人気ブログランキング |

タグ:中野竹子 ( 1 ) タグの人気記事

 

八重の桜 第27話「包囲網を突破せよ」 ~女たちの武勇伝~

 籠城戦の足手まといにならぬよう自刃する婦女子が大勢いたなか、鶴ヶ城に入城して籠城戦を男たちと共に戦う道を選んだ婦女子もたくさんいました。八重をはじめ山本家の女性たちも、籠城の道を選びます。城内での女性たちの主な役目は、兵たちの食事の世話や負傷者の看護でしたが、八重の場合は、鳥羽・伏見の戦いで戦死した弟・三郎の形見である着物と袴を身につけて男装し、腰には大小の刀を帯び、元込め七連発のスペンサー銃を肩に担いで入城します。彼女は、自らも男たちに混じって前線で戦う決意でした。

 入城後、八重は戦いやすくするため髪を切ります。最初は自分で切り落とそうとしたそうですが、どうにも上手くいかず、幼馴染の高木時尾に切ってもらったそうです。このあたりの細かいエピソードも、ちゃんと描かれていましたね。当時の女性にとって髪を切るというのは、現代の女性のそれとは違って、腕を一本切り落とすような覚悟が必要でした。「髪は女の命」なんて言いますが、まさしく八重も、髪を切った瞬間から、城を枕に殉死する覚悟だったのでしょう。

 八重の銃撃の正確さは周囲を驚かせ、たちまち砲撃の指揮をとるに至ります。そればかりではなく、敵陣への夜襲にも参加したとか。また、政府軍が撃ち込んだ新型四斤砲の不発弾を、藩主・松平容保の前で分解し、弾の仕組みを説明したというエピソードも残っています。薩長に比べて軍政改革が立ち遅れていた会津藩のなかで、八重の他に最新式の大砲の知識を持った人物がいなかったことがわかります。さすがに砲術指南役の娘といった活躍ですね。

 八重という女性が歴史上の史料に登場するのは、この籠城戦が初めてです。よほどの家柄でないかぎり、婦女子の幼少期の記録など残っているものではありません。ドラマは折り返しを過ぎましたが、これまで物語にでてきた八重の言動や人物像は、すべて後年の彼女が語ったものや、あとは想像でしかないんですね。ただ、想像といっても、決してドラマのために作られた虚像というわけではないでしょう。銃撃戦の指揮を任されたエピソードや、藩主の前で新型大砲の指南をした逸話からも、彼女がただのお転婆娘ではなく、砲術家としてかなりのレベルの技術と知識を持っていたことがわかります。その彼女を作ってきたプロセスを想像すれば、おそらく物語のような少女期を過ごしてきたのでしょうね。

 女だてらに政府軍と戦ったのは、八重だけではありませんでした。なかでも、中野竹子らによって組織された婦女隊が後世に有名です。娘子軍とか娘子隊とも言いますね。もっとも、白虎隊などとは違って藩が正式に組織した隊ではなく、照姫を警護するための有志たちによって自然発生した組織だったので、部隊の名称はすべて後世に名付けられたものです。隊には、竹子の母・こう子と妹の優子もいました。母姉妹3人ともたいへん美人だったといいます。とくに妹の優子が美しかったようで、その美貌を心配した母と姉が、敵の手にかかって辱めをうけるくらいなら、いっそこの手で殺してしまおうと相談していたところを、同じく隊士の依田菊子が懸命にやめさせたというエピソードがあるほどです。女性にとって敵の手に掛かるということは、死以上の恐怖を意味しました。

 彼女たちは薙刀を手に奮戦します。しかし、その戦いのなか、中野竹子は顔面に銃弾を受けて絶命します(ドラマでは胸に銃弾を受けていました)。敵とわたりあいながら妹の優子が介錯し(母が介錯したという説もあります)、首級は白羽二重に包んで運ばれました。優子はこのとき16歳。いまで言えば中学3年生ですね。そんな少女が実姉の首を斬って運ぶなんて、想像を絶する光景です。あと、神保修理の妻・雪子も、この戦いで死亡したとも、敵に捕まった際に自刃したともいわれますが(ドラマでは後者の設定でしたね)、経過は不明だそうです。ほかにも、銃や薙刀を手にとって政府軍と勇ましく戦い、散っていった婦女子はたくさんいました。さすがは、武勇で名高い会津藩の女性たちです。

 山川大蔵が会津の伝統芸能・彼岸獅子を舞わせて入城するという離れ業を演じたエピソードは、後世までの語り草となっています。彼は緊迫した包囲網のなかを笛と太鼓の音色を先頭に進ませ、敵があっけに取られている間に、一兵の血も流すことなく入城しました。なんとも大胆不敵にして痛快。山川大蔵という人物は、実に肝の座った、しかもやわらか頭の人物だったのでしょうね。

 山川たちの入城によって城内の人数は約5000人にも膨れ上がり、一気に活気づいたといいます。そして、八重たちの籠城戦は、こののち約1ヶ月も続くことになります。



ブログ村ランキングに参加しています。
よろしければ、応援クリック頂けると励みになります。
   ↓↓↓


by sakanoueno-kumo | 2013-07-08 21:27 | 八重の桜 | Trackback(1) | Comments(2)