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2014年 02月 25日 ( 1 )

 

軍師官兵衛 第8話「秀吉という男」 ~信長との面会、秀吉との出会い~

 御着評定で、毛利氏でなく織田氏の傘下に入る方針を決めた小寺家は、早速、織田信長に面会すべく、その言い出しっぺである黒田官兵衛小寺政職の使者として岐阜へ派遣します。織田家につくと決まったからには、一刻も早くその旨を信長に伝え、態度を明確にする必要があると考えたからでしょう。この手際の良さは、政職始動の行動ではなく、きっと官兵衛の機転のなすところだったでしょうね。

 ドラマでは、いきなり信長に謁見していた官兵衛ですが、実際には、既にこのとき大納言となっていた信長に、播磨の小豪族の一家老に過ぎない官兵衛が単身で面会できたとは考えづらく、まずは、織田家中の有力な家臣に面会し、口添えを依頼したと考えるべきでしょう。その取り次ぎをしたのが、このとき長浜城主となっていた羽柴秀吉だったといわれます。長浜といえば、黒田家源流の地といわれるところで、あるいは、そんな縁から秀吉に近づいたのかもしれません。このとき、口添えを依頼したのが秀吉でなく、柴田勝家丹羽長秀などの古参だったら、あるいは、信長との面会は叶わなかったかもしれません。英雄というのは、人生のターニングポイントで、実にベストチョイスをするんですよね。

 秀吉の取り次ぎを得て信長に謁見した官兵衛は、中国地方の平定にあたって、播磨こそがその要になると進言します。中国地方への導線となる播磨をまず攻略することが肝要である・・・と。そのためにも、まずは自身が城代を務める姫路城に、織田家の重臣をひとり派遣してほしい・・・と。さすれば、いまなお毛利につくか織田につくか迷っている播磨の諸派も、一気に織田方に引き寄せることができる・・・と。

 もとより中国地方制圧の策を練っていた信長にしてみれば、官兵衛の話は渡りに船だったでしょう。官兵衛の才覚を大いに気に入った信長は、その場で愛刀「圧切(へしきり)」を与えるとともに、秀吉を播磨に遣わせることを約束し、官兵衛にその支援を命じます。これが、官兵衛の人生を大きく変える運命の出会いとなるんですね。この後、官兵衛は秀吉の右腕として、織田家の中国攻めの重要な任を担っていくこととなります。

 この信長との面会のエピソードについては、すべて筑前福岡藩黒田家の公式史料『黒田家譜』に記されているものです。一方で、信長側から見た一級史料『信長公記』の記述によれば、「十月廿日 播州の赤松・小寺・別所、其の他国衆参洛候て御礼これあり」とあり、官兵衛の名は出てこないばかりか、播磨の領主揃い踏みで面会したという記述になっています。こちらの記述を信じれば、官兵衛が単身織田家に乗り込んだわけではなさそうですね。『黒田家譜』のエピソードとは、ずいぶん違います。どちらが正しいと断言できる根拠はありませんし、あるいは、『信長公記』に記されていないだけで、それ以前に官兵衛だけ先行して面会していたのかもしれませんが、『黒田家譜』は官兵衛の死後70年ほど経ってから編まれたもので、しかも、黒田家の藩命で編纂されたものですから、多少割り引いて考える必要はあるでしょうね。

 このとき信長から賜った名刀「圧切」についての逸話を少し。ある日、茶坊主の観内という者が信長に無礼な振る舞いをし、それに怒った信長は観内を手討ちにしようとしますが、恐れた観内は台所へ逃げ込み、膳棚の下へ隠れたそうです。狭い台所で刀を振り上げることが難しかったため、刀を棚にあてて指で押さえこむと、ほとんど手に感触がないまま、膳棚もろとも観内を真二つに圧切ることが出来たそうです。相当な切れ味ですね。そこで、その刀は「圧切」と名付けられ、信長の愛刀として所有されていました。官兵衛がもらい受けた刀は、そんなエピソードを持つ刀だったわけです。それほどの名刀を与えるとは、よほど信長は官兵衛を気に入ったということでしょうね。

 ただ、このエピソードも(中国計略の献策を進言した恩賞として圧切を賜ったという)、実は『黒田家譜』にしか載っておらず、『信長公記』には記されていない話だそうです。また、別の説では、圧切は信長から秀吉に贈られ、のちに秀吉が官兵衛の嫡男である黒田長政に与えたという説もあります。どちらが正しいのかはわかりませんが、いずれにせよ、面会の説と違って物的証拠が黒田家に代々存在していたわけですから、何らかのかたちで信長の愛刀が黒田家に伝わったのは間違いありません。いや、もしかしたら、伝わってる刀は、実は圧切じゃないのでは?・・・なんていったら、無粋でしょうかね?


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by sakanoueno-kumo | 2014-02-25 19:15 | 軍師官兵衛 | Trackback(1) | Comments(3)