることなく明治8年(1875年)に病死します。ドラマには、たぶんもう出てこないでしょうね。八重の女紅場での活躍を尚之助が知っていたかどうかは、知る由もありません。


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by sakanoueno-kumo | 2013-08-21 18:57 | 八重の桜 | Trackback(1) | Comments(0)