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映画『フィールド・オブ・ドリームス』鑑賞記 その3 〜黒い霧事件〜

昨日の続きです。
「ブラックソックス事件」といえば、日本のプロ野球でも思い出される事件がありますよね。
昭和44年(1969年)から昭和46年(1971年)にかけて発生した「黒い霧事件」です。
あちらがマフィア絡みの事件なら、こちらは暴力団が絡んだ野球賭博のための八百長事件
この一連の騒動で、多くのスター選手が永久追放処分や長期間の出場停止などの厳罰を受け、プロ野球人気の低下、ひいては西鉄ライオンズ東映フライヤーズ球団売却へと影響を及ぼしたという、ある意味「ブラックソックス事件」より大ごとになってしまった、日本プロ野球史に残る汚点です。
処分を受けた選手を枚挙すると、事件の発端となる八百長事件を起こした永易将之氏をはじめ、池永正明氏、与田順欣氏、益田昭雄氏、小川健太郎氏、森安敏明氏らが永久追放、村上公康氏、船田和英氏、葛城隆雄氏らが1年間の出場停止、桑田武氏が3ヶ月の出場停止、坂井勝二氏が無期限出場停止、土井正博氏、成田文男氏らが1ヶ月の出場停止や謹慎処分、その他、訓告や戒告では江夏豊氏、三浦清弘氏、基満男氏といったビッグネームもいました。

e0158128_22513985.jpgそんな中、「ブラックソックス事件」におけるジョー・ジャクソン的な存在として、ファンから永久追放処分を惜しまれ、事件の象徴的存在となったのが西鉄ライオンズのエース・池永正明投手でした。
高校野球の甲子園大会から注目されていた池永投手は、西鉄入団1年目から20勝をあげて新人王に輝き、3年目には23勝をあげて最多勝利投手のタイトルを獲得。
すでに黄金時代が過ぎた西鉄ライオンズにあって、「鉄の男」と呼ばれた稲尾和久投手の跡を継ぐ新しいエースとして、ファンの期待を一身に受けていました。
しかし、5年目のシーズンを終えたオフに「黒い霧事件」が発覚。
チームメイトの永易将之投手にはじまって、次々に八百長に関与した疑いのある選手の名前が浮上し、その中に池永投手の名前もあたんですね。

最初は否定していた池永投手でしたが、後に元チームメイトの田中勉投手から金を受け取ったことを認めます。
先輩の田中投手から無理やり金を押し付けられたため断りきれず、やむなく金は受け取ったものの、八百長の依頼には一切応じなかったと彼は主張し続け、刑事事件としては不起訴処分となったものの、プロ野球機構の裁断としては、お金を受け取った時点で「クロ」と判断し、永久追放処分としました。
この点も、ジョー・ジャクソンと同じですね。
池永投手は選手生活5年のこの時点で99勝をあげており、このままのペースでいけば300勝も夢ではないほどの大投手となり得たわけで、追放処分後も彼の才能を惜しむ声があとを絶ちませんでした。
今で言えば、楽天の田中将大投手や広島の前田健太投手が突然永久追放になったようなものですから、当然のファン心理ですよね。
でも、その声は受け入れられることなく、しかしその後も池永氏は、「グラウンドでは不正をしていない」と一貫して主張し続け、そんな彼の復権を望む声はさらに高まり、処分取り消しを求める署名活動等の運動がたびたび行われました。
そしてその甲斐あってか、事件から35年経った2005年、ようやくプロ野球界に復権することが許されました。
これを「遅すぎた」という人もいますが、どうでしょうね。

刑法上は「疑わしきは罰せず」ですが、組織の倫理上は「李下に冠を正さず」なんですね。
とりわけフェアを原則とするスポーツの世界ならば、なおさらのことでしょう。
ジョー・ジャクソンにしても池永氏にしても、八百長に与したかどうかの真相は本人にしかわからないことで、金を受け取った時点でアウトというのは、至極当然の裁断だったと私は思います。
ただ、永久追放といった厳しい処分が妥当だったかといえば、難しいところですね。
永久追放とは極刑、つまり刑法で言えば死刑ですから。
ジョー・ジャクソンはともかく、池永氏はまだ25歳という若さで、しかも先輩から強引に誘われたという事情を考慮すれば、情状酌量の余地はあったようにも思えます。
でも、その後もメジャーリーグや韓国、台湾野球リーグなどで八百長事件が後を絶たないのに対して、日本プロ野球界では「黒い霧事件」以降、40年以上もその種の事件は起きていないことを思えば、あのとき断固として厳しい処分で臨んだ実績が、その後の教訓となって日本プロ野球界に息づいているのかもしれません。
幻の300勝投手・池永正明。
ある意味これも、彼がプロ野球界に残した功績といえるでしょうか。

なんか、映画鑑賞記のはずが、ずいぶん話が逸れちゃいましたね(苦笑)。


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by sakanoueno-kumo | 2013-06-21 22:54 | 映画・小説・漫画 | Comments(4)