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2019年 10月 29日 ( 1 )

 

いだてん~東京オリムピック噺~ 第40話「バック・トゥー・ザ・フューチャー」 ~フジヤマのトビウオ・古橋廣之進~

 昭和19年(1944年)に開催されるはずだった第13回ロンドンオリンピックは、第二次世界大戦の真っただ中で中止となり、それが、第14回大会として昭和23年(1948年)に開催されることが決定していました。昭和11年(1936年)のベルリンオリンピック以来、12年ぶりのオリンピックです。


e0158128_17574863.jpg 戦後、田畑政治日本水泳連盟会長に就任し、また、日本体育協会常任理事にも就いていました。田畑の目指すところはひとえにオリンピックへの復帰。敗戦国となった日本も、何とかロンドンオリンピックに参加すべく模索しますが、戦時中に日本の各競技団体は国際競技連盟から除名されており、この除名処分の撤回を求めようにも、GHQの統治下にあった日本では、外国と交渉するにもすべてGHQを通さねばならず、事は思うように運びません。ならば、と、田畑は国際水泳連盟の除名が解けないままIOCに直接アプローチを仕掛け、IOCから招待状をもらえるよう働き掛けますが、IOC委員には日本に同情的な意見が多かったものの、日本の招待を強く拒絶したのが、ロンドンオリンピックの開催国であるイギリスだったそうです。IOCも開催国の国民感情を無視することは出来ず、結局、日本のロンドンオリンピック参加は実現しませんでした。やはり、嘉納治五郎が死に際まで訴えた「政治とスポーツは別」という理想は、ここでも受け入れられなかったんですね。


e0158128_14363507.jpg ならば、オリンピックに出られなかった日本代表選手の実力を見せつけてやろうと、田畑はロンドンの日程に合わせて日本選手権の決勝を開催します。戦前、世界最強とうたわれた日本競泳陣の実力は世界の知るところであり、否応なしに世界の注目を浴びる。ここでもし本場オリンピックの選手に勝てば、オリンピック金メダルの価値が下がり、国際水泳連盟も日本を無視できなくなる。なかなかの策士ぶりですね。ほとんど宣戦布告といっていいでしょう。そして、その田畑の狙いは見事にハマり、ロンドンオリンピックの400m自由形の金メダリストとなったアメリカウィリアム・スミスの優勝タイムが4分41秒0だったのに対し、日本選手権の同種目で優勝した古橋廣之進選手のタイムは、オリンピックのタイムより6秒以上も速い4分33秒4世界記録を更新します。また、古橋は1500m自由形でも、19分18秒5のオリンピック優勝タイムを遥かに上回る18分37秒0世界記録で優勝し、古橋と同じ日本大学の橋爪四郎選手も、18分37秒8の記録を叩き出しました。オリンピックに出ていれば、日の丸が金銀を独占したことになります。この結果は、ロイター通信によってロンドンにも即時に伝えられたとか。現地はドッチラケだったでしょうね。


 古橋廣之進選手はその後も世界記録を連発しましたが、これらの記録は日本が国際水泳連盟から除名されていたため公式な世界記録としては公認されませんでした。しかし、敗戦直後で日本人の多くが苦しんでいる時期に「世界記録」を連発する古橋は、国民的ヒーローだったそうで、翌年に招待された全米選手権でも3種目で世界記録を更新する活躍を見せ、アメリカの新聞では「フジヤマのトビウオ」(The Flying Fish of Fujiyamaと称賛されたそうです。今回、その戦後のヒーロー・古橋廣之進を、平成のヒーロー・北島康介さんが演じておられましたね。驚きました。北島さんのクロール、初めて見ましたね。「チョー、気持ちいい」とは言いませんでしたが(笑)。


 田畑のはたらきや古橋、橋爪らの活躍もあってか、昭和24年(1949年)4月にローマで行われたIOC総会への出席が許され、同年6月には国際水泳連盟への復帰が許されました。その後、他の競技団体も次々に国際連盟への復帰が認められます。昭和26年(1951年)9月のサンフランシスコ講和条約で第二次世界大戦が正式に終結すると、日本は沖縄や一部の離島を除いてGHQの占領は終わり、日本の独立が回復します。そして、その翌年に開催された第15回ヘルシンキオリンピックに、日本は念願の復帰を果たしました。残念ながら古橋は、アスリートとしてのピークを過ぎていたことと、前年の南米遠征中に感染したアメーバ赤痢の後遺症が癒えず、思うような結果が残せませんでした。


 その後、昭和31年(1956年)の第16回メルボルンオリンピックを経て、物語は昭和34年(1959年)の東京オリンピック招致スピーチまで進みましたね。次週からは、昭和39年(1964年)の東京オリンピックまでの道のりが描かれる最終章に突入します。



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by sakanoueno-kumo | 2019-10-29 14:38 | いだてん~東京オリムピック噺~ | Trackback | Comments(0)