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バレンティン選手のシーズン最多本塁打記録更新に見る、“聖域”の呪縛から解き放たれた日本プロ野球。

東京ヤクルトスワローズウラジミール・バレンティン選手が、日本プロ野球のシーズン最多本塁打記録をとうとう塗り替えましたね。
昭和39年(1964年)に読売ジャイアンツ王貞治選手が55本をマークして以来、実に49年ぶりのことです。
この日バレンティン選手は、56号、57号と2本の本塁打を放ち、韓国プロ野球サムスンの李承ヨプ選手が持つアジア最多本塁打記録も塗り替えました。
今シーズン、スワローズはまだ残り18試合あり、どこまで記録を伸ばせるか注目ですね。

とにもかくにも、このたびバレンティン選手によって歴史が塗り替えられたことで、ようやく日本プロ野球も悪しき呪縛から解き放たれるのではないかと期待しています。
悪しき呪縛とは、日本人選手の残した記録を外国人選手に塗り替えられたくないという、つまらない島国根性のことですね。
私も同じ日本人として、その思い自体は理解できなくもないですが、問題なのはその思いがプレーに結びついてしまうことです。
かつて3人の外国人選手が、この記録を塗り替えそうな勢いで本塁打を量産したことがありましたが、いずれも55本の“聖域”に迫るにつれ、球界全体に「それ以上打つな」という妙な空気が漂い始め、いよいよ記録更新となると、相手投手が勝負を避け、記録更新を阻みました。

最初に“聖域”を脅かしたのが、昭和60年(1985年)の阪神タイガースの助っ人ランディー・バース選手でした。
バース選手はシーズン残り3試合の時点で54本、プロ野球記録にあと1本まで迫っていましたが、最後の2試合は記録保持者の王貞治監督率いるジャイアンツ戦で、結果は2試合で6四球
バース選手いわく、最初の打席でジャイアンツの捕手(たぶん山倉和博捕手)に「ごめん」と言われ、事態を悟ったといいます。
おそらく王監督の指示ではなかったと思いますが、球界全体に漂った空気がそうさせたのでしょうね。

次に“聖域”に迫ったのが、平成11年(2001年)当時近鉄バファローズにいたタフィ・ローズ選手。
残り5試合で王選手の55本に並んだローズ選手でしたが、その後の福岡ダイエーホークス戦で怒涛の四球攻めにあい、結果、記録更新はなりませんでした。
このときも対戦相手のダイエーの指揮官は王監督でしたが、王さん自身は試合前にローズに対して本塁打新記録達成を望む声を掛けていたそうです。
ところが、当時ホークスのバッテリーコーチだった若菜嘉晴氏が敬遠を指示していたことがのちに発覚。
若菜氏は報道陣に対しても、「王・長嶋は野球の象徴。いずれ彼(ローズ)はアメリカに帰るんだから、オレたちが配慮して、監督(王貞治)の記録を守らないといけない。うちが打たれるわけにはいかない」と発言していたそうです。
この件はアメリカのマスコミで大きく取り上げられ、結果、当時のコミッショナーまでもがフェアプレーを訴える声明を発表するという騒ぎとなりました。

その翌年には西武ライオンズアレックス・カブレラ選手が同じく55本に並びましたが、バースやローズのときほど露骨ではなかったものの、やはり四球攻めにあって記録更新には及びませんでした。
バースやローズのときは、たまたま対戦相手が王監督指揮のチームでしたが、たとえそうでなかったとしても、外国人に記録を塗り替えられたくないという空気は同じだったと思います。
その思いが闘志となって表れるのならいいのですが、ブザマに逃げて記録を守るようでは、かえって王選手の記録の価値を下げているように思えてなりませんでした。
そもそも球団が助っ人外国人打者を雇うのは、本塁打を量産して欲しいがためなわけで、でも、その外国人打者が期待以上の働きをして“聖域”に迫ると、途端に「打ってほしくない」というのはなんとも滑稽な話です。
外国人打者からすれば、梯子を外された気分だったでしょうね。

今年、バレンティン選手が本塁打量産体制に入ったとき、また性懲りもなく同じ愚行が繰り返されるのか・・・という懸念もありましたが、今回はたぶん大丈夫だろうと思っていました。
というのも、過去3人の外国人選手と比べても、今年のバレンティン選手の本塁打のペースは驚異的で、55本に並んだ時点で残り22試合。
いくらなんでも全打席敬遠なんてあり得ないですからね。
時間の問題だと思っていました。
このペースだと、65本くらい打つんじゃないでしょうか。

せっかく新記録が出たと思ったら、今度は「飛ぶボール」がどうとか「神宮球場の狭さ」がどうとか、記録にケチをつける論調の記事をいくつか見かけました。
あと、王選手が記録を作った1964年と今とでは、投手の平均防御率被本塁打率もまったく違い、そのあたりを計算したなんとか指数ってやつで比較すると、王選手のほうが遥かに上だそうです(なんでも、王さんの55本をいまのプロ野球に当てはめると、70本以上の価値があるとか)。
くっだらないですね。
そこまで言うなら、そもそも球場の広さも相手投手のレベルも気候も、何もかもが違う条件のなかで数を競うこと自体ナンセンスなことです。
もし、王さんの記録をジャイアンツ時代の松井秀喜選手が塗り替えていたら、だれもケチはつけなかったと思いますよ。
時代が違うからこそ、新しい歴史を作ったバレンティン選手に素直に拍手を贈るべきなんじゃないでしょうか。

平成22年(2010年)には、イチロー選手が持っていたシーズン最多安打記録を、阪神タイガースのマット・マートン選手が塗り替えましたが、だからといってイチロー選手の価値が下がることはまったくありません。
このたび王貞治氏の記録が半世紀ぶりに塗り替えられましたが、王さんの残した功績が曇ることはないでしょう。
むしろ、くだらない“聖域”の呪縛から解き放たれたことで、今度はバレンティンの記録を日本人選手に破って欲しいという楽しみができますし、その結果、日本プロ野球全体のレベルアップに繋がるという相乗効果が得られるかもしれません。
私が生きてる間にこの記録を塗り替える選手が現れるか・・・楽しみにしたいと思います。


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by sakanoueno-kumo | 2013-09-16 16:48 | プロ野球 | Comments(6)