雄星投手といえば、言わずと知れた速球派の左腕。サウスポーで150キロ超の投手はプロ野球界を見渡してもそうそういるものではなく、そこが、彼が「金の卵」と評される所以なのだが、過去の例から見て、この左の速球派投手の前評判ほどあてにしづらいものはない。桑田真澄、松坂大輔、ダルビッシュ有、田中マー君など、それぞれの時代の甲子園のスターでプロでも大投手に成り得ているのは圧倒的に右投手。大昔まで遡れば、金田正一や江夏豊、鈴木啓示といった左腕の大投手もいるが、名球会入りした投手で見ても、そのほとんどが右投手だ。それでも左投手というのは重宝され、プロ野球全投手の約3分の1を占めている。
それでは何故、左投手に大投手が少ないのか。それはプロ野球選手になるまでのプロセスにあるだろう。私は少年野球の指導者をしているが、毎年各学年15人~20人ほどの入部人数の中で左投げの子は1人か2人。しかしその子は左投げというだけで無条件に投手候補になる。サウスポーは希少価値があって有利という理由と、左投げの子は投手を練習させなければ、他はファーストか外野しかポジションがないという理由もある。野球をする子どもたちなら誰でも投手に憧れるものなのだが、左投げの子は競争無く投手になれる。逆に右投げの子は最初から競争なのだ。
小・中・高校と進むにつれ競争は激しくなり、高校野球でマウンドに立てる子はその競争に勝ち抜いてきた選手。言ってみれば選り抜きの精鋭だ。甲子園に出てきている選手などは内外野手たちも皆、小学校時代は投手だったという選手ばかり。しかし、左投手はといえば、ふるいにかけられることなく生き残ってきた場合が多い。絶対数が少ないのだから当然だ。だから当然、右投手に比べて微妙なところの質が落ちる。左投手にノーコンが多いと言われるのも、その理由のひとつだろう。
左利きの人の数は、日本の全人口の約8%ぐらいだそうだ。上記、少年野球の左投げの数を見ても頷ける数字だ。しかしプロ野球界で見れば、上にも記したように約3分の1が左投手。この比率から考えれば、左投手は右投手に比べてプロ野球の門は5倍以上広いことになる。例えばイチロー選手なども高校時代は投手で、仮に彼が左投げだったとすれば、おそらく投手としてプロに入っていたことだろう。右投手にとってプロ野球が東大だとすれば、左投手にとってのプロ野球は地方の国公立大学といったところだろうか。もちろんそんな中でも超一流になれる可能性を持った左投手はいるだろうが、確率で言えば、右投手に比べてハズレの可能性も5倍ということだ。
松坂大輔投手が30年に一人の怪物だとすれば、松坂レベルの左投手が現れるのは150年に一人ということになる。金田投手か江夏投手がその域だとすれば、私の生きている間にはサウスポーの大投手は現れないことになってしまうのだが・・・雄星投手や如何に・・・?!
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▲ by sakanoueno-kumo | 2010-05-20 17:29 | プロ野球 | Trackback | Comments(11)