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銭形のとっつぁんこと、昭和の名アテ師・納谷悟朗さんの逝去を悼む。

アニメ『ルパン三世』銭形警部などの声で活躍した納谷悟朗さんが亡くなられましたね。
たしか、一昨年放送の同作品から、銭形警部の声は山寺宏一さんに交代していたと思いますが、そのときは峰不二子役の増山江威子さんや石川五エ門役の井上真樹夫さんらも一緒に揃って交代していたので、単なる世代交代だと思っていました。
実は体調を崩されていたんですね。

納谷さんといえば、銭形警部をはじめ『宇宙戦艦ヤマト』沖田十三艦長や、『風の谷のナウシカ』ユパ・ミラルダなど、たいへん存在感のある役どころの声優さんとして人気を集めましたが、意外にもご本人は、「声優」と呼ばれることに激しい抵抗を感じていたそうです。
もともと俳優畑から洋画の「アテレコ」を始めた納谷さんは、「声優である以前に俳優である」という姿勢とポリシーを持っていたそうで、「声優という呼び方は許さない」というのが口癖だったそうです。
インタビュー取材の際に「“声優の”納谷悟朗さん」と呼ばれたことに憤慨し、取材を断ったこともあったとか。
いまでは声優業というものがしっかり確立されていて、「声優になりたい」という人もたくさんいるそうですが、納谷の世代の方々にとっては、「声優=俳優くずれ」「声優<俳優」といったイメージが強かったのでしょうか?

昨今では声優さんがアイドルのような扱いを受けたりしていますが、声優ブームのきっかけとなった『宇宙戦艦ヤマト』のとき、アフレコスタジオの外でよくファンが出待ちをしていたこともあったそうで、そのときのことを振り返って、自身は「キャラクターの声を当てているだけであり、それがスターみたいな扱いをされるのは不思議でしょうがなかった」と語っていたそうです。
スターになるべくはキャラクターであり、その声の主がスター扱いされるのは本末転倒だ・・・ということでしょうね。
言わんとすることはわかります。
ただ、まあ、魅力的なキャラクターだからこそ、その声の主に興味がわくのもまた、当然のファン心理なわけで・・・。

納谷さんといえば、主役ではなく重要な脇役の声を担当していることが多かったと思いましが、その作品のもっとも重要な台詞を担当していることが多いんですよね。
e0158128_15271752.jpgその代表的なものが、映画『ルパン三世~カリオストロの城~』のなかの、有名すぎるほど有名なあのラストシーンのくだりです。
銭形警部 「くそっ、一足遅かったか! ルパンめ!まんまと盗みおって!」
クラリス 「いいえ。あの方は何も盗らなかったわ。私のために戦って下さったんです。」
銭形警部 「いや、ヤツはとんでもないものを盗んでいきました・・・あなたの心です。」
何十回と観たシーンですが、何度聞いてもシビれる台詞ですよね。

e0158128_15275622.jpgそれから、『宇宙戦艦ヤマト』ファンにとっては伝説的となった第一シリーズのラストシーン。
「地球か・・・何もかも懐かしい。」
はるか29万6千光年の旅を終えて地球に帰還する直前、死の間際に言った有名な台詞ですね。
この台詞を思い出すだけで、いまでも目頭が熱くなってしまいます。
沖田艦長の声を出していたとき、納谷さんはまだ40歳代、あの重厚な存在感は、どうやって醸しだしていたのでしょうか?

e0158128_15281188.jpg『ルパン』『ヤマト』がラストシーンの重要な台詞なら、『風の谷のナウシカ』では、作品最初の台詞を担当しています。
「また村がひとつ死んだ・・・。行こう。ここもじき腐海に沈む。」
物語はユパ・ミラルダのこの一言から始まります。
観る人をぐっと引きつけるための最初の台詞は、『ナウシカ』という作品の象徴ともいえる台詞でした。
ユパさまのカッコ良さ=納谷さんの魅力といっても過言ではないでしょう。

こうして見ても、何十年経っても語り継がれるような名台詞を数多く担当しているんですよね。
もちろん、台詞は脚本があるわけであって、納谷さん自身の言葉ではないのですけど、想像するに、脚本家あるいは演出家が、重要な台詞を納谷さんに語らせたいと思わされるような、そんな存在の方だったんじゃないかと・・・。
これだけ多くの名台詞を担当していたというのは、声優冥利に尽きるのではないでしょうか?
おっと、“声優”という名称はタブーでしたね。

納谷さんは、「声優」という言葉が一般的でなかったころに使われた「アテ師」という言葉には、それほど抵抗はなかったそうです。
またひとり、昭和の名アテ師がこの世を去りました。
謹んでご冥福をお祈りいたします。


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by sakanoueno-kumo | 2013-03-13 15:38 | 映画・小説・漫画 | Comments(0)